iPhone と Wii の共通点 ?! ― “不便” でも単純さを追求する
ユーザ・インタフェースは単純で直観的なほうがだれでもすぐにつかえる. しかし,便利さを追求すると複雑に,そして直観的に把握できないようになりがちである. Apple は単純で直観的なインタフェースを追求してきたが,いまそれを代表しているのが iPhone のインタフェースである. しかし,任天堂の Wii もそれにおとらず,単純さをもとめているといえるだろう.
ユーザ・インタフェースは単純で直観的なほうがだれでもすぐにつかえる. しかし,便利さを追求すると複雑に,そして直観的に把握できないようになりがちである. Apple は単純で直観的なインタフェースを追求してきたが,いまそれを代表しているのが iPhone のインタフェースである. しかし,任天堂の Wii もそれにおとらず,単純さをもとめているといえるだろう.
ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートは毎年,世界中に中継されている. 今年の指揮者バレンボイムは恒例のあいさつのなかに,中東の平和をのぞむみじかいメッセージをこめていた. イスラエルとガザで毎日多数の死傷者がでる状態がつづいているが,その切実なメッセージは,とくに日本の聴取者にどれだけつたわったのだろうか?
Google マップをはじめ,Web でみられるいくつかの地図で国分寺付近をみてみると,北側に 「国分寺中央公園」 と書いてある (書いてない地図もある). 池や噴水のマークのそばに書いてあるが,この池は日立製作所中央研究所の庭園だ. Google で 「国分寺中央公園」 を検索してみると,千葉県市原市にはこのなまえの公園があるという. なぜこのようなまったくちがう場所の地名がついてしまったのか,わからないが,たしかに,公開されていれば 「国分寺中央公園」 とよぶにふさわしい場所ではある.
第 1 章は新聞とネットとのたたかいについて書いている. 質のたかい情報にカネをはらうひとは新聞を支持するというが,問題はその数がどのくらいかということだろう.
第 2 章はひとびとがネットにカネをはらわなくなってことなどについて書いている. 「国民の総専門家化」 など,さまざまな話題がふくまれているが,消化不良の感がある.
第 3 章はホリエモンについていろいろ書いている. なにがいいたいのかは,結局,よくわからない.
第 4 章は SBM (ソフトバンク・モバイル) による携帯業界へのなぐりこみについて書いている. 著者は SBM の将来には悲観的だ.
第 5 章はネットの中立性とネット無料文化のみなおしについてであり,ここでも著者は Yahoo! BB による xDSL ビジネスに批判的である.
いろいろなことが書いてあるが,数値的におさえられている部分は比較的すくなく,なにが真実なのかわからない. ただ書き散らしているだけという印象はぬぐえない.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 情報革命バブルの崩壊@ ,情報革命バブルの崩壊@Amazon.co.jp.
読みはじめて最初は,これがワークライフバランスの本だとはおもえなかった. 「バランス」 ということばがはいっている以上は 「ワークライフバランス」 とは仕事と生活とを天秤にかけるイメージなのに,この本に書いてあるのは,およそそうでないからだ.
しかし,読んでいくにつれて,この本に書いてあるのは仕事と生活とを両方ともたのしもうということであり,そうすることによって両者が調和する,それが 「仕事と生活の調和」 という,「ワークライフバランス」 の日本語訳の意味なのだと感じた.
読者としてはおもに女性を想定しているが,もちろん男性が読んでも,えるところがあるだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: ワークライフバランス@ ,ワークライフバランス@Amazon.co.jp.
本書は厚生労働省が無理に医師をへらし,製薬会社や医療機器の会社には手厚く医師や病院にはきびしい政策を撮っていることを批判している. すこし意外だったのは,「医療を軽視する日本政府のあり方は,明治維新で決定的に」 なり,現在,崩壊の危機のなかにある国民皆保険制度の導入時から医療崩壊がはじまっているという指摘である. それでは日本にどういう制度をきずけばよいのか? この本のなかには解をみいだすことはできない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 誰が日本の医療を殺すのか@ ,誰が日本の医療を殺すのか@Amazon.co.jp.
山田耕筰 (Kósçak Yamada) の長唄交響曲 「鶴亀」 などをおさめた CD,Naxos 8.557971J をきいた. 他に 2 曲,いずれも,これまできいたことがなかったとおもう. 「鶴亀」 は日本の古典音楽と西洋のオーケストラとをくみあわせた,はしりのような曲だが,オーケストラのない部分のほうが安心してきける気がしてしまう. この曲がもっともあたらしいが,むしろ舞踊交響曲 「マグダラのマリア」 (1916) や交響曲 「明治頌歌」 (1921) のほうが魅力的にひびく.
非正規労働者によまれているというので 「蟹工船」 を読んだが,それ以来,非正規労働者の見方になれる政治勢力がいるとすれば,それは日本共産党をおいてほかにはないとおもってきた. きょう (2009 年 1 月 11 日) の朝日新聞には,共産党が実際にそういう方向にうごいているらしいことが報道されている.
米国人の大多数はオバマ大統領を歓迎しているようだ. しかし,白人のなかには黒人大統領の誕生を良からぬこととおもっているひともいるはずだ. 暗殺というようなことがおこらなければよいが…
2 カ月ほどまえ,3 つのプランターにエンドウのたねをまいた. 発芽して 10 cm くらいのながさになっている. ところが,3 つのうち 2 つのプランターでは,苗がうえにむかってのびているのに,もうひとつのプランターでは,ほとんどの苗が横にむかってのびている. 日あたりがわるいことと関係がありそうだが,ほかにも,日あたりがわるいプランターはある. なぜこのひとつだけが,こうなるのだろうか?
昨年の夏に 2 つのプランターにブロッコリーの種をまきました. おおきくはなったが,11 月まで多数のモンシロチョウが発生して,葉がほとんど,くわれてしまいました. そのため,あきらめて 2 つのうち 1 つは処分してしまいました. ところが,のこったブロッコリーはいまになって花芽がでてきたのです. 葉がほとんどのこっていないので,おおきくなることはできないでしょうが,もうしばらく,みまもっていきたいとおもいます.
プランター様のものでコリアンダーをそだてていますが,容器がちいさい,日あたりがわるい,ときどき水がたりなくなっているなど,いろいろ悪条件があるためか,かならずしも元気がありません. しかし,ふとい茎が 1 ~ 2 本,ニョキニョキとはえていますし,最近になってあたらしい葉がぎっしりとでてきました. 花芽もあるようです.
1 月 11 日の NHK 「ダーウィンが来た!」 で,テナガザルのなきごえの話をしていた. なきはじめに声の周波数 (音程) がしだいにあがり,なきおわりにそれがさがるという. 周波数があがるとその音をきくものは緊張し,それがさがるとその音をきくものは弛緩するという. サイレンの音もそれとおなじだという.
それでおもいだしたのはドップラー効果である. 物体がちかづくとき,その物体が発する音の周波数はあがり,とおざかるとそれはさがる. なんとうまくできていることだろう.
マンション屋から電話がかかってくることがおおい. 「マンションなどのセールスの手口とそれに対する感想」 という項目でそれを分析したが,最近は元気のないセールスマンがおおいようにおもう. なにが売りたいのか,なかなかわからない電話もおおい. そういうなかで,先日,大阪のセンチュリー 21 (Century 21) からかかってきた電話はみごとだった.
タイトルをはじめとして,実用的な本であるかのようにみせかけているが,実は言語学者によるメール作法の分析書である. メールを書くときの実用にはあまりならないだろうが,ケータイ・メールまでふくめて,これだけ様々な場面を分析した本は他にないだろう. ただ,メール作法はコミュニティによってかなりのちがいがある. 大学生が書いたメールを中心に分析しているので,企業でメールをみている私には違和感がある部分もあった.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: デジタル社会の日本語作法@ ,デジタル社会の日本語作法@Amazon.co.jp.
この Web サイトに関する統計は 1 カ月ごとに記録しているが,そのなかからブログのページだけをひろってみた. 10 月に Web サイトを移転させたので,とりあえず,それ以降の 2 カ月のアクセス・ランキングをみてみよう.
これまで,いくつかの国家プロジェクトにかかわってきた. しかし,どうも,国家プロジェクトというものがすきになれない. しばしば税金がむだづかいされているとおもうからだ.
公共事業のむだづかいは糾弾されつづけてきたが,いまだにむだガネがつかわれている. 金額はそれよりちいさいとはいえ,同様のむだづかいはいたるところにあるだろう. むしろ,公共事業のように糾弾されていないがゆえに,もっとむだなカネがつかわれているのではないだろうか. 国家プロジェクトもそのひとつだとおもえる.
サブタイトルや著者の肩書きにふくまれている 「ワークライフバランス」 ということばには,仕事と生活を天秤にかけるようなイメージがある. しかし,この本が主張しているのは,仕事と生活の両方にしっかりとりくむことで相乗効果があるということである. とくに,おなじような仕事をしている夫婦は著者の経験からまなぶことができるだろう. 仕事をうまく家庭にもちこむ方法が書いてあるからだ. 家事を夫に 「教え」 てはいけない (自分でまなばせる) というのも重要な指摘だろう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: あなたが輝く働き方@ ,あなたが輝く働き方@Amazon.co.jp.
1 人の著者が書いたことになっているが,実際は 20 人くらいのひとが書いた (or 語った) 内容をまとめている. この本を読んでもフェアトレードとはなんなのかがかならずしもわからないが,ひとによってちがうさまざまなフェアトレードに対するかんがえかたを知ることができる. 私自身は 「消費者が満足してこその生産があるべきで [中略] 「かわいそうだから」 という気持ちで買っても,使わないでタンスにしまわれているのは果たしてフェアなのだろうかと考えてしまうのです」 という 山口 絵理子 のかんがえに共感する.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: フェアトレードの時代@ ,フェアトレードの時代@Amazon.co.jp.
Google を他のさまざまな Web サイトや企業との関係を中心にえがいている. つまり,ほとんどのプロジェクトが日の目をみることがないシリコンバレーのなかでどうやって成功し,どうやって同業他社に勝ち,どのように買収されたか,あるいは買収したか,などである. 最初はメール削除ボタンがなかった G メールにどういういきさつでそれが追加されたというようなエピソードもおもしろい.
評価: ★★★★☆
関連リンク: プラネット・グーグル@ ,プラネット・グーグル@Amazon.co.jp.
最近は宗教とのかかわりは希薄になってしまった. しかし,私がこどものころは,もうすこし宗教とくに立正佼成会とのかかわりがあった. 学生のころから立正佼成会が世界平和に貢献しようとしていることは知っていたが,イスラム教世界とキリスト教世界が対立するなかで,仏教者がはたせるやくわりは,いまもあるものとおもう.
中学生のころ,高価なスピーカーは買えなかった. また,自分のへやには大型のスピーカーがおける場所はなかった. そのため,オーディオ雑誌にのっていた製作記事を参考にして,プラスティック製のボウルを 2 個あわせたものに小型のスピーカーをつけて,つかっていた. それは,いまはつかってはいないが,のこっている. それをもう一度,復活させようとおもうようになった.
奥野 宣之 の 「読書は 1 冊のノートにまとめなさい」 という本を読んだ. そもそもノートをつける気はなかったのだが,ブログや Amazon, BK1 をつかった自分の方法と比較したかったから読んだのである. すくなくとも自分にはいまつかっている方法があっていることを,あらためて確認した. この方法がほかのひとにどこまでつかえるかはわからないが,すくなくとも奥野の方法よりこのほうがあっているとおもうひとはいるだろうとおもう.
本を読んでえた情報も,読みたい本に関する情報も,みな 1 冊のノートにまとめることをすすめている. ひとつにまとめることで,あつかいやすくなるのはたしかだろう. しかし,著者もすべてをこのノートでまにあわせているわけではなく,書店で買いたい本は 「探書リスト」 というべつの紙に書き,検索にはアマゾンやセブンアンドワイをつかうという.
それなら,ブログやアマゾン,BK1 の書評欄を読書ノートとしてつかい,それらの保存用カートを 「探書リスト」 としてつかう私のやりかたでも,おなじようなことができる. このほうが読書ノートを検索しやすいし,とくに BK1 では書評にすばやくフィードバックがかえってくるので,書きがいがある. もちろん 「探書リスト」 の本をすぐに発注することができる.
評価: ★★☆☆☆
ハプティクス (触覚学) の重要な応用は遠隔手術だとかんがえられている. たしかに,遠隔手術が可能になれば,これまでできなかったことがいろいろ可能になるだろう. しかし,今後も大多数の手術は病院で,その病院の医師によっておこなわれるだろう. したがって,そういう状況でつかえる技術のほうがより重要だとかんがえられる. 内視鏡や腹腔鏡をつかった手術は,すぐそこに患部がありながら,さわれない. そこにハプティクスを応用するほうがより重要だとおもえる.
「ブログや Amazon を読書メモとしてつかう」 という項目に,本を読んだときに感想や要約を 「読書メモ」 としてブログや Amazon, BK1 の書評に書いているということを書いた. 以前は,本を読むときも漫然と読み,その内容をわすれてしまうことがおおかったが,書くようになってからは意識して読むようになり,「Web / ブログ で活性化される読書」 にも書いたように,記憶にものこるようになった.
現代の大学生や大卒で就職した若者たちと,そういう若者たちをおしえる大学教授や会社員,若者たちの親にきいた結果をまとめた本である. タイトルも内容も 「下流大学がわるい」 というトーンだが,すなおに読めば大学以前の教育や親の問題のほうがおおきいように読める. バカにされている若者が読めば気分がわるいだろうが,調査にもとづいた問題提起として価値がある. 「…さ」,「…ね」 などの表現をつかった文体は新書としてはいささか異様だが,これもタイトルとともに事態の深刻さをすこしやわらげる意図か?
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 下流大学が日本を滅ぼす!@ ,下流大学が日本を滅ぼす!@Amazon.co.jp.
著者は産業医として若者の声をすなおにきくうちに,彼らをつかう側つまり会社側も彼らを理解せず,あつかいをあやまっていることを指摘している. これまでのやりかたをおしつけるのでなく,彼らにあわせたやりかたが必要だということを示唆している. しかし,具体的なやりかたをかんがえるべきなのは産業医ではなくて職場の上司たちである.
著者は 「したいこと」 にこだわる若者がおおいというが,彼らに対してはその姿勢を一端捨てよといっている. そうすることで将来はのぞみがかなう可能性もあるということだが,やはり元気がでない話ではある.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 勝手に絶望する若者たち@ ,勝手に絶望する若者たち@Amazon.co.jp.
「構造改革」 について論じるとき,戦後日本の経済成長とその鈍化や現在の人口減少などの社会変化について考察することは必須だろう. ところが,この本では小泉改革やその反転に関する政府機関のうごきなど,表層的なところしかみていない. 非正規雇用者や貧困の問題がいくら深刻だからといって,表面にあらわれたことだけをみて政策をみれば,判断をあやまるだろう.
評価: ★☆☆☆☆
関連リンク: 労働再規制@ ,労働再規制@Amazon.co.jp.
年収が 「崩壊」 するなかで,どうやってくらしていけばよいか,著者は,はたらきかた,くらしかた,節約,資産運用など,さまざまな面から提案している. しかし,その内容には疑問がおおい.
たとえば,「ワークライフバランス」 についても論じているが,ワークライフバランスの意味すら説明していないし,「ワークライフバランス」 は,その [パートと正社員の] 中間のライフスタイルが実現できないと難しいという意味不明の記述ですませてしまっている.
ほかの部分も舌足らずでよくわからないことがおおい. カードでポイントをうまくためることをすすめているが,それでどのくらいの効果があるというのだろうか. 経済学者が書いた本としてはあまりにセコいのではないだろうか.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 年収防衛@ ,年収防衛@Amazon.co.jp.
最近は非正規雇用者の仕事がうしなわれるだけでなく,正規雇用者までもが失業する危険がふえてきている. そういうなかで,ワークシェアリングがすすめられるようになってきている. 私は研究者であり,研究はワークシェアリングなどできないとかんがえてきたが,もうすこしちがった見方もできることに気がついた.
日本でも 「フェアトレード」 の運動がすこしずつ,めだつようになってきたようにおもう. しかし,私自身はあやふやな経済外のものを貿易のなかにもちこむことを積極的に肯定する気にはならない. ところが,1 月 20 日の NHK 「プロフェッショナル」 でとりあげられていた まぐろ仲買人の 藤田 浩毅 は,まぐろを競る相手がいないときでも適正とおもう価格で競り落とすという話をきいた. これは,あるべきフェアトレードのかたちだとおもった.
「便秘で痔を悪化させない方法」 について書いたついでに,ずっと以前に経験したヒサヤ大黒堂のくすりと治療システムについて書くことにします.
日本では 「幅広く底上げする」 教育から 「一部の優秀な子を引き上げる」 教育に方針転換することによって教育格差が拡大し,親の収入や学歴などがこどもの収入や学歴をきめるようになってきている. この本はこのような現象を実例をもとに具体的に検証している. 「底」 にきびしい方針に著者が異をとなえているのはあきらかだが,この問題に対して,予算をふやせという以上の明確な答案はしめしていない. いろいろなエピソードがもりこまれてはいるが,迫力は感じられない.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 教育格差が日本を没落させる@ ,教育格差が日本を没落させる@Amazon.co.jp.
きょうの朝日新聞にオバマ大統領の就任演説が英文で全文,掲載されていた. 日本語対訳つきで読みたいひとがおおいから,このようなことが企画されたのだろう. しかし,日本の新聞社や出版社が印刷した英文には,きたないところがいろいろある. フォントも字くばりもきたないので,これを読もうという気にはならない.
パソコンでも英字専用のフォントはきれいだが,日本語フォントで英字を表示させると目もあてられない. こんなフォントがいまだにつかわれているのは,日本人がもともと英字に対する感覚がにぶいか,あるいはきたない印刷やフォントにならされてしまったからだろう.
著者は 「空気を読」 んでそれにしばられることが,さまざまな面でマイナスにはたらいていると主張する. それはそうだろう. しかし,テレビにでて空気にさからう発言をすると,抗議の電話が殺到して番組をおろされるという. それでも空気を読むべきでないといえるのだろうか.
しかし,そもそもこの本の論点のおおくは空気とは関係がない. インドや中国はもちろん,ベトナムでさえも日本よりはるかに給料の格差がおおきいという. 高額の給料をもらえるひとは 「空気読み」 ではないといいたいのだろうが,空気との関係はすこしもあきらかになっていない. むしろこれは著者の人生観や仕事観についての本である. それが役にたつばあいもあるだろうが,あまりに,おしつけがましすぎる.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 一流の人は空気を読まない@ ,一流の人は空気を読まない@Amazon.co.jp.
後輩から英語の論文の書きかたや投稿先などについてきかれた. 投稿先に関しては,分野ごとにちがうし,そのときどきでちがうから,本に書きようがない. しかし,書きかたに関してはさまざまな本が書かれているし,学会誌などにも書かれているだろう. しかし,Amazon で検索してみるかきり,いまの目的にあったものはみつからない.
グローバル化がすすむなかで,日本人も日本固有の不適切なやりかたをつづけることはできない. この本は世界のなかでよりよいやりかたをみつけて,それをとりいれることをすすめている. それを 「世界標準 (グローバル・スタンダード)」 と呼んでいて,実際,ひきあいにだされているのはアメリカやイギリスであることがおおい.
アメリカやイギリスに範をとるということは 「新自由主義」 をすすめるようにもうけとれるが,この本の論点はかららずしもそういうことではない. 「新自由主義」 がダメになったとしても,アメリカやイギリスからまなぶべきことはおおい. それを率直にうけとるべきだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 世界標準で生きられますか@ (単行本), 世界標準で生きられますか@ (文庫), 世界標準で生きられますか@Amazon.co.jp (単行本), 世界標準で生きられますか@Amazon.co.jp (文庫).
第 1 章では,現在の経済状況は主流の経済学では想定していなかったこと,バブルの際には通常の市場のメカニズムがはたらかないが,これまでそれを経済学があつかってこなかったことを指摘している. そして,「バブルの経済学」 を構想している. また第 2 章では,竹中平蔵らによる構造改革をことばをきわめて批判し,そうではなく教育投資や環境エネルギー革命などによって成長をめざすべきだと主張している. 第 3 章では格差とインセンティブの問題をあつかっている.
著者は主流の経済学を批判し,それにもとづく政策を批判している. 著者自身,「異端」 であることを認識している. 批判するのはけっこうだが,主流に対抗できるだけのものがあるのだろうか. この本では格差や医療や諮問機関など,現在の政治経済の問題点をつぎつぎにあげて批判しているが,それらがみな経済学者のせいだというのだろうか? 竹中のように政策をになえないもののひがみにしか,きこえない.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 閉塞経済@ ,閉塞経済@Amazon.co.jp.
「思いやり格差」 ってなんだろうというのが気になって買ってしまった. 学生にきいたところでは,思いやりをもつひとともたないひとに 2 極分化しているとこたえたひとが 5 割,それが 「思いやり格差」 なんだという. しかし,それ以外には 「格差」 が拡大しているという証拠はあげられていない.
問題なのは格差ではなくて,「思いやり」 をはぐくむのがだいじだということだ. そのために本書ではいろいろな提案をしているが,そのなかでも重視しているのがボランティアだ. それ以外では宗教的な要素がつよくて違和感を感じるが,思いやりをはぐくむことに関しては異論はない.
評価: ★★★☆☆
2008 年 12 月時点での世界経済の状況を,アメリカ,ヨーロッパ,新興国,日本にわけて,さまざまな統計をもとにして論じている. 日本の章には,米国がデノミネーションを実施して,日本などが保有する米国債の価値が 1/10 になるかもしれないという,おそろしい話まで書いてある.
時間がたっても記録としての価値はのこるだろうが,基本的には時事的な内容であり,出版するまでに 1 月ぐらい要する新書というメディアにあっているのかどうか,いささか疑問がある.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 恐慌第2波@ ,恐慌第2波@Amazon.co.jp.
90 年代,銀行への資本注入の必要性が指摘されながらも,なかなか実行できなかった. そのひとつの原因は,バブルでいい思いをした銀行にカネをつぎこんで助けることへの国民の抵抗感にあった. アメリカでも投資銀行や自動車業界などへの支援には国民の反対がつよかった. しかし,この構造はアメリカと日本・中国をはじめとする各国とのあいだにもある. 世界からあつめたカネでアメリカはうるおってきた. しかし,いまオバマによる大規模な財政出動でドルがあやうくなっている. それをたすけるために,またもや日本もカネをつぎこまなければならないのだろうか.
著者は,かつては 「まじめな国民」 だった日本人が,働きすぎはカッコわるいとか,ガリ勉はよくないといったかんがえがひろがって,ふまじめになってしまったという. 「ふまじめ」 の例としてマンションの耐震強度偽装事件や食品偽装事件などがあげられている.
しかし,こういう事件や著者の印象をあげられても,日本人がふまじめになったのかどうか,容易にわからないだろう. 耐震強度偽装事件の容疑者はコストカットのきびしい要求にある意味で 「まじめに」 こたえようとした結果として事件をおこしたようにもおもえる. これらの変化は日本人の気質が変化したためにおこったのではなくて,「まじめ」 な日本人を追いつめる経済・社会の状況からうまれているのではないだろうか.
実際,著者も日本人にウソつきがふえたように感じるが,その原因はウソがばれやすくなったから (であって 「まじめの崩壊」 が主因ではない) だとみとめている. また,耐震強度偽装事件に関しても,インチキはむかしからおこなわれていたことをみとめている. 拝金主義や医療崩壊についてもふれているが,いずれも納得できる議論ではない. エピソードとしてはいろいろおもしろい内容をふくんではいるが,砂上の楼閣といってよいだろう.
評価: ★☆☆☆☆
関連リンク: まじめの崩壊@ ,まじめの崩壊@Amazon.co.jp.
机のうえにはディスプレイとキーボードとマウスしかないという環境なら,こういうことはおこらないのだろうが… 家でも会社でも,私の机のうえにはいろいろなものがのっている. また,そのためにせまくなっているので,マウスのコードがディスプレイのちかくをとおっている. その結果なにがおこるかというと,マウスのコードがいろいろなものにぶつかって,マウスがうごかしづらくなるのである.
11 月ごろに何種類かの野菜のたねをプランターにまいた. しかし,11 月なかばから急激に気温がさがり,発育がわるくなった. それまで比較的発育がよかったアジアンロードというホウレンソウもそだたなくなった. ところが,そのうちでもカラシナは 1 月にはいってから成長し,収穫できるほどになった. 気温は 11 月よりひくいはずだし,ひあたりもよくないのだが,なぜだろう.
著者はすでに論文作法を新書に書いているが,田中 克彦 の本を読んで 「楽しい」 論文を書く方法をひとにつたえたいとかんがえて,前著とはまったくちがう内容を本にしている.
著者は多数の論文を査読しているのだろう. この本には査読者の立場がしばしばのぞいている. 査読者を納得させるには論文をどう書けばよいか,そういう視点で書かれた本はこれまでなかっただろう.
しかし,個々の話題に関しては疑問がある部分もある. たとえば,論文の 「はじめに」 の部分をどう書くかはその論文のはじめに要旨があるかどうかでちがうとかんがえられるが,要旨が考慮されていない. 文の構造に関しては 本多 勝一 の方法を紹介し,読点のつかいかたを議論しているが,そこでとりあげられている例題 (f) は,読点のうちかたよりまず語句の順序を再検討するべきだとかんがえられる.
しかし,そういうこまかい欠点はあっても,とくに理科系の論文を論文誌などに投稿するときには,この本は他の本には書かれていなかったいろいろなことをおしえてくれるだろう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: どう書くか@ ,どう書くか@Amazon.co.jp.