死後の世界を図解しようという前代未聞の (?!) こころみである.
イラストを書いているのは著者ではないので,どれだけ著者の意図がイラストレータにつたわっているかはよくわからないが,いろいろと興味ぶかい点がある.
「地獄界の 「針の山」 や 「血の池地獄」 は実際にあるのでなく観念的に地獄の苦しみをあじわう」 というわけで,ベンチのようなものに腰かけている絵がかかれている.
地獄の映画をみているようなものであり,現実の戦争などにくらべれば天国のようなものだとおもえる.
これはぬるま湯につかった日本の現状を反映しているのだろう.
地獄界からしてそうなので,さらに天界となると 「常に昼のような明るさに満たされ,季節や天候の変化もない」 ということだ.
これでは退屈で死にそうだ.
水子供養を手厚くすれば賽の河原での修行がうまくいくが,「通り一遍の供養」 では修行がはかどらないという.
著者は真言密教の管長だというが,その立場 (あるいは利益) がこういうかんがえに反映されているようにおもえる.
この本には黒カビが魔物をよびよせるとか,衣服をくりかえしクリーニングすることでマイナスの霊がさけられるとか,ラブホテルには水子や色情霊がいるので注意が必要だとか書かれている.
ある意味で著者の感覚のナイーブさをしめすものだといえるだろう.
過剰な清潔感などはいただけないが,よりよい生活をおくるためのくふうとして,ある程度はうけいれられるかんがえだとおもえる.
評価: ★★★☆☆
関連リンク:
下ヨシ子の死後の世界@
,下ヨシ子の死後の世界@Amazon.co.jp.