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福島第一原発に関する政府・東電の説明はなぜ理解されないのか?

福島第一原子力発電所の事故に関して,東京電力も政府も適切でない対応があったことはたしかだとおもう. しかし,事態を収束させるためにせいいっぱいの努力をし,それについてできるだけ国民に情報を提供しようとしていることもたしかだとおもう. にもかかわらず,国民やマスコミから十分な理解をえられていない. なぜそうなるのかをかんがえてみたい.

FukushimaNuclearPlantBomb.jpg 国民やマスコミからは,東電や政府から十分な情報が提供されていない,わかりにくいという声があがっている. 枝野官房長官をはじめ内閣からはできるだけ正確かつわかりやすく説明しようとしているようにみえる. また,より詳細な内容は原子力安全・保安院から報告されている. また,東京電力からも記者会見などで情報提供され,また原子力の専門家が解説している.

しかし,事態を正確につたえようとするとわかりにくくなり,わかりやすくつたえようとすると不正確になるようにおもわれる. 正確な情報を国民が理解できないのは,原子力や核物理に関する十分な教育がおこなわれてこなかったこと,必要な知識をあたえてくれる本などがすくないことが原因なのではないだろうか?

高校物理をやさしく解説するブログ」 の 「核分裂と原子力発電」 には,核分裂の説明のあと, 「こういうお話は、少し前までは、物理の授業でお話していました。 しかし、今は、核を扱う原子分野というのが、受験で出ないから、という理由で、ほとんど授業でやらないことになってしまいました。」 と書いている. 核分裂も理解していなかったら,福島でおこっていることを理解することは,とうていできないのではないだろうか?

学校教育でまなべないだけではない. Amazon.co.jp で 「原子力」 などのキーワードをいれて検索してみると,でてくる本のおおくは原発反対論の本だ. 一方で推進派の本もあるが,原子力発電や核物理に関する中立的な本は非常にすくない. 賛成・反対以前に,まず科学的に原子力発電を理解することが必要であり,それについて解説している本が必要なのではないだろうか? まだ読んでいないので適切かどうかわからないが,その目的にあっているらしい本は 「原子力発電がよくわかる本」 (榎本 聰明著) くらいしか,みつけられなかった. (Web 上にある情報としては 「原子力・エネルギー勉強会」 のもとにある,原子力システムニュース VoL. 17 に 3 回にわたって掲載されたものが比較的よいようにおもうが,これも基礎知識がなければ理解できないだろう. 上記の 「高校物理をやさしく解説するブログ」 では,この事故に関連することばなどをていねいに解説してくれているから,このほうがやくにたつかもしれない.)

こういう状態では,すぐに根本的な解決をはかることは困難だ. 今後,原子力発電をすすめるにしろ,やめるにしろ,まず国民が科学的な知識をえられるようにすることが必要だとおもう.

関連項目 (2011-3-28 追記):

キーワード: 福島第一原子力発電所, 福島原発事故, 東日本大震災, 三号機, 三号炉

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