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歴史アーカイブ

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Atsuhime-CD.jpg ahen.jpg このカテゴリーには歴史を中心とする話題をあつめています. 上位のカテゴリーはカナダからのブログです. 共産主義・社会主義戦争などに関する話題はサブカテゴリーに分類しているので,そちらをみてください.

このページには書評もふくまれていますが,歴史に関する書評のページにはそれらの書評だけをあつめています.

なお,このページは歴史アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 19:19 です).

おもくなるのをさけるためにアーカイブのページには写真がはいらないようにしていますが,個別ページにある写真をここに引用しておきます.

2006-05-14

この本は,ゴルバチョフからエリツィンに主役が交代する時期に,ロシアがかかえる,ひとことではいえないさまざまな問題をあつかっている. とくに,のちにプーチンをも苦しめることになる生産・流通の問題点などを分析している. とくに印象にのこったのは 「資本主義との対決に一喜一憂する中で,我々は何世紀にもわたって人類が創り上げてきた多くのものの意義を明らかに過小評価したのである」 というゴルバチョフのことば (p. 74) である. このことばは,「資本主義」 や 「人類」 を日本をとりまく局所的な文脈でよみかえることによって (たとえば 「人類」 を 「日本人」 とよみかえることで) 破壊的なマルクス主義の影響からぬけだしていない現在の日本にも警鐘となるであろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ロシアの悲劇@Amazon.co.jp. (品切れになっているので,古書があるときだけ買えます.)

つづく…

2006-05-15

3 つの章のうち 2 つはソビエト崩壊の予測に関係している. しかし,3 章では突然,日本の非武装中立論を批判している. 1990 年前後の小室直樹の本は饒舌で脱線が多いが,それにしても…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ソビエト帝国の崩壊@Amazon.co.jp. (品切れになっているので,古書があるときだけ買えます.)

つづく…

最初の何章かは従軍慰安婦問題,東京裁判の問題など,すでにほかの論者によってさんざん書かれている内容である. そのなかには 「選挙コンプレックスがニクソンの生命取りになった」 (p. 113) というような,おもしろい話がちりばめてあったりはするものの,あまり新鮮さは感じられなかった. 3 章からは日本資本主義の分析など,小室らしい話題が登場するが,私にとってもっともインパクトがあったのは第 4 章 「なぜ,天皇は 「神」 となったのか」 である. 最近は教育勅語が現在でも有効な常識的な内容だとする意見が多くなっているが,小室によれば教育勅語はキリストのような現人神である天皇が儒教にはないまったく新しい規範を説いたものであるという. これぞ小室天皇教の真髄であり,逆にいえば教育勅語の “復活” に注意が必要だということでもある.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本国民に告ぐ@ [bk1]日本国民に告ぐ@Amazon.co.jp

つづく…

2006-05-25

著者は戦国時代から明治時代にいたるまでのさまざまな武士道を比較しつつ論じている. 「明治武士道」 というと新渡戸や内村などのキリスト教徒の思想が有名だが,この本では当時むしろ優勢だったが 「敗戦とともに忘れ去られた」 井上哲次郎らの国家主義者による明治武士道についても論じている. この本でもくわしく論じられてはいないが,いま,敗戦とともにうしなわれたものをほりおこすことが必要であり,このような明治武士道もほりおこすべきもののひとつなのではないだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 武士道の逆襲@ [bk1]武士道の逆襲 @Amazon.co.jp

つづく…

2006-06-03

宮台真司の本には粗雑なものが多い. この本に関しても他のレビューで誤字脱字の多さや注釈がないことが指摘されている (注釈がある本でも場違いなことが多い). たくさんのひきだしのなかみをチラチラとひけらかしてくれて,つまりカタログ的にいろいろなことが書いてあるので,それをヒントにかんがえたり,ほかの本を読んだりすることはできるが,この本だけ読んでも宮台のように知識がない私には,それらの断片を理解することができない. もっと,だれでもわかるように,ていねいに書いてほしいものである.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 亜細亜主義の顛末に学べ@ [bk1]亜細亜主義の顛末に学べ@Amazon.co.jp

つづく…

2007-08-10

「大論争」 というと,国民の権利のありかたや,憲法における天皇や国政組織のかたちなどについて論争がくりひろげられるさまを想像してしまう. ところが,この本のおもな内容はそれとはまったくちがっていた. 日本国憲法はマッカーサーがきめたのか国会がきめたのか,国際法上有効なのかどうか,などなど,憲法の制定過程などに関する議論がほとんどである. 民主主義にとって手続きが重要であることはもちろんだが,もっと内容に関する議論が必要なのではないだろうか.

この本の解説のなかにも 「この 50 年間,憲法改正 (中略) の論議が深まったということはなかったのである」 とかかれているが,それはいまだに議論のおおくが具体的な憲法の内容にふみこまずに,手続きなどに関する不毛な論争をくりかえしているだけだからではないだろうか. もっと条文の内容にたちいって議論しないかぎりは,いつまでたっても議論はふかまらず,日本の民主主義もふかまらない. そして,気がついたら,むりやり国民投票にかけられているということになりかねない.

こういう “からっぽの議論” が 50 年前にはじまっていたことを確認する意味で,この記録は貴重なものだといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 50 年前の憲法大論争@ [bk1]50 年前の憲法大論争@Amazon.co.jp

つづく…

2007-08-16

8 月 12 日に NHK で 「鬼太郎が見た玉砕」 を見た. これは水木しげるの 「総員玉砕せよ!」 (集英社板講談社文庫版) にもとづいていて,水木によれば,ラバウルでの体験を 「90 パーセント事実に基づいて」 書いているが,一部,脚色された部分がある. 水木の作品にはより経験に忠実に書いた 「水木しげるのラバウル戦記」 もある (Web 上の 「水木しげる伝」 にも同様の内容が書かれている).

すでに Web 上にいろいろな番組評,書評が書かれているが,そのおおくは戦争の悲惨さ,二等兵の悲哀などについて書かれている. しかし,私がもっともつよく印象づけられたのは,名誉のため玉砕を志向する大隊長とそれを避けて兵士たちをすくおうとする中隊長のはげしい対立,そして一時的にはすくわれた兵士たちが結局はメンツを重視する参謀によってふたたび玉砕をしいられるところだった. とくに,前者には 「武士道」 とのつながりを感じてしまう. この部分に注目している評がないことがむしろ,ふしぎである.

つづく…

2007-11-10

日華事変以来,日中の関係はよかったとはいいがたいのですが,小泉政権下で最悪になり,現在も十分回復したとはいえません. その原因としては中国の日本への (あるいは中国人の日本人への) 誤解もあるでしょう. しかし,日本人に欠けているもののひとつは,ながい歴史と文化をもつ中国への敬意ではないかとおもいます.

つづく…

2008-03-19

ちかごろの本はただ平易でよみやすくするばかりで,味わいのない文章がおおい. それに対してこの本の著者は 「本を大量に読み,文章を膨大に書きなぐるという過程を子供の頃から無意識で繰り返しては来たのだが,文章に味わいや品格というものがどうにもこうにも涌いてこない」 と書いてはいるものの,この本はひと味ちがっている. また,通説にとらわれず,2 ちゃんねらーについても小林秀雄や藤原正彦も独自に理解しようとしている. 疑問の点も多々あるが,得るところもある本である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 新しい神の国@ [bk1]新しい神の国@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-17

NHK の大河ドラマにおける篤姫は,当時の日本においては自分ですすむ道をきりひらくことはできず男にしたがうしかないということをみとめつつも,できる範囲で自発的にかつ積極的にふるまっています. いわば,社長にはしたがわざるをえないが自分の権限の範囲ではおおなたをふるえる “副社長” として,最大限の努力をしているようにみえます. それはあたかも現代の企業における経営者 (副社長) のようにえがかれているように私にはみえます.

つづく…

2008-07-06

大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」 という項目で NHK の大河ドラマ 「篤姫」 が副社長のようだと書きました. その後,つづきをみて,原作を入手してみたところでは,このドラマは原作に,時代考証にしたがい,かつ現代にあわせた修正をくわえているようにおもえました.

つづく…

NHK の大河ドラマ 「篤姫」 については 「大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」,「原作を時代と現在にあわせて洗練した (?) 「篤姫」」 という項目で書いてきたが,もうひとつべつの視点からみてみたい. 大河ドラマにおいては武力によるたたかいがおおくえがかれてきたが,「篤姫」 におけるような武力によらないたたかいが現代においては必要とされている,そういう意味で価値があるのではないかということである.

つづく…

2008-07-07

ベタベタにナレーションをいれる大河ドラマがおおいなかで,「篤姫」 はナレーションなしで複雑な心理描写や政治的なうごきを表現しようとしています. そのため,視聴者にわかりやすいセリフにたすけられているばあいもありますが,ときにはセリフすらなしでそれらを表現しなければならなくなっています. 役者とくに篤姫役の 宮崎 あおい にはむずかしい演技がもとめられています. その一方で,解釈にも幅が生じていて,このドラマをより表現上ふかいものにしています.

つづく…

2008-07-11

最近,篤姫についていろいろ書いていますが,「大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」 という項目では 「経営改革」 をすすめる篤姫を副社長になぞらえました. その後のドラマにおいては篤姫が信念にしたがって行動するさまがえがかれていますが,これもまた,経営者にかぎらず現代社会においても重要なことです. 「プレジデント」 など,経営者むけの雑誌ではよく徳川家康などの歴史上の人物がえがかれていますが,篤姫もとりあげられてしかるべきなのではないかとおもってみたところ,すでにとりあげられていました.

つづく…

2008-11-06

この本は 「満州国」 について,また満州における日本人の功罪について,公平に記述しようとしている. また満州だけでなく,当時の日本や中国,ソ連などの状況についても書かれている.

満州の状態に関しては,治安がわるく,調査団もおもうように調査ができないことが書かれている. 匪賊によってしばしば鉄道が爆破されること,朝鮮人による日本の著名人などの暗殺が横行していること,とくにリットン調査団員の暗殺計画があったことや団員をまもるために多数の警官が動員されたことについても書かれている.

日本人やその行為に関しては,つぎのようなことが書かれている. 日本人がチチハルの住民に対して新しい支配者としてふりまっていたこと. 「満州にいる中国人は [中略] 「満州国」 に対し,ほとんど例外なく敵対感情を抱いていた」 こと. また 「いまから百年前ならば,おそらく中国を征服して,ここに大帝国を建設することができたかもしれない」 が,当時は 「日本が独占的に中国を支配しようと試みても,単に中国民衆の抵抗に遭うばかりか,中国に利権をもつ各国から反対されるであろう」 と書かれている.

日本人の大陸における農林業への貢献についても書かれている. たとえば,「朝鮮人は植林もせずにやみくもに森の木を伐った.[中略] 日本人は,日本の政権が禿山に植林した業績を誇っている」.

政治的にも経済的にも混乱する日本の様子もえがかれている. たとえば政治に関しては狂信的な国家主義者によって浜口首相,井上元蔵相,犬養首相らがつぎつぎに暗殺されたこと,国民世論もこうした穏健な政治家の退陣をせまっていることが書かれている. また,農業に関しては日本人が朝鮮の稲作を発展させたこととあわせて,はげしい朝鮮米と内地米の競争や世界恐慌などから農業危機がもたらされたことが書かれている.

ソ連の行為に関しても,シベリアの住民が悲惨な目にあい,数千人の餓死者がでていること,満州に逃げのびたひとびとを中国の将軍がソ連にひきわたし,ボルシェビキに射殺されたことなどが書かれている.

最近,日本では東京裁判以降にひろめられた歴史観とともに,それを否定し大東亜戦争に価値をみいだそうとする 2 つの派があらそっているが,両極端にはしっているようにみえる. この本のように,生の中立的な立場の記述からまなべることはすくなくないとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「満州国」見聞記@ [bk1]「満州国」見聞記@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-05

従来の見方にとらわれず,さまざまな面から満洲国をとらえようとしている. 張作霖,張学良などの奉天軍閥の再評価,日本から進出した農家や商人が商売上手な中国人に勝てずに失敗したこと,農業技術の革新ができなかったこと,最近の回想録の傾向など,いろいろ興味ぶかい. 内容がさまざまなぶん感想もまとめにくいが,そういう道教的 (?) な世界だったということだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 〈満洲〉の歴史@ [bk1]〈満洲〉の歴史@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-31

白洲次郎が文藝春秋などの雑誌にのせた文章をまとめた本である. 日本国憲法の成立,戦前や米軍占領下の政治にかかわった著者が,政治や政治家などについて,きわめて率直に,あるときは弱点もさらして,書いている. 憲法についてかんがえるときにも,参考になるだろう.

現在の雑誌にこのような文章をのせたなら,たちまちひどい攻撃の対象になってしまうのではないだろうか. プリンシプルの有無をいう以前に,そこに現代の問題を感じてしまう.率直に表現し,率直に読むことをまなびたい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: プリンシプルのない日本@ [bk1]プリンシプルのない日本@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-05

加藤周一には 「私にとっての20世紀」 という著書もあり社会主義や戦争を中心に議論されているが,「20世紀の自画像」 では戦争はとりあげられているが社会主義はおおきなテーマにはならず,かわりに文学中心の 「戦後思想」 がとりあげられている. プロローグでは科学技術もとりあげられているが,本文ではテーマとなっていない.

本文第 1 部は成田龍一によるインタビュー,第 2 部は成田による解説となっているが,いずれもいくつもの話題のあいだで焦点をうつしながら論じているため,あまり迫力が感じられない. 著者は加藤ひとりということになっているが,議論のながれをつくっているのは成田である. 加藤自身の著書を読むほうがよいとおもえる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 20世紀の自画像@ [bk1]20世紀の自画像@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-16

現代中国においてもっとも注目するべき指導者である朱鎔基が首相になるまでをえがいている. 日本で出版された朱鎔基に関する本はほとんどが 1998~2000 年に出版されているが,この本は 1998 年であり,重要な部分が欠けていることが惜しまれる. 比較的淡々と書かれていて迫力はないが,朱鎔基と他の中国指導者とくに鄧小平との関係,日本の政治家との類似点などが比較的くわしくえがかれている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 朱鎔基の中国改革@ [bk1]朱鎔基の中国改革@Amazon.co.jp

つづく…

2009-05-10

「図解雑学」 シリーズには雑学らしからぬ本が多いが,この本は日本史のなかのさまざまなエピソードをあつかっていて,もっとも雑学らしい. ただし,大半は江戸時代に関するエピソードであり,そのなかでもとくに武士のことが多い.

また,このシリーズではたいてい右ページは図や絵になっているが,この本はちがっていて,右ページもほとんど文章でうめつくされている. つまり,「雑学」 ではあっても 「図解」 ではない.

とはいえ,江戸時代の武士のエピソードに興味があるひとにはよいだろう (私はそうでないのでハズレだったが…).

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 誰も知らない日本史の真実@ [bk1]誰も知らない日本史の真実@Amazon.co.jp

つづく…

2009-11-23

著者は対象から昭和にかけて大連にくらし,日中戦争当時は内地でくらしていたものの,大連訪問時のようすも書いている. ときにはおもいをこめながらも,戦争や殺人事件などをふくむさまざまなエピソードを淡々と書いている. 大連のたべものやコンサートの話題もあって,興味をひかれる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 幻の大連@ [bk1]幻の大連@Amazon.co.jp

つづく…

2011-02-27

上海租界にはイギリス人,アメリカ人,ロシア人,ユダヤ人,日本人,そして中国人がいた. おもに,自由な雰囲気があった 1930 年代までの上海について,それぞれに 1 章ずつあたえて書いている. 内容はそれぞれの国民というよりは,彼らがもたらした文化に重点がある. 日本人についても,山田妙子というダンサーや,朝比奈隆,服部良一という音楽家,山口淑子という女優などがとりあげられているが,「文化建設という点においては欧米に遠く及ばない」 と認識されていたという.

現在の上海を観光してこういう時代にふれるのはむずかしいだろうが,この本を参考にして,ぜひ,こころみてみたいとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 上海@ [bk1]上海@Amazon.co.jp

つづく…

2011-03-27

偽物・毒物が横行するオリンピック前の中国の状況をなまなましくつたえている. 著者は現在の中国につよい興味をもちながら,歴史も客観的にみようとしている. 歴史や儒教に無頓着な中国人をえがき,当時の主流派から弾圧された劉少奇がていねいにあつかわれているさまをえがいくなど,いろいろ興味をひかれる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: トンデモ中国@ [bk1]トンデモ中国@Amazon.co.jp

つづく…

2011-05-21

「精神の空白」 や日本国憲法,戦後の教育を中心として,太平洋戦争後の日本がかかえたままの問題をしめそうとしている. 問題をうみだした元凶はアメリカによる占領時の上からの民主化や国防政策の転換,産業化の成功などだ. 憲法に関しては,非武装中立論に重点をおいて検討している. また,教育に関しては 「公民」 ということばの検討に重点がおかれている.

わかりのよい本ではないし,論旨にも弱点がある. しかし,わかりのよい本で思考停止におちいるよりは,こういう本を読んで読者みずからかんがえるのも,わるくないのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 戦後日本の盲点@ [bk1] 戦後日本の盲点@Amazon.co.jp

つづく…

2011-06-14

タイトルをみると,バブル崩壊以来露呈した日本の問題点の原因を近代史のなかにさぐろうとしているという印象をうける. 実際,そうしたかったのだろう. しかし,読んでみるとほとんどは最近の日本の問題点とは関係のない通史の記述にあてられていることがわかる. その内容はむしろステレオタイプ的であり,そこから現代日本の問題を解決するためのヒントがえられるようにはおもえない. もしこういうタイトルをつけるのなら,もっと現代の問題点につながることがらをえぐりだす必要があっただろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 日本の迷走@ [bk1] 日本の迷走@Amazon.co.jp

つづく…

2011-06-23

戦前の日本の体制をファシズムときめてかかっている議論がいまだに,あまりにめだつ. しかし,日本の体制がファシズムだったということは全然あきらかなことではないのだ. 日本がドイツ,イタリアと三国同盟をむすんでいたことが,こういう短絡的なかんがえかたを生む背景にあるのだろう. しかし,すくなくとも,それがファシズムではなかったとかんがえているひとに配慮した議論をしてもらいたいものだ.

つづく…

2011-07-23

タイトルにふくまれる 「震災」 をみて買ってしまったが,これは帯にあるように日本の災害と信仰の歴史についての本であり,震災についてはむしろわずかしか書いていない. 災害については 1 章で書いている. 2 章は 「災害にへこたれない日本人」 というタイトルだが,おもに日本の神仏について書かれている.

日本の歴史に関するおもしろいエピソードなどをいろいろふくんでいるが,いささか,まとまりがない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 日本人はなぜ震災にへこたれないのか@ [bk1] 日本人はなぜ震災にへこたれないのか@Amazon.co.jp

つづく…

2011-12-11

妻が参加している合唱団の演奏会で 「間宮」 という人名をみて,間宮芳生 (みちお) という作曲家のこと,間宮林蔵や間宮海峡のことなど,いろいろ想像した. あとでしらべてみると,林蔵と芳生とは旭川という地名でつながっていることがわかった.

つづく…

2012-03-13

3 月 4 日の大河ドラマ 「平清盛」 では清盛と…が 「すごろく」 なるものをするシーンがあるが, このすごろくは現在のそれとはちがう. 多数のコマをならべて,2 つのさいころを振っている. これはバックギャモン (backgammon) のようにみえる. ルールにはちがいがあるのだろうが,これも中国からきたものなのだろうか.

つづく…

2012-09-30

日本は 1910 年に朝鮮を併合した. 併合ののち朝鮮人は日本人と平等にあつかわれたとはいえないが,一応は日本人とみなされた. すくなくともたてまえでは平等にあつかうことで単純に植民地化するよりはよいあつかいをしてきたと,これまではかんがえてきた. しかし,最近,そうではないとおもうようになった.

つづく…

2012-10-03

「戦後教育」 や 「自虐史観」 などが問題にされるなかで戦後の歴史をふりかえる機会はすくなくないが,それでも,この本はこれまでわすれていた,あるいは気づいていなかった事実に気づかせてくれる. 太平洋戦争後 1960 年ごろまで,一般の日本人は戦争の被害者であり加害者意識がなかったこと,そこでめばえた加害者意識が 「7.7 告発」 というできごとを機会に急速にひろまり,そこからこの本の最大のテーマである 「マイノリティ憑依」 が日本人とくにマスコミなどにひろがっていったこと.

「マイノリティ憑依」 ではアウトサイダーがマイノリティの立場にたとうとするが,東日本大震災ではその規模がおおきかったがゆえに,河北新報の記者をはじめおおくの当事者 (インサイダー) が情報を発信することになった. 著者はそこに 「マイノリティ憑依」 からぬけだす道をみている. しかし,津波被害と原発被害がまったくことなる様相を呈しているように,東日本大震災の被災者ではあっても,ひとによって経験はまったくちがう. 津波被害者は原発被害に関してはアウトサイダーであり,逆もまた真だ. 東日本大震災の被災者であるということだけで,みなが当事者だということにはならないだろう. だから,この本のタイトルには違和感をおぼえる. 「マイノリティ憑依」 が問題点であるのなら,それは今後も継続していくのではないだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「当事者」の時代@Amazon.co.jp

つづく…

2013-05-19

もとになっているのは「ハッカーズジャパン」という雑誌の記事だ.雑誌記事としてはかぎられたひとの目にしかふれなかっただろうが,コンピュータの歴史に興味があるひとならだれでもおもしろく読めるであろう内容だ.これまでもこの種の話を読んできた私も知らなかった (もしくはわすれてしまった) エピソードがいろいろ書いてある.Kindle で出版するのにもっともふさわしい内容だろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 真空管と十進法@Amazon.co.jp

つづく…

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