医療保険に関しては 「後期高齢者」 の制度は評判がわるいが,高齢者問題をあつかった本をさがそうというとき,定年後すぐの問題と 「後期高齢者」 の問題とはまったくべつなのに,後者をさがすのがむずかしい. 「「シニア」 ということばの問題点 ― 老年と中年がくべつされない」 に書いたことにちかいが,もうすこし年代をずらして再度かんがえてみたい.
私自身も定年がちかいのだが,自分のことはそれほど心配していない. それよりも心配なのは母のことだが,「老後」 で検索してみつかるのは 60 歳をこえたくらい,定年後すぐのひとたちをあつかった本がおおい. その年代が 「団塊」 だからというのもそのひとつの理由だろうが,どういうことばで検索すればよいのかがわからない,また 「老後」,「定年後」 などとくらべるとそういう年代のひとのことを検索するキーワードがすぐにおもいつかないことがおおきい. 「後期高齢者」 というくるしい命名もそこからかているのだろう. 最近 「老後」 とくに 「老後の生きがい」 に関する本をいろいろあさっているが,その目的も私自身のことではない.
定年後のひとびとはあるくのもさほど苦痛でないから,やまにのぼることもできる. しかし,「後期」 のひとびとは階段や坂をのぼるのはかなり困難だ. そうすると,都市のなかでも,自然の場所でも,行けるところや行く方法がまったくちがってくる. 「高齢の母をつれての旅行の失敗談」 や 「家族全員を満足させられる旅行はむずかしい」 などの項目にも書いてきたことだ. これらの項目に書いた話題は旅行にかぎられるが,日常生活においても同様だ. これといった解決策はまだない.