iPod (アイポッド) が音楽プレヤーだということは,だれでも知っています. しかし,iPod は動画もとりいれました. また,電話をとりいれて iPhone (アイフォーン) もつくられました. iPod の本質はなんなのでしょうか? 私は iPod の本質はユビキタスなデータベース・アクセス・ツールだとおもいます.
iPod には最近,電話や無線 LAN (WiFi) による通信機能がつきました. 電話がついたものは iPod ではなくて iPhone とよばれていますが,いまのところ電話機能はかぎられているので,iPod の延長線上にあるものだということができます.
従来の iPod はパソコンとくみあわせてつかう必要があったため,つかいかたが複雑で,本質を把握するのがいささか困難でした. しかし,通信機能をもった iPod はより単純化され,その本質をみぬきやすくなりました. iPod によってできることは,まず,いうまでもなく iTune (アイチューン) の音楽や動画のファイルをとりこんで再生することです. また,通信機能のあるものは一般の Web につなぐこともできます. 通信機能をもつことで,これらのファイル・アクセスががいつでもどこでも,つまりユビキタスに実現できるようになりました (正確にいえば,無線 LAN がつながるところや電話がつながるところだけでしかできませんが). Google map につなげば自分の周辺やべつの場所の地図や航空写真などをみることもできます. もちろん,新聞をみたり買物をしたりすることもできます. これらのさまざまな操作を,iPod や iPhone をつかえば,Apple (アップル) がつちかってきた他社には容易にまねのできないユーザインタフェースをつかっておこなうことができます.
音楽や動画にしても地図,新聞,買物のいずれにしても,それはデータベースへのアクセスを意味しています. 通常の Web アクセスに関しては電話代や無線 LAN 使用料をのぞけば無料ですが,音楽や動画をアクセスすると iTune のしくみによって課金されます. それ以外でも,各種の有料データベースにアクセスすれば,当然,それぞれの契約にしたがって課金されます. iTune は,Apple がつくった,データベースの検索・課金などに関するひとつのしくみです. iPhone をつかえば携帯電話で会話することもできますが,iPhone は携帯電話としてはあまりおもしろい機能をもっていません. 電話がついているのはユビキタスにデータベースにアクセスするためであり,会話機能はおまけとかんがえたほうがよいでしょう.
こうしてみてくると,iPod がユビキタスなデータベース・アクセス・ツールとして非常に強力なものであることがわかってきます. 音楽や動画以外のところで強力なビジネスモデルをつくることができれば,iPod に匹敵するツールをつくることは可能かもしれません. しかし,音楽や動画のデータベースをおもな収益源とするかぎりは,iTune-iPod に勝てるツールをつくることは困難だとおもわれます. したがって,Apple 以外の会社はユビキタスなデータベース・アクセス・ツール以外のもので勝負しなければならないでしょう.
関連項目 (2008-7-27 追記):