記憶の拡張部としてのブログ
「ひきだしとしてのブログ項目」 という項目には,「これまでにかんがえたなかで重要なことはみなこのブログのどこかにしまってあるというようにしたいとおもっています」 と書きました. これは,いいかえればブログを私の記憶の拡張部としてつかっているということです.
「ひきだしとしてのブログ項目」 という項目には,「これまでにかんがえたなかで重要なことはみなこのブログのどこかにしまってあるというようにしたいとおもっています」 と書きました. これは,いいかえればブログを私の記憶の拡張部としてつかっているということです.
研究を仕事としていると,ときどき論文の査読をたのまれることになる. なれないうちは査読結果をどう書いたらよいかなど,なやむことがおおかった. しかし,最近は比較的短時間で,それほどくるしむことなく査読できるようになった. ここでは私の査読のやりかたについて書くことにする.
最近,家具というと,たいていは安価なくみたて家具か DIY にすることがおおい. ところが,これらの方法にたよると,「安物買いの時失い」 になってしまいがちです.
シャワーをあびているとき,排水がつまって水があふれてしまうことがときどきあります. 定期的にパイプ用洗剤をつかってやればこういうことにはならないのかもしれませんが,サボっているから (?) こういうめにあうのでしょう. また,つまってからあわてて,すぐにパイプ用洗剤をいれようとしましたが,やりかたがまずかったようです.
現在のアメリカ経済の状況は 1929 年ごろの状況に似ているといわれる. 1929 年にニューヨークで株価が暴落し,大恐慌につながったということはよく知られているが,それがどのようにおこったのかはあまり知られていない. この本はそれを時間にそって追い,なにがまちがっていたためにどうなったのかを検証しようとしている.
不動産の問題が最初におこった点では現在の不況と似ているが,このときはそれは 1928 年までには収束し,その後,レバレッジをきかせた投資信託の過熱がおこっている. 現在の不況とはさまざまなちがいがあるので,この本を読んだからといって現在の不況にどう対処すればよいかがわかるとはいえないだろう. とくに,どうすれば恐慌をふせぐことができるかが最大の関心事だが,この本には 「大恐慌の原因は,いまだにはっきりしていない」 とある. しかし,それでも状況を比較してみる価値はあるだろう.
ひとつ興味をひいたちがいは,当時はコンピュータがなかったので,取引量がふえると処理がまにあわず,速報が何時間もおくれて人々の不安をかりたてる,また取引じたいもまちがいがふえるということだ. 現在ではコンピュータのおかげで状況がすぐにわかるので,すくなくとも株価に関してはまちがいやデマにふりまわされなくなったのは,おおきなちがいだろう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 大暴落1929@ ,大暴落1929@Amazon.co.jp.
著者ソロスはサブプライム危機が単なる住宅バブルではなく,1980 年台から成長してきた 「超バブル」 崩壊のスイッチをいれ,1930 年代の大恐慌に匹敵する不況をもたらすことを警告している. 投資家は目先にとらわれがちだが,ソロスは経済だけにとらわれず,するどい目で世界をみているといえるだろう. ここには,まなぶべきものが多々ある.
しかし,この本の主要なテーマは 「再帰性」 であり,前半はその解説にあてられている. 「再帰性」 とは,現実が思考に影響し,思考が現実に影響するという双方向のつながりがあることを意味している. それが理解されていないことがさまざまな問題をひきおこしているという. そして,「再帰性」 が 「自己言及のパラドックス」 や量子力学の不確定性原理と関係があることをただしく指摘しつつも,それらにない点があることを主張している. しかし,実のところ,あたらしいことはないし,この本の後半を理解するうえで 「再帰性」 の概念は不要である. したがって,この本の前半は価値がなく,評価は下げざるをえない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: ソロスは警告する@ ,ソロスは警告する@Amazon.co.jp.
最近,プランターなどでいろいろ野菜をつくっています. 「モンシロチョウ ― プランター菜園へのまねかれざる客」 という項目に書いたように,とくにこまっているのがモンシロチョウの食害ですが,アブラムシなどにもやられています. 最近みつけたのはタカナについている黒い幼虫です. 最初はモンシロチョウの幼虫が変色したのかとおもいましたが,どうやらカブラハバチの幼虫のようです.
「かんたん! プランター菜園 コツのコツ ― 上岡流 写真図解でわかる逸品づくり」 という本のなかで,プランター菜園のための肥料として IB 有機化成肥料をすすめている. ちかくのホームセンターなどにはおいてないようなので,Web で注文しやすいものとして 「グリーンそだち EX」 をえらんだ.
この Web サイトはさくらインターネットのサーバをつかっている. 「スタンダード」 という年間 5000 円のホスティング・サービスを利用してきたが,最近 CPU 負荷がたかいことがおおく,検索要求などが拒否されることもおおい. また,ファイルも 1 GB のうち 800 MB くらいをつかってしまった. そのため,契約更新の時期がちかづいたのを機会として,「プレミアム」 という,ひとつうえのサービスにきりかえることにした. いささか,ひやあせをかくような場面もあったが,なんとか無事に移転することができた.
この本は 「満州国」 について,また満州における日本人の功罪について,公平に記述しようとしている. また満州だけでなく,当時の日本や中国,ソ連などの状況についても書かれている.
満州の状態に関しては,治安がわるく,調査団もおもうように調査ができないことが書かれている. 匪賊によってしばしば鉄道が爆破されること,朝鮮人による日本の著名人などの暗殺が横行していること,とくにリットン調査団員の暗殺計画があったことや団員をまもるために多数の警官が動員されたことについても書かれている.
日本人やその行為に関しては,つぎのようなことが書かれている. 日本人がチチハルの住民に対して新しい支配者としてふりまっていたこと. 「満州にいる中国人は [中略] 「満州国」 に対し,ほとんど例外なく敵対感情を抱いていた」 こと. また 「いまから百年前ならば,おそらく中国を征服して,ここに大帝国を建設することができたかもしれない」 が,当時は 「日本が独占的に中国を支配しようと試みても,単に中国民衆の抵抗に遭うばかりか,中国に利権をもつ各国から反対されるであろう」 と書かれている.
日本人の大陸における農林業への貢献についても書かれている. たとえば,「朝鮮人は植林もせずにやみくもに森の木を伐った.[中略] 日本人は,日本の政権が禿山に植林した業績を誇っている」.
政治的にも経済的にも混乱する日本の様子もえがかれている. たとえば政治に関しては狂信的な国家主義者によって浜口首相,井上元蔵相,犬養首相らがつぎつぎに暗殺されたこと,国民世論もこうした穏健な政治家の退陣をせまっていることが書かれている. また,農業に関しては日本人が朝鮮の稲作を発展させたこととあわせて,はげしい朝鮮米と内地米の競争や世界恐慌などから農業危機がもたらされたことが書かれている.
ソ連の行為に関しても,シベリアの住民が悲惨な目にあい,数千人の餓死者がでていること,満州に逃げのびたひとびとを中国の将軍がソ連にひきわたし,ボルシェビキに射殺されたことなどが書かれている.
最近,日本では東京裁判以降にひろめられた歴史観とともに,それを否定し大東亜戦争に価値をみいだそうとする 2 つの派があらそっているが,両極端にはしっているようにみえる. この本のように,生の中立的な立場の記述からまなべることはすくなくないとおもう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 「満州国」見聞記@ ,「満州国」見聞記@Amazon.co.jp.
タイトルからすると農協をどのように改革するべきかが中心テーマのようにみえるが,実際は大半のページが (2002 年) 現在の農協の問題点の指摘にあてられている. 巨大化してさまざまな事業をおこなうことの是非に関する議論 (是の部分もある),自民党との癒着,マスコミからのバッシングなどの問題がとりあげられている. 最後の章は 「「農協」 の時代」 と題されて,食料危機がちかづき安全性が問題にされるなかでの農協のやくわりがおおきいと主張している. バランスのとれた内容ではあるが,改革の方向に関してはキレがない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: JA改革の本流@ ,JA改革の本流@Amazon.co.jp.
プランターでいろいろな野菜づくりをためしていますが,そのなかで,いまのところもっともうまくいっているのがインゲンです. かならずしも栽培のために最適な条件にはなっていませんが,虫の被害にもほとんどあわず,うまくそだっています.
日本の携帯電話は世界のそれとはまったくちがう方向に進化しているというので,「ガラパゴス化現象」 ということばがつかわれている. しかし,ちょっと Web 上でさがしてみても,なにがガラパゴス化しているというのか,はっきり書いてあるページはみつからない. ちょっと追究してみることにしよう.
金融を仕事としているひとはちがうかもしれないが,一般投資家が株や FX などの金融商品を売買するとき,おおくのひとはゲーム感覚をもっているようにおもえる. すくなくとも私自身はそうである. ところが,金融工学ではこのゲーム性をブラウン運動によってあつかっている. つまり,厳正に抽選される宝くじとのちがいが,すてられてしまっている. 私はそこに違和感を感じてしまう.
1970~80 年代の全盛時代に大胆なデザインのラブホテルをつくりつづけてきた著者の原点は幼稚園のおまるだったという. 新風営法以降,大胆なデザインは規制されてラブホテルは衰退したが,それでも著者は ED になやむ夫婦や萌えキャラにしか興奮しない若者にラブホテルをすすめて感謝されているという. ここにも規制緩和が必要なのかもしれない.
評価: ★★★☆☆
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タイトルにだまされて買ってしまったが,検索の話はほとんど書いてない. 「クウキを読む」 ことへの批判が大半のページを占めている. 著者によれば,ひとがいうことに疑問をはさんだり批判したりすることが 「空気がよめない」 とみなされて対話が封じこめられる. それに対して,かつての日本では季節のことばのあいさつから一見無駄にみえる会話がかさねられてきた.
私には 「クウキを読む」 ことが現代日本固有の問題なのではなくて,会話の技術がおとろえた,ないし個人主義がひろまるなかでもっと欧米的な話術への変化の途上にあるだけであるようにおもえるのだが,この本はそういうことをかんがえるきっかけとしてはよいだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 検索バカ@ ,検索バカ@Amazon.co.jp.
政府は総額 2 兆円の定額給付金を国民にくばるという.所得制限をもうけるのは給付にてまがかかりすぎて困難だというので全国民に給付する方向だが,麻生首相は高額所得者には辞退してもらうのがよいというような発言をしている. 私は世論動向と同様に定額給付そのものには反対だが,もし全国民に給付するというのであれば,自由につかえるはずのカネをわざわざ辞退するつもりはない. 年末年始の炊き出しなどですぐに消費してもらえるところに寄付するのが給付金の目的からしても一番よいのではないかとおもう.
11 月 10 日の NHK スペシャルでは,「デジタルネイティブ ~次代を変える若者たち~」 が放送された. もっともおおくの時間をさいていたのは,アメリカの 14 歳の少年,アンシュール・サマー (Anshul Samar) が自分でアイデアをあたためたゲームの仕事をネットで世界各地のひとに発注し,すでに 1000 万円をうりあげたという話である. 親がきいてもわからない方法で開発したということが注目されていたが,おどろくべきことはむしろ,その事業センスと,リアルな世界でもおとなと対等に議論しているところだとおもう.
宮崎駿が NHK の 「プロフェッショナル」 のなかで,こどもをたのしませるための決定的瞬間をのがして後悔した話をしていた. すこしちがうが,私はおもしろい話をする決定的瞬間にことばがおもいだせなくてのがすことがときどきある.
著者によれば,日本は源氏物語の時代から,おおくの芸術や芸能をうみだしてきた. しかし,現代日本においては 「今なお 80 年代の好景気から生まれた 「モノづくり」 に対する神話が残り続けている」,「人々はバブル時代のモノづくり神話を信じ続け,経済大国のノスタルジーに浸っている」 という. ソニーのトップだった出井氏もそうだという. その神話をすてて,日本は 「涼宮ハルヒ」 で代表されるクールなコンテンツをのばすべきだと主張している.
だが,日本のモノづくりはむしろバブル時代におろそかにされていたのであり,それ以前につちかわれてきたはずである. また,ソニーは CBS やコロンビア映画を買収してコンテンツ・ビジネスをおこなってきた会社である. ジャパン・クールのコンテンツをいかすべきだという主張には賛成だが,モノづくりとくみあわせてこそ,つよみをいかせるのではないだろうか.
著者がソニーと対比するアップルは,たしかにコンテンツ中心に収益をあげているのだろうが,iPod にせよ iPhone にせよ,モノづくりによってもたらされるユーザ・エクスペリアンスを重視している会社である.その点で著者の認識は根本的にまちがっているとおもう.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: ジャパンクールと情報革命@ ,ジャパンクールと情報革命@Amazon.co.jp.
「日本には評論家ばかり!? ― オリジナルな仕事より評論にながれる」 という項目で,私は評論よりも自分であたらしいものをつくる仕事がしたいと書きました. しかし,最近ブログにはものづくりや家庭菜園の話もあるものの,書評をはじめとして批評のたぐいがますますふえているようにおもいます. さらには,BK1 から書評を書くことをたのまれたりして,このままではいよいよ評論家への道をすすんでいきそうです.
医者や医療関係者に罵詈雑言をあびせたり特定の治療法を強迫したりする患者つまりモンスター・ペイシェントがこの本のタイトルになっている. しかし,この本がカバーしている範囲はそれにとどまらず,ちょっとしたミスで医者が逮捕されるようになってリスクのたかい検査や治療をさける傾向がでてきていること,医者が信じられずに病院を転々とする患者,医者の過酷な労働など,さまざまな問題がとりあげられている.
医療制度改革に関しては,新自由主義的な改革によってイギリスやアメリカの医療が悲惨な状態になっていること,日本でも小泉改革によって上記のような危機的な状況がもたらされたという. このまま 「小さな政府」 や民営化の政策がつづけられると事態はどんどん悪化していくと著者は主張している. 医療再生のための提案もしているが,十分な内容だとはおもえない.
解決への道はとおいようにおもえるが,意外なことに著者は 「光はうっすら見えています」 と書いている. まず,おおくのひとが実態を理解し,解決にむけた努力をかさねることが必要だろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: モンスター・ペイシェント@ ,モンスター・ペイシェント@Amazon.co.jp.
日本人の 8 割がキャラクター商品をもっているという. 「むひょキャラ」 とよばれるキャラクターは (能面のように) 「無表情なため,かえって,こどもたちは自分のほうで勝手にキャラクターの表情を解釈し,自らの感情を様々に投影することができる」 という. 人間の 「キャラ」 についても 「現実の 「私」 とは似て非なる 「キャラとしての私」」 が他人によってあたえられるという. 小泉元首相や東国原知事のような政治家やホリエモンについても 「キャラ」 によって解釈しようとしている.
いろいろな社会現象が 「キャラ」 によって解釈されているが,それがただしいのかどうかはよくわからない. 基本的には日本の現象としてとらえているようだが,キティのような日本のキャラが世界ではやっていることをみても,日本に特異なことではなさそうだ. 外部から 「キャラ」 をあたえられるのはディベートのやりかたにも似ている. 現代社会をよみとくヒントはあたえているとおもうが,結局,この本を読んでも,わかったような,わからないようなでおわってしまう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: キャラ化するニッポン@ ,キャラ化するニッポン@Amazon.co.jp.
相原 博之 の 「キャラ化するニッポン」 では 「現実の 「私」 とは似て非なる 「キャラとしての私」」 が他人によってあたえられるという. 相原はまた,日本のキャラには表情がない,それによってひとびとがキャラに自分の感情をうつすことができるといっている. このように 「キャラ」 が外部からあたえられることが,もしかすると 「だれでもいいから殺したい」 という,最近よくきかれることばとも関係しているのではないだろうか?
入門書として,たしかに第 1 章は認知心理学の概要を説明している. しかし,それ以降の章は認知心理学の主要なテーマを説明するというよりは,エピソード的な内容がおおい. また,この本は本文はすべて左側のページにあり,右側のページはほとんど囲み記事になっているため,本文は 120 ページにかぎられ,説明不足だとおもわれる. 2000 年以降のあたらしい内容もふくまれている点はよいが,認知心理学の全体像を把握するには適切とはいえないとおもう.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 情報処理心理学@ ,情報処理心理学@Amazon.co.jp.
9 月 13 日から 「横浜トリエンナーレ 2008」 がひらかれていることは知っていましたが,ようやく行ってきました. みなとみらいを出発点として,分散している各会場をまわっていきました. 横浜美術館もとおっていきましたが,そこは基本的に通過するだけ. ランドマークタワーには作品の一部があるはずでしたが,10 月で展示は終了していました. 帆船 「日本丸」 もそばをとおるだけのつもりでしたが,内部を見学することになってしまいました. そこから,運河パーク会場をへて赤レンガ会場にいき,中華街での昼食をはさんでから,国際客船ターミナル会場,日本郵船会場,新港ピア会場を順にまわりました. これらについて,それぞれ別のページで書くことにします.
2008 年の横浜トリエンナーレの会場のひとつとして 「運河パーク」 があります. みなとみらいからは汽車道をとおって,ここにきます. 汽車道をあるくのもはじめてですが,ここからの周辺の景色はわるくないとおもいました.
2008 年の横浜トリエンナーレのひとつの会場は赤レンガ倉庫でした. 函館の赤レンガ倉庫はみていましたが,ここ,横浜の赤レンガ倉庫のちかくにきたのははじめてです. トリエンナーレ会場だけでなく,赤レンガ倉庫もひととおり,あるきました.
2008 年の横浜トリエンナーレの赤レンガ倉庫会場をみたあとは,すでに 1 時をまわっていたので,とにかく中華街までいって,昼食をとることにしました.
2008 年の横浜トリエンナーレをみにいって,中華街で昼食をとったあと,山下公園と赤レンガとをむすんでいる空中歩道 (プロムナード) をとおって国際客船ターミナルにいきました. ここもビエンナーレの会場のひとつであり,H BOX という名の展示があります. それが目的地だったわけですが,一度にはいれる人数が制限されていて,きゅうくつなため,はいるのをやめてしまいました.
2008 年の横浜トリエンナーレをみにいって,国際客船ターミナル会場をみたあと,日本郵船会場をみました. ここは日本郵船の倉庫です.
2008 年の横浜トリエンナーレをみにいって,新港ピア会場を最後にみました. ここが一番ひろいのですが,あいかわらず映像作品がおおくて,それ以外は比較的静的な展示にかぎられています. やはり印象的な作品に欠けているようにおもいました.
大阪に出張する機会がありました. 会議の開始が 15:00 と,比較的おそかったので,ひるすぎに梅田について,大阪城の南まで,まちあるきしました. おもなマイルストーンは中之島公園,天満宮,大阪城でした.
著者は 1939 年の極東を取材し,日本,韓国,「満州国」,中国の様子をえがいている. 著者は 「「東亜新秩序」という日本の目標を単に軍事的にのみ費用化するならば,日本の目標をまったく誤解し,過小評価することになる」 というように,日本の政策を評価している. そして,日本人が朝鮮人の生活水準を向上させ 「多くを成し遂げた」 こと,また 「満州国」 において,工業的におどろくべき発展をみたことなど,日本の支配下でこれらの地域が発展したことを指摘している. また,「満州国」 の首都である新京において,満州の潤沢な資源をつかうことによって,日本がギリシャ風,中国風,西洋風など,さまざまな様式の建築をたてていることをいささかの建築の知識をもって語っている.
しかし,こうした日本の 「功」 についてのべるだけでなく,「罪」 の部分についても,するどく書いている. 著者自身が国民党政府がある重慶において日本軍による爆撃でひどいめにあわされているが,重慶市民がさんざんな目にあわされてきたことをえがいている. また,「日本人は何事も決定できず常にすべてをしかも同時に望んでいる [中略] こうした欠点があるがために,終局的に成果をあげつつ日中戦争を終らせることにこれまで失敗してきた」,「日本の経済危機の本来の理由は,日本人がもろもろの根本的決意,決定を,最後の瞬間まで回避していることである」,「日本人はまったく宣伝が下手であり,たとえ彼らに言い分があっても,全世界は信じようとしない」 ことなど,日本人の資質についても,するどく分析している.
ほかにも,イギリスについては中国において失策をおかしたことや日本をあなどっていたこと,中国については 「以前は,中国はひとつの国土であると解釈されていたが,今日では大陸の意味に用いられている [つまり,中華民国政府が支配しているのでないこと]」,日本がヨーロッパの文化をうまく日本の伝統と調和させたのに対して,孫文や蒋介石がそれを無条件に導入しようとした [ために失敗した] ことを指摘している.
この本は,日本や中国,韓国などの歴史を再評価するうえで貴重な資料であるとともに,現在の日本人や日本の政治の弱点にもつながる指摘は今後の日本に関しても指針をあたえてくれるだろう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 日中戦争見聞記@ ,日中戦争見聞記@Amazon.co.jp.
日本語の認知心理学の入門書として 2000 年の出版は比較的あたらしい. 内容は心理学にとどまらず,解剖学,生理学など,周辺の学問もとりいれている. 内容は,注意,記憶,知識と施行,言語認知など,認知心理学の中心的なテーマをボトムアップにあつかい,社会的認知にまでいたっている. 2000 年以降の発展については他の本を参照する必要があるが,当時の最新成果をとりいれようとしている. また,序章においては,この本ではくわしくとりあげられなかった内容までふくめて,概観しようとしている.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 知性と感性の心理@ ,知性と感性の心理@Amazon.co.jp.
原油価格が一時は 140 ドルをこえた第 3 次オイルショックをさまざまな統計や予測によって分析し,第 1 次,第 2 次のオイルショックと比較している. 数値的に把握することは重要だし,過去のオイルショックと比較することで,現在およびちかい将来どう対処するべきか,ある程度の指針をえることもできるだろう.
しかし,現在の経済状況においては,原油だけでなく金属資源や農産物の価格高騰や,サブプライム問題からはじまった巨大なバブル崩壊とそこからもたらされる世界不況など,さまざまな要因がからみあっている. それに対してこの本はほとんど原油とその周辺に話題をかぎり,統計や予測の数値に説明をくわえる程度の分析にとどまっている. 他の要因をかんがえない予測にどれだけの意味があるのだろうか?
私自身もそうだが,一部のエピソードをべつにすれば,この内容が一般の読者の興味をひくものだとはおもえない.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 第3次オイルショック@ ,第3次オイルショック@Amazon.co.jp.
アメリカ人であり弁護士である著者による裁判員制度と日本の政治や法律の批判の書である.
第 1 章においては,日本の法律や政治の非民主性が徹底的に批判されている. 日本の法律が国民のためでなく役所のためのものだということがつぎのような論理で説明されている. 「ある法律が誰のためにあるのかを知るには,その法律が誰の自由を制限し,誰に裁量の余地を残しているかが重要なヒントになると思う」. 日本の法律は曖昧でグレーだが,それは役所や警察が介入したり介入しなかったり,自由にふるまえるようになっていて,かつ市民がクレームをつけることが難しくなっているのだという. 「人権」 や 「三権分立」 に関するかんがえかた,刑事事件における自白の重視や個人情報保護法からウィニー事件やコンピュータウィルス作成者が逮捕された事件までも,こういう視点で痛烈に批判されている. これを読むと,日本はここまで非民主的な国だったのかとおもわされてしまうが,著者は 「多少大げさかつ簡単に書いてきた」 とことわってもいる.
第 2 章では陪審制度とはどういうものか,裁判員制度とはどうちがうかが説明されている. ここは比較的淡々と書かれている.
第 3 章はいよいよ著者による裁判員制度の解釈とそれへの痛烈な批判が展開されている. 著者によれば裁判員制度は 「裁判を十分理解していない国民がいけない」 ことが前提になっている. 法律の専門家は裁判員にはなれないことになっているので,深い法律知識がないことが裁判員になる条件であって,そういう国民のために 「分かりやすい事件」 だけを対象にしているという. 裁判員には守秘義務があり,それは裁判員をまもるためだと説明されているが,裁判官と裁判所が秘密の範囲を勝手にきめることができ,裁判官がなにをしても外部にもらされないようにするという,裁判官をまもり,裁判所に対する批判をなくすためのしくみだという.
しかし,それだけ痛烈に批判しながらも,著者は 「裁判員制度に反対しているわけではない. むしろ,うまく機能してほしい」 と書いている. これまで裁判官には被告人を有罪にしなければならないという圧力がかかる結果として 99% の裁判で有罪判決がいいわたされて冤罪がおおくなっていたが,「裁判員制度のおかげで,被告人を無罪にしても [中略] 裁判員たちがどうしても,ということだったので」 ということで無罪にすることができるようになるかもしれないという. 私もこれで,裁判員制度によって冤罪が減ることが期待できるとおもった. 著者はまた裁判員になることを 「義務」 ではなく 「権利」 とかんがえようと提案している.
この本は裁判員制度の解説書とはいえないので,それが 「どういうつもりで」 つくられたのかは,あらかじめ知っておく必要があるだろう. そのうえで読めば,解説書や日本人が書いた裁判員制度の批判とはまったくちがう視点をあたえてくれて,目からウロコというおもいをいだかせる. いろいろ裁判員制度やその周辺の法律の本を読んできたが,この本が一番のオススメである.
評価: ★★★★★
アフィリエイトをためしはじめた 2007 年 7 月に 「アフィリエイトの実験 ― BK1 と楽天」 という項目を書きました. それから 1 年以上たちましたが,クリック数,うりあげ件数はほぼ横ばい状態です. 成果報酬は月平均 200 円以下にすぎませんが,クリック数のわりには売り上げ件数がおおいのは,いささかおどろきです.
いろいろと学会にはいっているので機関誌がおくられてきますが,なかなか,みるひまがないこともあり,ひまはあっても,みる気にならないこともあります. ちょっとだけ時間があって,おもしろい記事をみつけても,すぐに全部をよむことができないことがおおい. そういうとき,ポストイットをはっておくのもひとつの手ですが,そのためのプレースホルダーとして Scrapbook という,あたらしい 「ブログ」 をつくることにしました.
この Web サイトの CPU やファイルなどの資源が不足するようになったため Web サーバを移転させたが,いくつか意図していなかったことがおこった.
「メタボ」 をキーワードとして検索すると,メタボリック症候群の存在を当然の前提としている本がおおいことがわかる. そのなかで,この本は 「メタボ」 基準に根拠がないことを批判し,「メタボ旋風」 にのせられるとかえって病気になる危険さえあることを警告している.
著者は末尾でカステルの議論を引用しながら,現代においては健康管理も個人にまかされていた 「規律訓練」 から人々を全体として管理する 「ポスト規律訓練」 に移行していると指摘する. それは,いたるところに監視カメラが設置される監視社会への移行にもつながっているといえるのだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 「脱メタボ」に騙されるな@ ,「脱メタボ」に騙されるな@Amazon.co.jp.
さまざまな国や時代の物価や金利などがグラフによってしめされ,インフレーションの本質があばかれている. すなわち,過去のインフレーションが,まちがった金融政策によってひきおこされたことが論証されている. ハイパーインフレといえばワイマール時代のドイツが有名だが,第 2 次大戦後のハンガリーや 1970 年代以降のメキシコ,アルゼンチン,チリのインフレも論じられている.
しかし,これらはいずれも統計数値だけで論じられていて,なまの感覚に欠けている. インフレが金融政策によってふせげるものであるのなら,なぜこのようにはげしいインフレがくりかえされてきたのか,その理由が知りたくなる. しかし,この本はそれにはこたえてくれない.
評価: ★★★☆☆
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ここ 2 週間くらいのあいだに戸塚と東戸塚にいく機会がありました. いずれも,かつて半年あるいは 1 年半,かよったことがある場所ですが,それはもう 20 年くらいまえのことです. 最近はほとんどいく機会がなかったので,まちの状況をよく把握していなかったのですが,戸塚は再開発のまっ最中であり,東戸塚は最近の変化ではないが,あらたな発見がありました.
著者は,男ならだれでも,痴漢としてつかまり,冤罪 (えんざい) をきせられる可能性があるという. 「被害者」 の女性が 「犯人」 だというと,警察も検察もそれにしたがって犯人にしたてあげる. それだけでなく,おおくの裁判官は理由にもならない理由で有罪にするという. もと裁判官だった著者が書いているから,信じられる気がしてくる. 痴漢事件のうちどれだけが冤罪なのかはわからないが,もしかすると大半の事件は冤罪なのではないかともおもえる. 重大事件に関しては裁判員制度によって冤罪が減少する可能性もあるが,痴漢は重大事件ではないから,今後も冤罪がなくならないのだろう. 満員電車に乗るときは痴漢冤罪にご注意!
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 痴漢冤罪の恐怖@ ,痴漢冤罪の恐怖@Amazon.co.jp.
タイトルからは,目からウロコの話がつぎつぎにくりだされることを期待してしまう. しかし,実のところ,私にとってはすでにくずされている常識を確認する,また,ピンとこない話がならべられている,退屈な本でしかなかった. まだ 20 年前の常識にとらわれているひとには新鮮な本なのかもしれない.
評価: ★★☆☆☆
わたしのこどもとプログラミングとのかかわりについて書くことにします. 幼稚園のときに自発的に書いたプログラムの話と,小学生 (低学年) のときに Squeek の本をみつけてパソコンでプログラムを書いていた話です.
年末になると,あちらこちらに LED (発光ダイオード) によるイルミネーションがかざられる. 青色 LED が廉価になって以来,そればかりがつかわれてることがおおい. なぜ青色 LED ばかりをつかおうとするのか,理解しがたい.
「日本の携帯電話のガラパゴス機能とは?」 という項目では,日本の携帯電話のお財布ケータイ,ワンセグ,着うたフルなどの機能はガラパゴス機能だが,カメラはちがうと書いた. アメリカでは携帯電話のカメラのつかいかたの本まで出版されているが,IEEE Pervasive Computing というジャーナルでもカメラつき携帯電話がとりあげられている.