「照明器具のモジュラリティ」や「定電流電源によるモジュラーな LED 照明」という項目でモジュラーな LED 照明について考察したが,なぜ照明にモジュラリティが必要なのかを書かなかった. ながくつかわれる照明はそれがデザインされたときの必要をみたすだけでなく,その後の変化に対応できる必要があるからモジュラーであるべきなのだ.
照明は,建築照明であれ,個々の器具であれ,通常は長期間にわたって使用される. インスタレーションのような場合には短期間しかつかわれないので, デザイナーがそのデザインを完結させればよい. しかし,たとえば日常生活でつかわれる器具のような場合には, 使用しているあいだに照明へのニーズが変化するので, ユーザ自身が照明をそれにあわせていけるしかけが必要だとかんがえられる. それがここでいうモジュラリティだ. 照明をデザイナーが完結させてしまっていると,もはやそれを変更することはできず,交換するしかない. それもひとつの方法だが,交換するにはおおきな壁をこえなければならない. 交換するのがよい場合もあるだろうが,徐々に変更をくわえていけるほうがのぞましい場合が多いのではないだろうか?
モジュラーな照明はそのデザインがデザイナーだけで完結せずに, そのデザインにユーザが参加することができ,とくにニーズが変化したときにそれに対応していけるのものだ. 私が 3D 印刷シェードをつかってめざしたいのは,このようなモジュラーな照明である.