プロトコルとネットワーク アーカイブの説明
このカテゴリーには IPv4, IPv6 などのインターネット・プロトコルやその他のプロトコル,それらの周辺に関する話題をあつめています. 上位のカテゴリーは Web とインターネット です.
なお,このページは インターネット・プロトコル アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-12-15 11:00:06 です).
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他の入門書とちがって,本書は実際にコンピュータにコマンドをうちこみながら,IPv6 を IPsec を中心にまなんでいくことができる本である. さわってみてはじめてわかることもすくなくない. しかし,いま,さわりながらまなぶとしたら,Windows XP や Windows Vista をつかいたいひとが多数だろう. この本は KAME (カメ) プロジェクトの IPv6 実装を前提としているので,読者は Free BSD をのせたマシンを用意する必要がある. Linux に IPv6 を実装した USAGI (ウサギ) プロジェクトはこの本が出版される約 2 年前にはじまっているが,それへの配慮もない. したがって,かなり,つかいにくい本だということはいえるだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 使って学ぶ IPv6@ , 使って学ぶ IPv6@Amazon.co.jp.
本書は入門書としてできるだけていねいな記述をこころがけているとおもわれる. IPv4 と IPv6 とのちがいもよく説明されている. 実験システムやコマンドの記述もあるので,読者もそれをためしてみることができるだろう. ルーターが必要なところでは Free BSD をのせた PC が必要だが,ほかは Windows XP でためすことができる. ただ,文章の完成度や記述の正確さではいささか疑問がある. また,本書は 2003 年に出版されているが,その後 IPv6 は改訂されているので,最新情報はほかの本などにたよる必要がある.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 入門 IPv6 ネット@ , 入門 IPv6 ネット@Amazon.co.jp.
インターネットに関する本で 5 年前に書かれたものといえば,通常はもう陳腐化している. しかし,本書は 5 年たったいまでも示唆に富んでいる. 3 章では “現在” の若者の労働観が 「遊ぶように働く」 スタイルだと指摘し,それとハッカーの労働観とむすびつけている. 最近,仕事と遊びを区別しない,公私をはっきり区別しない生き方を肯定するひとがふえているとおもわれるが,そのルーツがハッカーにあるという指摘は,私自身をかんがえても納得がいく. 本書のなかには最近の 「環境管理型アーキテクチャ」 論につながる内容もあり,これも興味ぶかい. 興味をひかれる点はほかにもいろいろある.
評価: ★★★★★
関連リンク: 暴走するインターネット@ , 暴走するインターネット@Amazon.co.jp.
IPv6 (インターネット・プロトコル・バージョン 6) に関係したプロトコルとして “Neighbor Discovery Protocol (NDP)” というのがあります. これを日本語に訳すとき 「近隣探索プロトコル」 と訳しているひとがおおい (WIDE IPv6 WG の訳語としてもこれがつかわれている (2007-12-9 追記)) のですが,“neighbor” を 「近隣」 と訳すのも,“discovery” を 「探索」 と訳すのも,へんだとおもいます. 「近隣者発見プロトコル」 と訳したほうがよいのではないでしょうか? 私は 「近隣者発見プロトコル (Neighbor Discovery Protocol)」 において,そのように訳しました.
2002 年におなじ監修者によるおなじタイトルの本が出版されているが,2007 年に出版された本書においては,内容・著者とも一新されている. 一応 IPv6 の初歩から書いてあるが,第 2 章以降を理解するためには基礎に重点をおいた他の本などで知識をえておく必要があるだろう. この本はすでに IPv6 についてある程度知っているひとが携帯電話,WiMax,Windows Vista など,他の技術と IPv6 との関係が知りたいときに読むのに適しているとかんがえられる. おおくの著者によって書かれているのでひとつの話題があちらこちらに分散されているが,それは逆につまみ食いしてもよいということでもある.IPv6 に関する 「雑学」 のためにはよい本だといえるだろう.
評価: ★★★☆☆
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Google で 「IPv4」 を検索しました. おどろいたことには上位 20 項目のうち 10 項目はタイトルに 「枯渇」 がふくまれています. さらに内容に 「枯渇」 がふくまれる項目もいくつかあります. 他の検索エンジンをつかっても同様の傾向をしめします. IPv4 に関する話題としてはほかにもいろいろあるのに,これほどアドレス枯渇に関するページがおおいというのは,いささかおどろきました.
IPv4 アドレスは 32 bit なので,全体が本の幅,ブログなどのテキストの幅にうまくおさめることができます. それは,PowerPoint のようなツールをつかって書くばあいでも,“ASCII で” 書くときも同様です. RFC には通常,つぎのような ASCII 形式で記述されます.
0 1 2 3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ | ... | +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
しかし,IPv6 になるとこんなにうまくはいきません. RFC に書くには 32 bit ずつ行をかえて書くしかないとおもえます. 1 行のながさをもっとながくしてよいときでも,128 bit ぶんすべてを 1 行に書くには,なにかくふうが必要です. それは “ASCII で” 書くときでも PowerPoint などで書くときでも同様です. 一部をちぢめて書くとか,省略するとかしないと,おさまりません. もっとらくに書く方法はないものでしょうか?
通信路上でパケットをぬすみみてコピーし,それを送信することによって送信者になりすますことを replay attack といいます. このことばの訳語は安定していなくて,リプレイ攻撃,再送攻撃,再生攻撃などのことばがつかわれています. どれをつかうべきなのでしょうか?
SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) は最初の版が 1980 年に標準化されたのち,おおきく改訂されてはいない,ふるいプロトコルです. メイルが単なる文字情報のやりとりだけでなく,さまざまな用途につかわれていることは Dabbish ら [Dab 06] などで指摘されていますが,SMTP はそういう用途のためには,ちょっと役不足です. しかし,SMTP においては “to”, “cc”, “bcc” など,宛先をさまざまなかたちで指定することができます. こういう機能は他のプロトコルにおいてはおなじやりかたで指定することはできません. しかし,その有用性はみとめられていて,SIP のインスタンス・メッセージ機能などにも,べつのかたちでとりいれられようとしています. そういうわけで,私は SMTP をみなおしました.
Interop はこれまで,幕張をはじめラスベガスなど,何度も見学してきた. しかし,今回,幕張でひらかれた Interop Tokyo 2010 にはじめて説明員として参加してきた. NICT ブースでの 「仮想化ノード・プロジェクト」 の共同研究成果の展示である. 他の展示もみてきたが,会場全体をむすび外部ともむすんでいる ShowNet をはじめ,受賞したいくつかの製品などにおいても,仮想化ノードの展示と同様に 「ネットワーク仮想化」 がキーワードになっている. この展示も NICT の他の展示とあわせて 「フューチャーテクノロジー部門」 の審査員特別賞をいただいた.
Interop Tokyo 2010 で説明員をつとめて感じたのは,おもっていた以上にすぐに私の説明を理解してくれたお客さまがおおいということだ. 展示にはいろいろくふうもしたが,わかりにくい部分もいろいろあったはずだ. 実際,わかってもらえないことも何回かあったが,たいていのお客さまはすぐに理解してくれた. わかっているフリをしているひともいたのだろうが,質問の内容からかんがえて,おおくのひとは私の意図を理解していた.
最近,Linux と Ethernet の NIC (Network Interface Card) をつかって Ethernet でない (IP でもない -- 非 IP) プロトコルで通信する実験をしている. きっかけは仕事で Interop などでのデモをする必要にせまられたところからきているが,それにとどまらない実験をこころみている. Ethernet ではないのでうごかなくても NIC のベンダにもんくはいえないのだが,けっこう,うごいてくれる.
Linux (Fedora) で NIF (イーサネット・インターフェース) をつけたりはずしたりしていくと,インターフェースの番号がどんどんふえていく. eth0 からはじまって,eth1, eth2 とつかわれていくが,はずしてもその番号は再利用されない. これをリナンバーする方法をしらべたので,メモしておくことにする.
「ネットワーク・カード ― 非イーサネットでつかえるもの,つかえないもの」 にも書いたように,最近,Linux と Ethernet の NIC などをつかって Ethernet でない (IP でもない -- 非 IP) プロトコルで通信する実験をしている. きょうは,Ethernet のハブやスイッチがつかえるかどうかをためしてみた.
以前は広域ネットワークといえば Internet という感じだった. しかし最近は,全世界規模ではないにしても,広域で Ethernet がよくつかわれるようになっている. Internet が CISC にあたるとしたら,広域でつかうために拡張された Ethernet は RISC だということができるだろう.
きのう自分にメイルをおくってみて,メイルボックスがいっぱいで受信できなくなっていることがわかった. メイルボックスは 200 MB とってあるから,こんな事態は想定していなかった. どうやら,メイル・サーバがいつのまにか POP3 から IMAP4 にかわっていて,設定がただしくないためにあふれてしまったようだ.
Ethernet はデータリンク層のプロトコルだといわれている. たしかに,Ethernet はデータリンク層の機能をもっているが,それだけでなく,アドレッシングというネットワーク層の機能もあわせもっている. Ethernet 上でインターネット・プロトコル (IP) のようなネットワーク層のプロトコルをつかえば,ネットワーク層の機能がダブることになる. これはプロトコルの複雑さにつながるから,解決するべき問題だとおもう.
Windows マシンとともに MacBook Air を海外出張にもってきたので,インターネットにつないだ Windows マシン経由で MacBook もインターネットにつなごうとしたが,うまくいかない. Windows 側で設定して,あとから iPhone や Mac をつなぎこもうとしても,無線が認識できない. 順序を逆にしてみてもおなじだ. Web でみると iPhone がうまくつなげた話が書いてあるのだが,そこには iPhone 側の設定は書いてなかった. Windows XP のほうは版がちがうようだが,ほぼおなじ設定をしているのにつながらない.
まだ家でも会社でも Fast Ethernet (100 M Ethernet) をおもにつかっているが,1 G Ethernet の LAN カードやスイッチもずいぶんやすくなったので,徐々にそれにおきかえている. 10 G Ethernet もケーブルに関してはずいぶんやすくなった. カテゴリー 7 のメタル・ケーブルは 2m で 1000 円をきっている. しかし,LAN カードに関しては,まだ 5 万円以上と,高価だ. これはちょっと個人では手がでない.
ネットワーク機器やネットワーク機能をもつ LSI などの構成要素のひとつに 「スイッチ・ファブリック」 がある. これまでこのことばを無反省につかってきたが,このことばをつかうべきかどうかを検討する必要にせまられて定義をしらべたところ,あまり明確に定義されていないらしいこと,そしてとくに Web 上での日本語による定義が不適当であることがわかった. しらべたことをここに書いておくことにする.
ルーターのためのオープン・ソースのプログラムはいろいろあるから,それをのせてルーターをつくることに関してはすでにいろいろ本や Web 上のドキュメントがある. しかし,そういうプログラムは複雑なので,読んで理解するのは容易でない. この本は自分でルーターもどきのプログラムをつくることによってネットワークのしくみを理解することをすすめている. ネットワークに関してはこういう本はほかにないだろう. 貴重な本だ.
しかし,この本のはじめにはイーサネットやインターネット・プロトコルの説明もすこしあるが,初心者にわかる説明ではない. ほかの本でかなり勉強してからでないとこの本を読むのはむずかしいだろう. 「自分でつくる」 という方針なら,スクラッチから全部の標準機能をつくることはとうていできないだろう IP ルーターよりも,もっとかんたんなプロトコルをつくってみせるほうがいいようにもおもう.
評価: ★★★★☆
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もっとも平易なコンピュータ・ネットワークの教科書である. タイトルのとおり TCP/IP が中心だが,Ethernet はもちろん,OSI や ATM についてもわずかずつは書いてある. 130 ページくらいのなかで物理層からアプリケーション層までひととおり書いてあるので,十分理解するというわけにはいかないが,すくなくとも学生が読んでつまずくということはすくないのではないかとおもえる. ただ,無線があつかわれていないのは弱点といえるだろう.
評価: ★★★★☆
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古典的なデータリンク層と物理層に大半のページをさいている. 電気・電子工学的なニーズにこたえようとしているのだろうが,世間の平均的なニーズからはずれているとかんがえられる. 冒頭から TSS などという単語が説明もなしに登場するなど,多数の用語が十分な説明もなしに登場するところは,よみにくい. TCP/IP の説明は 40 ページくらいであり,アプリケーションの説明はない.
評価: ★★☆☆☆
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ネットワークアーキテクチャを寝殿造りなどのたとえをつかって説明するなど,わかりやすくするために工夫をはらっている. OSI について比較的くわしく説明しているが,それには最近,改訂されていないことも関係しているだろう. インターネットに関しては,DNS,メール,WWW など,比較的上位層にウェイトをおいて説明している. しかし,インターネットよりは無線 LAN (WiFi) もふくむ LAN に重点をおいていて,それらのデータリンク層の説明にページをさいている.
評価: ★★★☆☆
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ネットワークの原理に力点をおいている. 具体的なプロトコルについての説明はかぎられている. 大学の講義のためにはこういう題材のほうがあつかいやすいのかもしれない.
TCP/IP については 20 ページくらい,DNS やアプリケーションについてさらに 10 ページくらいをあてている. セキュリティやマルチメディアのほか,他の類似の教科書ではすくないのは光通信網の説明だろう.
評価: ★★★☆☆
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この種のおおくの教科書とはちがって,アプリケーションを最初においている. ネットをつかいなれた学生にとっては,そのほうが興味をひかれるだろう. TCP/IP そのものについては,OSI とならべて,また WAN 技術の章で,比較的かぎられた説明しかしていない. OSI の説明にページをさいているわりには,Ethernet などの説明がそれにしばられていない点などはよいようにおもえる.
評価: ★★★★☆
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1 章からさまざまな用語が登場する. かんたんな説明はあるが,よみこなすにはかなりの予備知識が必要だろう. しかし,この本の真骨頂は 3 章だろう. 待ち行列の理解のために確率過程の説明からはいっている. この本にはないが QoS など,通信・ネットワークのふかい理解のためには必要な基礎だが,ネットワーク・アプリケーションを専門とするひとには負荷がおおきい. 1999 年に出版されてから改訂されていないのは,残念ながらニーズがなかったからだろう.
評価: ★★★☆☆
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IP と TCP の説明に重点があるが,Web など,アプリケーションの説明をまえに置いている. プロトコルの階層化についてはわかりやすく説明しようとしているが,OSI のモデルの説明はこれだけでは理解できないだろう. 類書よりページをさいているのはセキュリティとくに IPsec が説明されていることだ. Ethernet については,無線 LAN (WiFi) 以外はかぎられた記述しかない. 2007 年に出版された比較的あたらしい本であるわりには,内容に新鮮さがない.
評価: ★★★☆☆
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大学での 4 単位分の教科書として 2003 年に出版されたが,現在は廃刊にされている. 下層からの導入という古典的な方法をとっていて,OSI に 40 ページちかくをさいている. ルーティングにも 30 ページちかくをさいているが,そのまえに IP に関して十分な説明がない点にはやや無理があるように感じる. 4 単位ぶんなので,ATM や MPLS,セキュリティ,VoIP,待ち行列,信頼性理論などもふくまれているが,IP の上位層の説明はすくない.
評価: ★★★☆☆
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うすい教科書でありながらプロトコルの設計や仕様記述の方法をあつかっているところに特徴がある. しかし,第 1 章ではコンピュータ・ネットワークを分散システムとしてだけとらえていて通信という観点がぬけていること,第 2 章に突然,推論や問題解決の方法がとりあげられていること,アプリケーション指向の本ではないにもかかわらずインターネットのまえにセキュリティが論じられていることなど,疑問の点がおおい. 教科書としてはつかいにくいのではないかとおもわれる.
評価: ★★☆☆☆
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おおくの本が最初からデジタルに話をしぼっているのに対して,この本はアナログ通信・変調からはじめている. アナログからはじめるなら,もうすこしデジタルと対比するとよいようにおもうが,淡々と書いてある. 交換方式についてもくわしく書いていて,パケット交換はもちろんだが,アナログとデジタルの回線交換がとりあげられている. そしてやっとインターネットが登場するので,そこまでのみちのりはながい. 一方で,おおくのネットワーク屋がこだわる OSI の話は付録になっている. やはりちょっとふるい感じは否めない.
評価: ★★★☆☆
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図を多用し,ことばもできるだけ平易にして,わかりやすくしようとしていることがわかる. だが,「アドレス」 を 「住所」 と書いているのはやりすぎだろう. 通信制御の章のあとは IP 中心に記述されていて,ネットワーク層,トランスポート層,インターネット上のサービス,画像通信がとりあげられている. うすい教科書であり,ところどころに囲み記事がある以外は,すすんだ内容は記述されていない.
評価: ★★★☆☆
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1 章では電話とインターネットを対比させ,2 章ではアナログとデジタルを対比させている. 3 章は電話のしくみを記述している. そのあと,IP,LAN,セキュリティ,携帯電話,光通信をとりあげている. IP についてはもうすこし書いたほうがよさそうにおもえるが,比較的わかりやすく,バランスよく書かれていて,つかってみたい感じがする.
評価: ★★★★☆
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ネットワークの実際よりは標準プロトコルという側面を重視した記述になっている. Ethernet というよりはブロードキャストをあつかうための MAC プロトコル,データリンク層のプロトコル (point-to-point) としては HLDC などがとりあげられている. IETF 標準である TCP/IP ももちろん記述されている. この記述で読者が具体的な通信をイメージすることができるかが心配になる.
評価: ★★★☆☆
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感覚的な理解を重視して,ページの半分以上がイラストでうめられている. それでいて,2 進法から説明するなど比較的おおくの内容をふくんでいるため.文章による説明は充分でない. イラストが把握できればよいが,それに失敗するとわからなくなるだろう. しかし,ひとつの 「野心的」 なこころみとして評価したい.
評価: ★★★★☆
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イラストや対話形式もふんだんにとりこんで,2 進法からはじめて,LAN,WAN,TCP/IP をていねいにネットワーク技術を解説している. しかも,LAN や IP については実際にハブなどの機器やケーブル,PC などにさわりながらまなべるようになっている. そのため,内容は比較的かぎられているが 300 ページある. 自習用としてはよいだろう. まちがえて旧版を買ってしまったが,あたらしいほうを買うのがよい.
評価: ★★★★☆
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「ネットワークアプリケーション」 というタイトルだが,ほとんどのページはアプリケーションそのものではなくてアプリケーション・プロトコルの記述にあてられている. もうすこしユーザ・インタフェースがよくみえるかたちで書いたほうがわかりやすかったのではないかとおもえるが,そちらばかり書かれた本が多いなかでは貴重な本だといえるのかもしれない.
評価: ★★★☆☆
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日本では教科書としてつかいにくい厚さと値段のためか,1998 年に出版されて以来,再版されずにいるようだ. そのため内容はいささかふるくて,ほかの本ではあまりとりあげられていない RS-232C やアナログ通信も 1 章をあたえられている.
LAN のトポロジーも最近ではスター型全盛なので他の形態はあまりとりあげられないが,この本では他のいろいろなかたちが論じられていて,なつかしい. 一般論としては,あってしかるべきだろう.
意外なのは ARP に 1 章がさかれていることだ. それほど重要なプロトコルともおもえないのだが…
アプリケーションにかなり重点があり,クライアント-サーバ モデルから論じられている. 個々のプロトコルを論じるよりは,こういう原理のほうが重要だとはおもうが,いまではデータベースなどを論じるときにも必須だから,かならずしもネットワークの本で論じなくてもよいのだろう.
評価: ★★★☆☆
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複数のネットワークをつなぐというとまずルーティングが登場するが,これについてはほかにもいろいろ本がある. しかし,ブリッジングつまり Ethernet でつなぐことに関して,この本ほどさまざまな形態や技術について解説したものは他にないのではないだろうか. また,この本の特徴のひとつは IP 以外のプロトコルとくに IPX,IPX+,CLNP などに関して比較的くわしい説明があることだ. IPX や CLNP のひとつの利点は ARP が必要ないことだという. X.25 や ATM についても書かれている. アメリカでも改訂版はでていないようだが,もっていれば,それなりにやくにたつ本なのではないかとおもう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: インターコネクションズ@ , インターコネクションズ@Amazon.co.jp, インターコネクションズ@GoogleBooks.
最近いろいろコンピュータ・ネットワークの本をあさっているのだが,それは私がネットワーク・プロトコルに関して最近かんがえているのことにちかい内容が書かれているものはないか知りたいということからだ. そのかんがえとは,ひとことでいえば,従来のネットワークの教科書は 「層」 という概念とくに OSI 7 層モデルにとらわれすぎているのではないかということだ.
イラストや対話形式もふんだんにとりこんで,2 進法からはじめて,LAN,WAN,TCP/IP をていねいにネットワーク技術を解説している. しかも,LAN や IP については実際にハブなどの機器やケーブル,PC などにさわりながらまなべるようになっている. そのため,内容は比較的かぎられているが 300 ページある.
というわけで,ひとめみたかぎりはよさそうにみえたが,よくみてみると Ethernet は 10 M ビットばかり書いていて,100 M (Fast Ethernet) や 1 G のことはほとんど書いてないなど,2009 年出版にしてはふるい. 改訂をさぼっているということだろう. これはいただけないので,★をひとつへらした.
評価: ★★★☆☆
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表紙に著者名がなくて,だれが内容に責任をもっているのかもわかりにくい. 内容は 2 ページ単位になっていて,章もくぎられているが,各章になにを書こうとしたのかもよくわからない. 2 章は 「インターネットのしくみ」 と題されているが,歴史や接続方法などが書かれていて,しくみについて書こうとしているようにはみえない. 逆に 3 章は 「データ通信のしくみ」 と題されているが,TCP/IP や IP アドレスなどについて書かれているから,インターネットのしくみはここで説明しようとしているようにみえる. というわけで,内容がこまぎれかつバラバラで,系統的な理解をさまたげているようにおもえる.
評価: ★☆☆☆☆
関連リンク: 初歩からのネットワーク@Amazon.co.jp.
最初だけネットワークを糸電話にたとえている本はほかにもあるが,この本はさまざまなネットワークの原理を最後まで糸電話で説明しようとしている. 非常にユニークな本だ. 糸電話とネットワークとのアナロジーはかなりうまくいっている.
しかし,著者はネットワークの専門家ではなくて,かならずしも理解が十分ではないようだ. 残念ながら,ほんもののネットワークに関する説明が適切でないところがある. たとえば,「「ネットワークのネットワーク」 方式では,最終的なあて先とは別に,次に渡す人のあて先が必要になる」 こと (それじたいはただしい) の説明に MAC アドレスが 「次に渡す人のあて先」 としてつかわれると書いているが,インターネットでは 「次に渡す人のあて先」 (ネクストホップ・アドレス) も IP アドレスだ.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 世界一やさしいネットワークの本@ , 世界一やさしいネットワークの本@Amazon.co.jp.
かぎられたページ数のなかでネットワーク・トポロジー (ネットワークの構造) やルーティングが比較的くわしく書かれた本だ. だが,個々の事項がバラバラに説明されていて,なぜそれが必要か,それらがどういう関係にあるのかがわかりにくいようにおもえる. 初学者に説明するにはそちらのほうが重要なのではないだろうか.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: コンピュータネットワーク@ , コンピュータネットワーク@Amazon.co.jp, コンピュータネットワーク@GoogleBooks.
インターネット・プロトコルからインターネットのアプリケーションまで,インターネットに関することがらをバランスよく説明している. しかし,LAN に関してはほとんどふれていない.
また,OSI などの層モデルについてはわずかにふれているだけなのに,あとの章では 「ネットワーク層」,「トランスポート層」 がタイトルにふくまれていて,ちょっと面くらう. OSI やリンク層以下については他の本 (講義) にゆずるということかもしれないが,もうすこしていねいに論理をくみたててほしいものだ.
それから,節をページのはじめからはじめるために,ページの下部が白紙になっているところがおおい. 意図はわかるがあまり賛成できない.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: ネットワーク工学@ , ネットワーク工学@Amazon.co.jp, ネットワーク工学@GoogleBooks.
4 月から工学院大学でネットワークの講義をすることになっている. 準備のためにネットワークの教科書をいろいろあさっているのだが,どうも気にいったものがない. たいていの本はなにか本質をはずしているようにおもえてならない.
会社ではこれまでもルータに 10 G Ethernet のケーブルをつないだりすることはあった. しかし,サーバに 10 G イーサネットのカードをとりつけて通信してみたことはなかった. 最近,Linux (Cent OS 6.2) をのせたサーバで 10 G の通信をすることが必要になったのだが,数日かけて,まだうまく通信できていない.
まだ大学にいたころ,情報処理技術者試験をためしにうけたことがある. 当時は 1 種,2 種の 2 とおりしかなくて,そのうちの上位つまり 1 種の試験をうけて,とおった. それ以来この試験もいろいろ変化して,いまではこまごまわかれて,専門的な試験をしている. そのなかにネットワークスペシャリスト試験というのがあって,すこし気になっていた. そこで,すこしまえにどんなものか,古本を買ってみてみた.
数年まえに Buffalo のやすい VLAN スイッチを買った. おもな目的は家においたサーバをインターネットにみせるのに,VLAN をわけて,できるだけ家庭内 LAN のセキュリティをたかめるためだ. しかし,ついでにもう 1 個 VLAN スイッチを買ったので,それであそんでみている. ところが,ことなる VLAN でおなじ MAC アドレスがあると学習できないようであり,おもっていたほどあそべないことがわかった.
Linux の promiscuos mode でパケットをつくって通信をこころみると,いろいろ予期しないトラブルがおこる. きょう経験したのは,ずっと一様にパケットを送信し,通過させているにもかかわらず,間欠的にパケットがとおらなくなるという問題だ.
Janet Abbate の Inventing the Internet (MIT Press) という本の一部を読んだ. インターネットの歴史を書いた本だが,そのなかの国際標準に関する章にとくに興味をひかれたからだ. ここには ARPANET と OSI との関係や X.25 の衰退など,これまで知らなかったことがいろいろ書かれていて,興味ぶかい.
ギガビット・イーサネットが普及して以来,それまで頭痛のタネだったストレート・ケーブルをつかうのかクロス・ケーブルをつかうのかという問題は解消されたようにおもっていた. ふつうにイーサネットをつかうひとにとっては解決されたのだとおもうが,IP やイーサネットのつぎを研究している身には,そうでないということが,だんだんわかってきた.
OpenFlow はこれまでほとんど本気で紹介されたことがなかった. "OpenFlow" というタイトルの本も何冊かあるが,みな冗談のようだ. 誤解にみちていた OpenFlow を,Software Design では本気で特集している. かんたんにはよみこなせないだろうが,OpenFlow を本気で知りたいとおもうなら,ぜひ読むべきだ.
評価: ★★★★☆
関連リンク: Software Design@Amazon.co.jp.
階層の話からはじめて,MAC アドレスと IP アドレスの話,それらをパソコン上でたしかめるための実験 (というほどのものではないが),ping,そして TCP,HTTP というように階層をのぼりながら,かんたんな実験について書いている. メイルの送受信も手でやってみている. 手近にあるソフトウェアだけでの "実験" だが,インターネットを感覚的に理解するのにはある程度やくにたつだろう. これ以上をめざすなら,ハードウェアを用意する必要がある.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 実験でわかるインターネット@Amazon.co.jp.
学会出張でポーランドのクラクフにきて,これからカナダのヴィクトリアにいくのだが,そのあいまにフランクフルトにとまった. フランクフルトではやすいホテルにとまったので,インターネット環境はあまりよくなかった. へやからはうまくつながらないこともあったし,そうでなくてもパケットがかなり損失しているようだ.
学会出張でポーランドのクラクフにきて,これからカナダのヴィクトリアにいくのだが,そのあいまにフランクフルトにとまった. クラクフで自分のメイルサーバ経由でメイルがおくれず,ブログも書けなかった. ホテルのファイアウォールのせいだろうとかんがえていたが,フランクフルトにいってもおなじだったので,ようやく,さくら インターネットに原因があるのではないかとかんがえた. といあわせるとすぐに返事がきて,問題は解消された.
200 ページほどの本だが,さまざまなリンク層から IP 層,WWW などのアプリケーションまで,はばひろく書いている. タイトルがインターネット工学なので IP については比較的くわしく書いているが,十分だとはおもえない. リンク層としてはイーサネットが重要だとおもうし VLAN まで書いてはあるのだが,それは 1 ページだけ. どうせわからないことを書くよりは,書かないほうがよいのではないか ?
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: @Amazon.co.jp.
22nd GENI Engineering Conference (GEC 22) という会議でデモをするためにワシントン DC に出張した. 通常はこのブログで学会発表そのものについては書いていないが,今回はとくに 発表内容である IPON というあたらしいプロトコルについて書くことにする.
自宅に無線 LAN をはじめて設置したときには,セキュリティ方式として WEP しかつかえなかった. つかえるパスワードはわずか 5 文字! それ以来そのパスワードをつかいつづけてきたが,ついにそれを変更した.
最近どうも無線 LAN の調子がわるかった. もしかするとプロバイダを Asahi ネットから Softbank にかえたせいであって,無線が原因ではないのかもしれない. しかし,ともかくアクセス・ポイントをかえてみた. 改善されたかどうかは,しばらくようすをみてみないとわからない.
コンピュータやネットワークに関する歴史やさまざまな話題 (たとえばエントロピー,グラフ理論,ニューラルネット,…) がぎっしりつめこまれた本だ.さらっとした語り口なのでそれが負担になることはないだろうし基礎的な内容だが,そのすべてをあらかじめ理解しているひともすくないだろう.消化不良になるのではないかと心配だが,知的な刺激にみちた本だ.
評価: ★★★★★
関連リンク: あなたはネットワークを理解していますか?.
工学院大学で「インターネット論」という講義を担当しているが,そのなかでイーサネットの演習をしている. 昨年まではシミュレータを使用した演習をおこなっていたが,今年はハードウェアをつかうことにした. 機動性をかんがえてイーサネット・スイッチ (右下の写真) に接続するコンピュータとして Arduino Uno 互換のボード (左下の写真) をつかうことにした.
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