2 つの最高裁判決と 1 つの地裁判決をとりあげて司法の範囲を越権していると指摘し,さらに裁判員制度が廃止するべきものだと論じている. 最初にとりあげられているのは尊属殺重罰規定違反判決であり,ひろくみとめられた判決に異論をとなえている. 裁判は訴えられたことを判断するものであり,一般論すなわち尊属殺が平等原則に違反するかどうかを論じるのは越権だという. しかし,判決において本件に尊属殺の規定を適用しないときめたならその理由をのべるべきであり,理由がその一般論にもとづいているのなら,それを論じるのをさけるのはむしろ不自然だとおもえる.
尊属殺の問題にかぎらず著者の論調は独善的であり,説得力がない. 著者は 10 年間,地裁の判事をしていたということである. 裁判の被告の立場にたったならもちろんだが,裁判員になってもこういう判事にはあたりたくないものである.
評価: ★☆☆☆☆
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キーワード: 日本国憲法