屋根に太陽電池を設置して運用してみて,スマートグリッドへのみちのりがかなりはっきりみえてきたようにおもう.
太陽光発電システムには,東京電力からくる電力の電圧が 107 V 以上になると東京電力への送電をとめる機能がある. これまでにこの機能がはたらいたことはない. それは,周囲に太陽光発電所がまだほとんどないからだ. 周囲に太陽光発電所がたくさんできると,電圧が上昇しやすくなる.
送電をとめると現在のシステムでは発電した電力はむだになる. そうなったら,それを蓄電池にためるようにすればよい. そこで登場するのが大量のリチウムイオン電池を搭載した電気自動車 (EV) のはずだ. 昼はこの電池に発電した電気をためて,それを夜につかう.
現在は電気自動車はまだ 300 万円以上する. しかし,日産のもくろみでは,数年後には 200 万円以下になるという. 現在,家にはふるいスズキ・アルトがあるが,あまり頻繁にはつかっていない. 買いかえなければ,いつこわれてもふしぎでないという状況になりつつあるが,いま電気自動車に買いかえてもペイしない. 200 万円になっても自動車としての機能だけをかんがえればペイしない. しかし,電気をむだにすてるようになれば,その損失と投資額とのトレードオフの問題になってくるから,200 万円でもペイする可能性がある.
太陽光発電が今後,急速に普及するとかんがえると,電気自動車は 5 ~ 10 年以内にはペイするようになるだろう (そのまえにアルトがこわれるのではないかというのが心配だが…). そのころにはまだ東京電力は 1 kW あたり 48 円で太陽光発電の電力を買ってくれるだろうから,電気自動車を買っても最初はなるべく発電した電気を売ったほうがよい. 107 V をこえて売れなくなったぶんだけを電池にためておけばよい.
そのうちもし売電価格がさがって買電価格以下になったら,あまった電力はすべて電池にためておくようにすればよい. しかし,スマートグリッドが地域内でうまく機能するようにするには,そこまでは価格はさがらないだろう. 太陽電池を設置していない家庭には太陽光発電所から電力を供給することになる. 売電と蓄電とのバランスをうまくとっていけばよい.