ユーザ・インタフェースは単純で直観的なほうがだれでもすぐにつかえる. しかし,便利さを追求すると複雑に,そして直観的に把握できないようになりがちである. Apple は単純で直観的なインタフェースを追求してきたが,いまそれを代表しているのが iPhone のインタフェースである. しかし,任天堂の Wii もそれにおとらず,単純さをもとめているといえるだろう.
Apple は iPhone においてマルチタッチ可能なタッチパネルだけをつかうようにした. しかも,そこでペンはつかわないようにした. Apple にとって copy & paste (コピー・アンド・ペースト) は非常に重要な機能だったはずだが,このインタフェースではそれがうまく実現できないので,それも (とりあえず (?)) すててしまった. 単純なインタフェースと,それによって無理なく実現できる機能だけにしぼってしまったということだ.
一方,Wii においては入力は通常,リモコンにかぎられる. リモコンには十字ボタンがついてはいるが,ポインティング・デバイスとして通常は加速度センターだけがつかわれる. 正確なポインティングのためにはカーソル・キーをつかいたくなるところだが,このインタフェースでは事実上それをなくしてしまった. リモコンには複数個のボタンがあるが,通常は A ボタンが 「これっきりボタン」 としてつかわれる. Apple のマウスに 1 個しかボタンがなかったのと同様である.
Wii の人気はこうした,おもいきりのよさにもささえられているのだろう. 特定のユーザの趣味に縮退していった PlayStation 3 とはちがって,できるだけおおくのひとにかんたんにつかえるようにすることをめざしたことが成功につながったのだろう.
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