NHK の大河ドラマ 「篤姫」 については 「大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」,「原作を時代と現在にあわせて洗練した (?) 「篤姫」」 という項目で書いてきたが,もうひとつべつの視点からみてみたい. 大河ドラマにおいては武力によるたたかいがおおくえがかれてきたが,「篤姫」 におけるような武力によらないたたかいが現代においては必要とされている,そういう意味で価値があるのではないかということである.
大河ドラマにおいては戦国時代がよくとりあげられる. 戦国時代でなくても,源氏と平家とのたたかい,吉良邸への討ち入りなど,たたかいがクライマックスになっているドラマがおおい. それに対して 「篤姫」 は大奥という,基本的に武力がつかえない場所でのたたかいが中心となっている. 武力によるたたかいは,もちろんさまざまな戦略や戦術がつかわれるが,基本的にはちからがつよいものが勝つ. それに対して武力がつかえないときには戦略や戦術はもっと複雑である.
現代の世界においては,武力がつかわれることもあるが,戦国時代などとはちがって武力によらないたたかいが基本である. 「篤姫」 というドラマはそういう戦略や戦術をていねいに追ったものではないが,そういうわくぐみのなかで篤姫がどのようにふるまったかをえがいている.
「大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」 においてはこういう篤姫の立場を現代の会社における副社長になぞらえた. しかし,幕府の御台所という篤姫の立場は実際には副社長というよりは (スポークスマンではないが) 内閣官房長官のような立場である (官房長官はよく 「女房役」 といわれる). アメリカの大統領ならばいざしらず,会社の副社長や日本の内閣官房長官には武力行使という選択肢はない. そういう意味で,篤姫がかかえる課題 (たとえば次期将軍をだれにするか ~ 次期社長をだれにするか) は従来の大河ドラマの主人公がかかえる課題よりは現代的だということができるだろう.
関連項目 (2008-7-10 追記):