三浦 展 や共著者たちは 「ファスト風土化する日本」,「下流同盟」 などの本において,アメリカではウォルマートがまちをこわし,あちらこちらでその出店につよい反対運動がおこっているとのべている. ウォルマートの出店が地元の商店街をだめにし,非正規雇用をふやして低賃金ではたらかせ,まち全体をだめにしてしまうという. また,生産者への徹底的な値下げ要求によって,工業などにも影響をあたえている. 日本ではジャスコがウォルマートにちかいやくわりをはたしている.
「ファスト風土化する日本」 においても畑が大型店に侵蝕された例が記述されているが,WBS (ワールド・ビジネス・サテライト,2008 年 7 月 15 日 (?)) においても大型店の進出を期待する元農家が耕作放棄地を大型農業をめざす農家に貸しだすのを渋る例がしめされていた. ジャスコの進出は反対運動などによって阻止されたが,地主はあいかわらず大型店の進出をのぞんでいるという. 農家に貸しだすよりずっとたかい収益をあげることができるからだという.
つまり,ウォルマートやイオン・ショッピング・センターのような大型店は商業をこわすだけでなく,工業や農業の破壊にもつながっているということである. 大型店出店とこうした破壊との関係についてはさらに調査が必要だろう. しかし,さらなる破壊をふせぎ,破壊されたものを回復するためには,三浦らが主張しているように,日本でも大型店出店をもっときびしく監視する必要があるだろう. WBS の取材によれば,農業に関しては農水省も土地の有効利用をさまたげている大型店出店への期待をうちくだく政策をめざしているようだが,ぜひはやく,そうしてもらいたいものである (写真は Walmart Supercenter at McKinney, Texas).
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