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産業・ビジネスアーカイブ

0001-01-01

このカテゴリーには鉱工業や農林酸い残業などの産業やビジネスに関する話題をあつめています. 上位のカテゴリーは 社会・経済 です.

Comsn.JPG なお,このページは産業・ビジネス アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2008-05-12 22:50:36 です).

おもくなるのをさけるためにアーカイブのページには写真がはいらないようにしていますが,個別ページにある写真をここに引用しておきます.

2007-08-31

シャドーワークということばをつくったイヴァン・イリイチによるその定義は 「無報酬とされている仕事だが,何らかの経済行動の基盤を維持したり,支援したりするために不可欠な仕事」 だという. 本書の著者はシャドーワークをはっきり定義していないが,「上司の指示を待ったり,事前に相談したり,または許可を受けるようなことをせずに,自発的な非正規の行動を起こすこと」 がシャドーワークだと書いている. これはイリイチの定義とはあきらかにちがっていて,しかも,とくに 「非正規の行動」 というところがあいまいである. 本書でとりあげられている例をみると,著者がいう 「シャドーワーク」 には無報酬のものもあり報酬があたえられているものもある. また,仕事じたいも経済的に支援されているばあいとそうでないばあいとがある. 無報酬だったり支援されなかったりするときは,その 「仕事」 と会社との関係はよわくなるとかんがえられるが,本書では会社との関係がつよいケースばかりがとりあげられている. 私にはとりあげられている例の大半は本来のシャドーワークにあたらないようにおもえる. はっきり定義されていないことからもわかるように,著者にとっては実はシャドーワークという概念はたいした意味をもっていない,むしろ仕事における自発性に興味があるのだとかんがえられる. シャドーワークそのものに興味があった私は失望させられた.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: シャドーワーク 知識創造を促す組織戦略@ [bk1]シャドーワーク 知識創造を促す組織戦略@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-13

冒頭に 2020 年におけるケータイのつかわれかたをえがく 「小説」 が書かれているが,それを読んでいきなり,がっかりさせられた. そこに書いてあることは,研究レベルではいますでにほとんど実現されていることである. まったく夢が感じられない. しかし,著者はつぎのように書いている. 「人間の基本的なライフスタイルや考え方は,半世紀単位でも思ったほど変わっていないように思える. [中略] 今現在の生活者である我々がピンと来ないものは,10 年 ~ 20 年経ったとしても使われることはないのではないだろうか.」 冒頭の小説はこのかんがえにもとづいて書かれたということだろう. 通信インフラとして出発し i モードによって IT インフラとなったケータイだが,現在すでに,おさいふケータイがだいぶ普及し,つぎのステップはそれを 「生活インフラ」 にすることだという. 日本ではまだクレジット・カードが普及していないというところに目をつけて,それをケータイのうえで実現しようという戦略はしたたかなものである.

本書でおもしろいところは,第 3 章におけるテレコム業界批判である. 顧客ではなく 「業界のため」 を第 1 にかんがえる体質やをするどく批判し,それにたちむかったことで i モードを成功させたと自負している. また,WAP (ケータイ Web 標準) に関して,標準化会議における日本人の影の薄さを指摘している. また,技術の優位性こそすべてという 「技術単独信奉」 を批判し,FOMA においてそれが成果をあげたことをのべている. ほかにもおもしろい内容がふくまれているが,ここまでにしておこう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ケータイの未来@ [bk1]ケータイの未来@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-28

山一証券以来,不正をおこなった企業が政府機関の処分をうけて倒産・破産する事件がつづいています. もうだいぶまえのことりなりますが,ライブドアと村上ファンドはだれの記憶にものこっているでしょう. 最近ではコムスンや NOVA (ノヴァ,ノバ) があります. これらの企業のなかには行政処分の内容によっては事業撤退をまぬがれたケースもあるのではないでしょうか. 処分によってその企業だけでなく顧客までおおきな影響をうけていますが,顧客である国民までまきこむ,きびしすぎる処分がおこなわれているようにおもわれてなりません.

つづく…

2007-12-02

私は 「2 つの他社での経験 ― ドキュメントに関するかんがえかたのちがい」 という項目にも書いたように,2000 年に会社から Hewlett Packard (ヒューレット・パッカード社, HP) 社に 1 カ月ほど “派遣” されて,共同開発のプロジェクトにたずさわったことがあります. HP 社には日本の会社にちかい部分もあって,そのために共同開発がうまくいっているという面もあるようにおもいますが,もちろん,ちがうところもいろいろあります. もうずいぶんまえのことになってしまいましたが,いままで書く機会がなかったので,そのとき感じたことを書いてみたいとおもいます.

つづく…

2008-03-11

アップル (Apple) はどういう会社か,またスティーブ・ジョブスはどういうひとか,それを新書というみじかい本のなかにうまく書いている. とくに,ジョブスがどうやってアップルという会社をとりもどしたのか,その後どのような戦略をとっているかなど,もしまだ知らなければ読む価値があるだろう. しかし,すでにある程度こうした知識を知っている私にとっては,おさらいにはなったが,いまひとつ,あたらしい発見はなかったようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: アップルの法則@ [bk1]アップルの法則@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-12

BK1 の内容説明によると 「日本の IT 産業が崩壊の危機に瀕している. 牙を剝くグローバル競争の脅威.富士通,NEC,日立はどう立ち向かうのか.産業構造の変革期にあることを改めて訴え,次の IT 産業を創出するための 「カギ」 を提示する.」 ということだが,実はまったく解決への方向を提示できていない. Amazon.co.jp の書評をみても,意見はまったくバラバラであり,問題の根深さを痛感する. しかし,それはすくなくともこの本が問題点の指摘においては成功していることを意味している.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: IT 産業崩壊の危機@ [bk1]IT 産業崩壊の危機@Amazon.co.jp

つづく…

これは,「通信と放送の融合」 に関する本というよりは,コンテンツ政策に関する本である. 日本特有のポップカルチャーがうみだすコンテンツに目をむけ,それをいかすコンテンツ政策を提言している. 通信と放送との区分は日本特有の法制からくるものである. イギリスのコンテンツ配信事業者からは 「伝送方式で制度の適用が異なり,著作権処理の扱いも異なる,という日本の事情が一笑に付された」 (p. 192) という. つまり,「通信と放送の融合」 というのは技術的な課題ではなくて,こういう法制をあるべきすがたになおしていくことだということだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「通信と放送の融合」のこれから@ [bk1]「通信と放送の融合」のこれから@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-20

この 10 年くらいのあいだに世界は急速に変化し,今後も急速な変化がおこることが予測されています. ここ 10 数年,日本は停滞した状況にありましたが,それゆえに世界との関係はかえって急速に変化し,それにともなって今後は日本も急速に変化することが予想されます. こういうなかで,我々はどちらにすすむべきなのでしょうか? すこしかんがえてみたいとおもいます.

つづく…

2008-04-24

著者は農地地価などのデータを入手して,それをみずからコンピュータで分析し,十勝地方に 「特異的に,農業が産業として成立」 していることをみいだした. そして,その謎をとくために現地にでかけて取材している. こうした努力の末に書かれたのがこの本である. この本の最後では国政における自民党と民主党,有権者の行動なども分析されている.

とはいっても,この本がおもにあつかっているのは半導体材料におけるイノベーションである. みずからもかつてつとめていた大企業でイノベーションのたねが死蔵されている状態からぬけだすカギをもとめて,有名なクリステンセンの理論に異をとなえている. とはいえ,物理屋でも半導体屋でもないソフトウェア屋の私には,ここからイノベーションをおこすカギをみつけるのはむずかしい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: イノベーション 破壊と共鳴@ [bk1]イノベーション 破壊と共鳴@Amazon.co.jp

つづく…

通信ネットワークにおいては,受信した情報は通常はだれか特定のところで発信されたものであり,おおくのばあいに発信者を特定することができます. ところが,同様のネットワークによっておくられてくる電力に関しては,どこからおくられてきたものかを特定することができません. にもかかわらず,とくに欧米などでは環境に配慮した特定の発電者から電気を買うことができるようになってきています. これはふしぎなことだとおもえます.

つづく…

2008-04-28

マイクログリッドの厳密な定義はこの本にゆずるが,それは従来の電力ネットワークに接続される分散した電力供給者と消費者とで構成される. 家庭の太陽光発電システムもマイクログリッドの一部になりうるが,この本がおもな対象としているのはもうすこし大規模な,企業などの発電システムであり,発電機器としてもマイクロ・ガスタービン,マイクロ・ガスエンジンなどがとりあげられている.

世間では太陽光発電に関しても CO2 が削減されるといった利点ばかりが強調されているという印象をうける. しかし,カリフォルニアやニューヨークでかつて発生した停電は,電力の安定供給がそんなにかんたんなものでないことをしめしている. 分散型の発電がひろまれば,電力系が不安定になるのではないかという私の疑問に,この本はこたえてくれた. ひとことでいえば,これから解決するべき課題が山積しているということである. 理系の私にもわかりにくい技術的な内容をふくんでいるが,おおまかな把握のためにはやくにたつとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: マイクログリッド@ [bk1]マイクログリッド@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-29

すくなくとも最近まで,情報通信技術は最先端技術であり,主役でした. すくなくとも情報通信技術者たちは,そうおもっていたでしょう. しかし,ユビキタスの時代,つまりコンピュータがみえなくなる時代 (「ユビキタス・コンピューティングとエージェント指向コンピューティング」 参照) には,もはやコンピュータは主役ではなくなる,つまり情報通信技術は主役である 「みえる技術」 をささえる脇役になるのだとおもいます. 主役はむしろ農林水産業や鉱業などなのではないかともおもいます.

つづく…

2008-05-06

読んだことはないが,「1人ビジネス」 に関する本はすでに何冊か出版されている. また,雑誌にはいろいろ紹介されている. この本はいろいろなケースがとりあげられていて,よくまとまっているとおもう. しかし,すでにいろいろ同様の情報があるなかで,なぜいまこの本を出版したのか,よくわからなかった. もっとオリジナリティをはっきりだしてほしかったとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ひとりビジネス@ [bk1]ひとりビジネス@Amazon.co.jp

つづく…

著者は日本の会社に導入された 「実力主義」,「成果主義」,「360 度評価」,「フラット型組織」,「ボトムアップ主義」 をつぎつぎと斬っていく. これらは手本となった国の企業ではうまく作用していたのだろうが,それを国情や社風などのちがいに十分配慮せずに導入したために失敗した例が多々あるのは事実だろう. しかし,この本の論旨には飛躍しているところが多々あるようにおもう. たとえば実力主義は野心家に悪用されるからよくないということが書かれているが,それがどういう条件のもとでおこるかは分析されていない. 全体を通じて感じるのは,きちんと分析しないまま,わるい面ばかりが強調されていて,うまく導入すれば機能する上記の主義たちが不当にけなされているということである.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 御社のトップがダメな理由@ [bk1]御社のトップがダメな理由@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-12

日本はまわりを海でかこまれているため,過去には国や陸上の資源をまもるのはむしろ容易だったということができます. おおきな船をつくることがむずかしかった時代に,船で日本までやってくるのは容易でなかったからです. ところが,せまい国土におおくのひとがすむ日本にとって,日本をかこむ広大な経済水域にある魚貝類や海底資源は貴重な資源です. ところが,これらは海賊などによってうばわれる危険があります. 道がなければ容易にはいることができない陸地とはちがって,海はどこからでも船ではいりこむことができます. 大型船で資源を根こそぎ,もっていくことも比較的容易です. 一方,それをふせぐのは容易ではありません. 今後,資源をまもるためには周到な防衛体制が必要になるでしょう.

つづく…

Web 2.0 の技術をどのように企業活動にいかすことができるか. 本書はその概論をのべ,ブログ,SNS,Wiki など,さまざまな Web 2.0 の手段について個別に検討してもいる. そこから,いろいろなヒントをよみとることができるだろう. しかし,本書においては現代の企業にとって最重要課題のひとつであるセキュリティに関する検討がまったくおこなわれていない. セキュリティに関する指針がないままでは,企業がこれらの手段をとりいれることはできないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エンタープライズ 2.0@ [bk1]エンタープライズ 2.0@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-17

会社では毎年,安全標語 / 川柳 が募集されています. ノルマをはたすため,つぎのようなのをつくりました.

雨あがり すべらぬさきに 見る足元

最低限の時間しかかけないので,あまりほこれるものではありませんが,記録のためにここに書いておきます.

つづく…

NHK の大河ドラマにおける篤姫は,当時の日本においては自分ですすむ道をきりひらくことはできず男にしたがうしかないということをみとめつつも,できる範囲で自発的にかつ積極的にふるまっています. いわば,社長にはしたがわざるをえないが自分の権限の範囲ではおおなたをふるえる “副社長” として,最大限の努力をしているようにみえます. それはあたかも現代の企業における経営者 (副社長) のようにえがかれているように私にはみえます.

つづく…

2008-05-23

楽天の取締役たちへのインタビューを中心として,楽天の経営者のひととなりをうきぼりにしている. それをつうじて楽天の経営方針などもしめされるが,人物をえがくことが中心であるため,技術についてはほとんど書かれていないし,経営についての記述も散漫な印象をうける. 「楽天の研究」 というタイトルをつけるからには,もうすこしひろくカバーしてほしいとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 楽天の研究@ [bk1]楽天の研究@Amazon.co.jp

つづく…

2008-06-03

複数人・複数組織での仕事は,自分あるいは自社がうまくいっても,ほかで コケると全体がうまくいかなくなってしまいます. こんなことを書いてもグチにしかならないとはおもいますが,趣味と同様,仕事もひとりで閉じることができれば,他人のためにダメにされることはないのに…とおもってしまいます. 会社のなかではなかなか,おもうようにはいきませんが,会社のひとや秘密にかかわらないことはなるべく会社からはなれて,ひとりで,自分の趣味にあうやりかたでやりたいとかんがえています.

つづく…

2008-06-04

きょうの NHK 「クローズアップ現代」 によれば,最近は本をランキングだけで選択するひとがおおいということです. 年に数冊しか本を買わないひとが,とくにランキングをたよりに本をえらぶという話でした. そのために書店もランキングばかりにたよるようになっているとのこと. そんな書店はクタバってしまえばよいのです. ランキング下位の本もそろっていて,かんたんにその情報にアクセスすることができるオンラインの書店で買うほうがずっとよい. 独自の基準をもって本を選択し,ならべている書店だけが存在する価値があるとおもいます.

つづく…

2008-06-07

さまざまな宅配業者があります. ピザの宅配はアメリカでも日本でも人気がありますが,最近は寿司の宅配がふえているようにおもいます. こどもが寿司をこのんでいる関係で比較的つかうことがおおいのですが,いくつかの店をためして,わかってきたことがあります.

つづく…

最近,石油価格が急激に上昇しています. 投機によって需要以上に値上がりしたぶんはいずれさがるでしょうが,需要そのものが大幅にふえている以上,それほどさがることは期待できません. そういうなかで,これまでトラックにたよってきた国内の貨物輸送はコストが上昇しています. くるしんでいるトラック輸送業界にさらに追い打ちをかけることにはなりますが,これは石油の消費がすくなく CO2 排出もすくない鉄道輸送を復興させるチャンスなのではないでしょうか?

つづく…

2008-06-12

経済が低迷する 1990 年代に楽天で大成功をおさめた著者は,きっと,成功するための策をいろいろかんがえぬいたにちがいない. 読むまえには,「成功のコンセプト」 というタイトルの本であれば,そういうことがぎっしり書いてあるにちがいないとおもっていた. しかし,ここにつづられているのは,「僕にとってこの [ハーバード大学のビジネススクールへの] 留学のいちばんの収穫は,MBA を取得したことより起業精神に触れたことだ」 (p. 79) ということばに象徴されるように,むしろ非常にナイーブな印象をうける. 三木谷本人が書いた本であるがゆえに,よりつよくそういう印象をうけるのだろう. そこが,小手先の策を弄しつづけたホリエモンとの一番のちがいなのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 成功のコンセプト@ [bk1]成功のコンセプト@Amazon.co.jp

つづく…

この本のタイトルからは,いかがわしい雰囲気がつよく感じられる. しかし,内容は三木谷のおいたちから興銀就職,MBA 取得,孫正義との出会い,楽天のたちあげ,楽天球団誕生,フジテレビ問題などをまじめに論じていく. なぜこのようなタイトルをつけたのか,不明である. 三木谷と孫,ホリエモンなどとの関係やちがいの記述をはじめ,おもしろいエピソードはいろいろ書かれているが,280 ページほどのなかであまりにおおくのことを書いているので,食い足りないのはやむをえないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: “教祖” 降臨@ [bk1]“教祖” 降臨@Amazon.co.jp

つづく…

2008-06-17

土地のとりひきをするとき,業者に仲介をたのむと,当然のことながら手数料がかかります. また,土地の登記やローンのための抵当権設定は司法書士にたのむ必要があり,そこでは税金 (登記料など) とともに司法書士への報酬がかかります. これらの費用をできるだけおさえたいので,いろいろ交渉し,まだ交渉中のものもありますが,そこで,いろいろなことがわかってきました.

つづく…

2008-06-20

まちやそのなかの店をその構造やひとのながれ,時間帯など,さまざまな角度から分析・分類している. とくに,それらの分類のしかたや概念につけられた 「わざわざ店」,「エキサイティングショップ」 などのなまえに,学術的な分析とはちがう博報堂らしさがある. 内容はもうだいぶふるくなってしまっているが,ここでしめされている 「ものの見方」 にはまなぶべき点がおおい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: タウン・ウォッチング@Amazon.co.jpタウン・ウォッチング@Amazon.co.jp

つづく…

2008-06-21

6 月 17 日の NHK の 「プロフェッショナル」 は 「茶師 前田 文男」. 茶葉をさがし,加工しブレンドしてお茶をつくる. けっして高級なお茶だけでなく,100 g 1000 円のお茶をつくるのにも,もっているちからを総動員する. ブレンドという仕事はお茶だけでなく,ウィスキーやワインなどの酒や,コーヒーなどにもあるが,お茶のブレンドにはそれにないおもしろさがあると感じた. 「プロフェッショナル」 のなかでもとくに興味をひかれる 44 分間だった.

つづく…

2008-06-23

最近,日本では 「社会起業家」 とよばれるひとたちがふえてきて,徐々に日本の社会や経済をかえようとしている. しかし,現在はまだそれほどおおきなちからをもってはいないとかんがえられる. しかし,バングラデシュにおいては 「社会起業家」 が銀行をつくり,零細な企業にまで融資することによって,政府にたよらずにたかい経済成長を実現させているという.

つづく…

新銀行東京は 「失われた 10 年」 のなか,銀行が貸ししぶる中小企業を対象とした融資をすることを目的として設立された. しかし,設立されたときにはすでに既存の銀行も中小企業への融資を積極的におこなうようになっていた. そのためこの銀行はおおきな損失をだして苦境におちいり,その存在意義がとわれるようになっていた. しかし,いま,経済はふたたび不況にむかいつつあるようにみえる. そのなかで,また他の銀行は中小企業に貸ししぶるようになってきている. これは新銀行東京にとってチャンスというべきだろう.

つづく…

2008-06-30

テレワークに関してはその正の面ばかりを書いた本がおおいが,本書はその負の面を冷静に分析している. 正の面について書いた本とあわせて読むことによって,テレワークをよりよく理解することができるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: テレワーク@ [bk1]テレワーク@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-02

土地の仲介手数料と司法書士の報酬額の幅」 という項目で,土地取引などで必要になる司法書士への報酬額について書きました. 2 人の司法書士からあいみつもりをとりました. その効果は絶大でした. 最初にもらったみつもりのまま依頼するのにくらべると 44% も節約することができました.

つづく…

2008-07-11

最近,篤姫についていろいろ書いていますが,「大河ドラマの篤姫は副社長 ?!」 という項目では 「経営改革」 をすすめる篤姫を副社長になぞらえました. その後のドラマにおいては篤姫が信念にしたがって行動するさまがえがかれていますが,これもまた,経営者にかぎらず現代社会においても重要なことです. 「プレジデント」 など,経営者むけの雑誌ではよく徳川家康などの歴史上の人物がえがかれていますが,篤姫もとりあげられてしかるべきなのではないかとおもってみたところ,すでにとりあげられていました.

つづく…

本書は有名な KT 法の原典である.系統的な問題解決の方法を記述している. この方法は,状態把握,問題分析,決定分析,潜在的問題分析という 4 つの 「ラショナル・プロセス」 からなっている. 本書を読めば,これらのプロセスをどのように適用すればよいか,そのおおすじがわかる.

本書のもっとおもしろいところは,これらのプロセスの適用例として,おおくの実例がとりあげられていることである. これらの実例を理解することによって,KT 法をどう適用すればよいか,そのヒントをえることができる. 本書が書かれた時代のためだろうが,これらの例のおおくは生産現場や顧客への出荷にともなって発生した問題をとりあげている.

しかし,これらの実例をみると,それらにおいては KT 法によって必然的に問題が解決できたわけではなく,おおくのばあいにひらめきや常識にとらわれない判断などがきっかけとなって問題が解決されていることがわかる. 系統的に問題を詰めたことがこれらのひらめきや判断につながったのだろうが,KT 法以外のやりかたをとったときにくらべてよかったのか,わるかったのかは,これだけでは判断できない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 新・管理者の判断力@ [bk1]新・管理者の判断力@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-20

三浦 展 や共著者たちは 「ファスト風土化する日本」,「下流同盟」 などの本において,アメリカではウォルマートがまちをこわし,あちらこちらでその出店につよい反対運動がおこっているとのべている. ウォルマートの出店が地元の商店街をだめにし,非正規雇用をふやして低賃金ではたらかせ,まち全体をだめにしてしまうという. また,生産者への徹底的な値下げ要求によって,工業などにも影響をあたえている. 日本ではジャスコがウォルマートにちかいやくわりをはたしている.

つづく…

2008-07-24

日本のおおくの銀行は,合併によってめまぐるしくなまえをかえてきた. 三菱東京 UFJ 銀行もそのひとつである. ひとつまえのなまえは東京三菱銀行だったのに,「東京」 と 「三菱」 とがいつのまにか,ひっくりかえっている. しかし,英語名はいまも Bank of Tokyo ではじまり,あまりかわっていない. いっそ,日本名も 「東京銀行」 にすればよいのではないだろうか?

つづく…

2008-08-08

中野区の南部,川島通りと富士高校とのあいだの道に 3 対の “ツインハウス” があります. ツインハウスとは,もともと 1 件の家やひとつのビルがたっていた土地を 2 つにわけて,よく似た 2 件の家をたてたもののことをいっています. 以前ならこうした土地にはビルをたてたりアパートをたてたりしたところですが,最近ではちいさな一戸建て住宅をたてることがおおくなっているわけです.

つづく…

2008-08-18

「やる気」 がないのにもいろいろな原因やレベルがある. この本ではその原因を 「思うように仕事がはかどらないから」,「仕事の目標が見つからないから」 など,6 つに分類している. そして,原因のちがい,レベルのちがいなどに応じて,いろいろな対策をしめしている.

いずれかの原因,いずれかのレベルに特化して対策をしめしても,そこからはずれているひとには効果がないが,この本からはよりおおくのひとが自分にあった対策をみつけることができるのではないかとおもう. それができるのは,著者みずからがかつて 「やる気なし人間」 だった,たぶんそのときによっていろいろな原因やレベルを経験してきているからなのではないかとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: やる気の法則@ [bk1]やる気の法則@Amazon.co.jp

つづく…

著者は読売新聞記者出身ではあるが,1960 年代から大規模小売店業者を指導する立場になった. 本書はその立場から書かれたものである. 本書においてはアメリカの合理主義的なやりかたを紹介し,それが日本に根付かないことをいろいろな点から指摘・批判している.

たとえば,「有機栽培だから」,「自然農法だから」 よいといいつつ,その科学的根拠があいまいにされている点 (p. 71),マクドナルドのマニュアルが科学的実験をつきつめてできあがっていること (p. 202),台湾での買い付けにおいてアメリカのバイヤーが品質確保のためにきちんと指示をだしているのに日本のバイヤーはそれをしていないために品質が確保できていないこと (p. 241),日本のアイロン台は丈夫すぎて高価になっていること (p. 203) などが指摘されている.

しかし,アメリカと日本とのちがいやアメリカでウォルマートがきらわれていることなども考慮するべきだとおもえるが,こうしたことについてはほとんど書かれていない. アメリカの業界は日本より消費者を指向しているが,この本においては消費者の立場をどうかんがえているのかもあきらかでない. というわけで疑問の点もいろいろあるが,まだ,くみとれる点もおおいとかんがえられる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 流通革命の真実@ [bk1]流通革命の真実@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-23

この本は今年 7 月に出版されたばかりだが,その論点のほとんどは 10 年以上まえから指摘されていることである. IT がジェネラルパーパス (汎用) コンピュータにささえられた技術であることは,この本でもふれている 1960 年代に登場した IBM のシステム 360 以来である. 日本の情報システムのおおくがレガシーである,つまりふるびたシステムをだましだましつかっていることも 20 年以上まえからである. 日本の電子政府が 「おもちゃ」 だという指摘はもっとあたらしいが,ちょっとつかってみればわかる程度の指摘でしかない. そして,これらの問題点に対する解決策はあたえられていない. それでいて 「日本の停滞を打破する究極手段」 などという副題をつけているのはあまりにひどい.

つまり,この本のもとになっている知識はだれでもすぐにしらべられる程度のものであり,結論 (になっていないむすび) もそうである. 著者自身がもうレガシーになってしまったということだろうか?

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ジェネラルパーパス・テクノロジー@ [bk1]ジェネラルパーパス・テクノロジー@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-26

日本では消費者政策がもっとももとめられていた時代には生産者中心の政策がすすめられてきたが,より生産者政策が重要になってきたいまになって,消費者庁の設立というような消費者政策を重視しているようにみえる. これはもしかすると日本にとって危機的な事態なのではないだろうか?

つづく…

2008-09-12

最近,原油や工業原料などとともに,大豆,小麦などの穀物価格も急騰している. そのため,小売価格も上昇しているという. たしかに,値上げされたものはすくなくない. しかし,大豆,小麦などを原料とする製品のなかには,価格がすえおかれたり,むしろ実質的に値下げされているものもある. 牛乳やジュースもあいかわらず低価格なものが売られている. なぜだろうか?

つづく…

2008-09-23

今後は,情報通信技術 (ICT) はこれまでのように主役であるよりも,農林水産業や鉱業の脇役としてのやくわりが増大していくでしょう. また,これらの 「リアル」 な産業に資金が傾斜する結果,ICT によるヴァーチャルな世界の重要性は相対的に低下するでしょう. サブプライム・ローン問題にみられるようなヴァーチャル世界のあやうさも,リアルへの指向をつよめるものとかんがえられます.

つづく…

2008-09-27

ライブドア事件はエンロン事件のような 「巨悪」 ではない,詐欺をはたらいたというのは錯覚だと主張している. そこまではただしいとおもうが,錯覚によって株価が暴落したから大損失が発生したという主張はうけいれがたい. 株価を左右する原因はさまざまあるが,それを錯覚といってしまっては,市場経済は錯覚のうえになりたっていることになるだろう. いずれにしても,ライブドア事件をみなおすきっかけとしてはよい本であるかもしれない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ライブドア・二重の虚構@ [bk1]ライブドア・二重の虚構@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-30

食品に関する 4 つの見解である自然主義,科学的進歩主義,平等主義,グローバル主義のそれぞれに配慮しつつ,有機食品や従来の交配による食品の改良にも危険があり,遺伝子くみかえのほうが危険がすくないとかんがえられるばあいもあると論じている. 遺伝子くみかえよりはるかに危険なものとして狂牛病もとりあげられている.

全体としてとくに過激な議論はなく,遺伝子くみかえを正当に評価しているとおもう. しかし,1 章でいきなり有機食品への大腸菌や毒素の発生の問題が論じられているのには,いささかおどろいた. 有機食品を攻撃するのが目的ではないが,インパクトがつよすぎるようにもおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 遺伝子組換え食品@ [bk1]遺伝子組換え食品@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-15

レアメタル (希少金属) を中心に,世界で争奪戦をくりひろげる国や企業をとりあげている. 中心はレアメタルの主要な産出国でありながらアフリカなどから輸入している中国であり,低賃金,わるい労働条件,危険など,その悪評が執拗にかたられる. 日本では住友金属鉱山が積極的だというが,他国に負けるさまがえがかれている.

末尾では 「日本人が [中略] 話し合いを責任を持って行えば,少ない予算で短期間に成果を出せるだろう」 と書いている. この主張は理解できなくはないが,欧米や中国との対比はちょっと極端なのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: メタル・ウォーズ@ [bk1]メタル・ウォーズ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-17

くみたて家具にはネジ類が欠かせません. たいていは袋にはいっていて,しかも,たいていはびったりの数しかはいっていません. よく,かぞえまちがえないものだとおもいます. くみたて式のベッドを買いましたが,その部品は写真のようにパックされていました. これなら数をまちがえることはないでしょう. ちょっと感心しました.

つづく…

2008-11-11

11 月 10 日の NHK スペシャルでは,「デジタルネイティブ ~次代を変える若者たち~」 が放送された. もっともおおくの時間をさいていたのは,アメリカの 14 歳の少年,アンシュール・サマー (Anshul Samar) が自分でアイデアをあたためたゲームの仕事をネットで世界各地のひとに発注し,すでに 1000 万円をうりあげたという話である. 親がきいてもわからない方法で開発したということが注目されていたが,おどろくべきことはむしろ,その事業センスと,リアルな世界でもおとなと対等に議論しているところだとおもう.

つづく…

2008-11-18

原油価格が一時は 140 ドルをこえた第 3 次オイルショックをさまざまな統計や予測によって分析し,第 1 次,第 2 次のオイルショックと比較している. 数値的に把握することは重要だし,過去のオイルショックと比較することで,現在およびちかい将来どう対処するべきか,ある程度の指針をえることもできるだろう.

しかし,現在の経済状況においては,原油だけでなく金属資源や農産物の価格高騰や,サブプライム問題からはじまった巨大なバブル崩壊とそこからもたらされる世界不況など,さまざまな要因がからみあっている. それに対してこの本はほとんど原油とその周辺に話題をかぎり,統計や予測の数値に説明をくわえる程度の分析にとどまっている. 他の要因をかんがえない予測にどれだけの意味があるのだろうか?

私自身もそうだが,一部のエピソードをべつにすれば,この内容が一般の読者の興味をひくものだとはおもえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 第3次オイルショック@ [bk1]第3次オイルショック@Amazon.co.jp

つづく…

2008-12-10

日本の国土はせまいが,排他的経済水域は非常にひろい. 現在は不況のため石油も農林水産物も価格がさがっているが,いずれまた高騰するのはまちがいない. それをみこして,経済水域内の資源を他国にとられないようにするための制度や研究をすすめる必要がある.

つづく…

2009-01-13

マンション屋から電話がかかってくることがおおい. 「マンションなどのセールスの手口とそれに対する感想」 という項目でそれを分析したが,最近は元気のないセールスマンがおおいようにおもう. なにが売りたいのか,なかなかわからない電話もおおい. そういうなかで,先日,大阪のセンチュリー 21 (Century 21) からかかってきた電話はみごとだった.

つづく…

2009-01-17

これまで,いくつかの国家プロジェクトにかかわってきた. しかし,どうも,国家プロジェクトというものがすきになれない. しばしば税金がむだづかいされているとおもうからだ.

公共事業のむだづかいは糾弾されつづけてきたが,いまだにむだガネがつかわれている. 金額はそれよりちいさいとはいえ,同様のむだづかいはいたるところにあるだろう. むしろ,公共事業のように糾弾されていないがゆえに,もっとむだなカネがつかわれているのではないだろうか. 国家プロジェクトもそのひとつだとおもえる.

つづく…

1 人の著者が書いたことになっているが,実際は 20 人くらいのひとが書いた (or 語った) 内容をまとめている. この本を読んでもフェアトレードとはなんなのかがかならずしもわからないが,ひとによってちがうさまざまなフェアトレードに対するかんがえかたを知ることができる. 私自身は 「消費者が満足してこその生産があるべきで [中略] 「かわいそうだから」 という気持ちで買っても,使わないでタンスにしまわれているのは果たしてフェアなのだろうかと考えてしまうのです」 という 山口 絵理子 のかんがえに共感する.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: フェアトレードの時代@ [bk1]フェアトレードの時代@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-23

シリコンバレーのベンチャー・キャピタリストである著者は,ベンチャーを殺すアメリカ型資本主義をさまざまな点で批判し,あたらしい資本主義をつくるべきだと書いている. サブプライム問題が発生してからはアメリカ型資本主義を批判する声はたかまったが,それ以前に書かれた本書は著者の目のたしかさを示しているといえるだろう.

しかし,それではこれからはどんな技術や産業がさかえるのか? 著者はそれを自身が提言している PUC (パーベイシブ・ユビキタス・コンピューティング) という概念にもとめ,それをささえるものとして IFX 理論 (インデックス・ファブリック理論) をあげている. しかし,それらは現在でもあまり知られていないままであり,今後ひろがるようにもおもえない. むしろ,本書ではまったくふれていない 「知識」 や 「知能」 の問題 (Web 3.0) がキーになるのではないだろうか?

著者は現在の情報機器のあいだでデータ構造がことなり互換性がないことを問題点としてあげている. しかし,とくに銀行の合併などで問題になる大規模なシステムの 「非互換性」 をもたらしているのは概念や文化のちがいである. こういう人間的な問題をかんがえなければ,将来有望な技術や産業をいいあてることはできないのではないだろうか?

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 21世紀の国富論@ [bk1]21世紀の国富論@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-28

なにごとも最後まであきらめない著者のすごさに圧倒される. あきらめないことは重要である. しかし,それによってほとんどの困難をのりきって成功させてきたのにはいろいろ理由があることが,この本を読めばわかってくる. そのひとつは人脈だ. 有名人をふくむ,ひとの信頼をえることが重要な要素であるようだ. 著者とおなじようにふるまうことはできないだろうが,「爪の垢を煎じてのむ」 に値する.

評価: ★★★★☆

関連リンク: コンサル成功物語@ [bk1]コンサル成功物語@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-29

論旨はおなじ著者による 「21 世紀の国富論」 にちかい. 崩壊した金融資本主義を批判し,ベンチャー的ものづくりの価値を主張している. 著者はあたらしい産業には 「コア技術」 が必要だと主張しているが,自身が提言している PUC (パーベイシブ・ユビキタス・コンピューティング) という概念や,それをささえるものとして IFX 理論 (インデックス・ファブリック理論) からうまれることを期待している. Web 2.0 に関しては 「Web での第 2 世代のサービス」 としていて,その無理解にはおどろかされる. そして,開発投資の対象をきめるのに各分野の専門家がえらんだ企業に優先的に投資するしくみを提案している. マイクロクレジットというような途上国における起業のしくみや日本の途上国援助にもふれている.

タイトルの 「新しい資本主義」 とは 「公益資本主義」 だという. それをささえる経済学も組織的に研究しているというが,経済学がつくれたからといってそれを実現させるのは困難なことだろう. かかげた理想には賛同するが,説得力がある議論だとはいえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 新しい資本主義@ [bk1]新しい資本主義@Amazon.co.jp

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2009-05-02

著者は (経営) コンサルタントであり,顧客である企業の身になって提案やプロジェクト管理をしてきた. そういう著者からみると現在の 「クラウド・コンピューティング」 のさわぎはシステムインテグレータなどが企業をふりまわしているようにみえる. 自社にとって真に必要なものはなにか,それをクラウド・コンピューティングによって実現できるのかをみきわめる必要がある.

そのため,著者はクラウド・コンピューティングとはなんなのか,1960 年代の TSS (タイム・シェアリング・システム) にまでさかのぼってみきわめようとする. また,クラウド・コンピューティングの技術を分析し,さまざまな仮想化との関係も論じている. しかし,一般の企業ユーザにはこうした技術を理解する必要はないということもいっている.

Google と Amazon についてはかなりのページをさいて分析しているが,ほかに SAP, Oracle, IBM, 日本の各キャリアなどの企業の動向も分析している. 「クラウド・コンピューティング」 が混乱した状況にある以上,かんたんな処方箋はない. こうしたさまざまな知識をえて総合的に判断することが経営者やコンサルタントなどには必要とされているのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クラウドコンピューティングの幻想@ [bk1]クラウドコンピューティングの幻想@Amazon.co.jp

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2009-07-30

日本では個人も組織もリスクをとろうとしない. しかし,著者は,もっと積極的にリスクをとったほうが停滞をぬけだして,よりよい方向にむかうことができると主張する. そのこと自体にはまったく賛成する.

しかし,タイトルからわかるように本書はおもに個人にリスクをとることをすすめる本である. 組織のことにページをさけばさくだけ,個人としてはどうしてよいのやら,わからなくなる. 十分な情報があたえられていないので,「本書をきっかけに,[中略] ちょっとだけリスクを意識し,リスクを分析し,リスクを取ってみてください」 といわれても,とまどってしまうだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 会社に人生を預けるな@ [bk1]会社に人生を預けるな@Amazon.co.jp

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2009-09-11

小泉郵政改革に反対する立場の議論である. 郵政や道路公団の民営化だけでなく,国鉄,電電公社,専売公社の民営化も批判的に再検討している. これら三公社の民営化に関しては累積赤字のツケを国民にまわしたことを批判している. しかし,そうしないで公社のままだったら,さらに累積赤字がつみかさなって,もっとひどいことになっていたのではないだろうか? これらの民営化に関する論点を提供している点では価値があるが,読者もこの本を批判的によむべきだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民営化で誰が得をするのか@ [bk1]民営化で誰が得をするのか@Amazon.co.jp

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2009-10-16

ときどきブランデーをもらうのだが,それほど頻繁に飲んではいない. もらうときにすでにけっこう生産されてから時間がたっていることもあって,のむときには 5 年以上たっていることがある. それでもブランデーそのものは品質に問題はない. しかし,コルク栓はすでにぼろぼろになっていることがおおい. これはこまったことだ.

つづく…

2009-11-28

タイトルにだまされた. これからどうすればチャンスがつかめるか,そのヒントがえられるのではないかと想像したが,なにがどうチャンスなのか,わからずじまいだ. たしかに著者たちは 100 年に一度の経済状況でもうまくやっていけるのかもしれない. しかし,この本の読者はかれらからまなぶというよりは,自分でかんがえなければならないことを知るだけだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 100年に一度のチャンス@ [bk1]100年に一度のチャンス@Amazon.co.jp

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2009-12-30

著者は技術経営の専門家だ. 技術経営の本というともっとアタマ・デッカチ (理論中心) の本を想像するが,この本では各章のタイトル (「法則」) はスローガン的になっているものの,内容は具体例に徹しているので一般向きだ. そして具体例を 「スローガン」 にうまくむすびつけている. しかし,具体例中心であるために読者が自分の仕事にこの本の内容をいかすのはむずかしくなっているともいえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 理系の企画力@ [bk1]理系の企画力@Amazon.co.jp

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2010-02-15

プリウスのブレーキの 「不具合」 が連日ニュースに登場してくる. トヨタによるとソフトウェアの問題だということだが,バグではないようだ. それにもかかわらず 「不具合」 とよぶことには違和感がある. ところが,「欠陥」 とよぶべきだという意見さえあるようだ.

つづく…

2010-06-20

著者は経営者の立場にあって,「知のグローバリゼーション」,Web 2.0 やクラウド・コンピューティングへのながれを経験してきた. 「21 世紀の産業革命」 もアメリカからおこるなかで,日本は IT ではなく 「クール・ジャパン」,ガラパゴス文化を世界に発信していくのがよいという.

世間でいわれているいろいろなことをつなぎあわせた内容であり,著者独自のかんがえは希薄である. しいていえば,大衆文化が次世代をひらくというかんがえに独自性があるようにみえる. 著者は Twitter を評価し,「大衆自身がコンテンツを作り,公開することでウェブ空間に 「巨大知」 が形成され」 と書いている. しかし,Twitter が 「巨大知」 を形成できるメディアだとはおもえない. こういうひとの意見にしたがっているだけでは,日本はますます没落していくだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: クラウド時代と〈クール革命〉@ [bk1] クラウド時代と〈クール革命〉@Amazon.co.jp

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2010-06-28

「○○リバブル」 という不動産会社がある. あまりよい話題ではないので,あえて伏字にしている. 「リバブル」 は livable をカナがきしているのだが,re-bubble ともよめてしまう.

つづく…

2010-07-02

家づくりの過程でのさまざまな罠について書いている. そのなかには施主がかかりやすい罠もあるが,おおくはハウスメーカーがかかった罠の話である. 施主も自分である程度それをチェックできるだろうが,おおくの点は専門家にチェックしてもらう必要がある. 著者はそういうチェックをすることを仕事にしている. そうは書いてないが,結局は家づくりに失敗したくなければ,こういう専門家にたのむ必要があるということになるのだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: なぜ 90%の人が家づくりに失敗するのか@ [bk1] なぜ 90%の人が家づくりに失敗するのか@Amazon.co.jp

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2010-09-10

アマゾンに関する本は多々あるが,アマゾンの配送センタに潜入つまり勤務した経験を書いている本はほかにはないのだろう. ノルマのきびしさが強調されているが,これはアマゾンだけのことではないだろう. 潜入してはじめてわかることもいろいろ書かれているが,それほどおおきく目をひく内容でもない. なにか,もうすこし,するどい切り込みがほしかった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: アマゾン・ドット・コムの光と影@ [bk1] アマゾン・ドット・コムの光と影@Amazon.co.jp

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2010-09-11

著者の肩書は 「農水省食料安全保障課長」 ということであり,この本のなかで自給率,消費構造,穀物価格や需給などに関してはさまざまな統計量がつかわれている. しかし,「安全保障」 のためには 「有事」 の際になにがおこるかを定量的に検証するのが重要なはずだ. ところがこの本のなかでは,食料輸入がすべてストップしたが国内生産はいままでどおりだったらどうなるか,というような非現実的な条件でおこりうることが検証されているだけだ. もっと現実的な条件でおこりうることはなにか,それにそなえるには自給率やその他の数値がどのくらいであるべきかを検証しなければ,食料自給がどうあるべきかを議論するには不十分だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 食料自給率のなぜ@ [bk1] 食料自給率のなぜ@Amazon.co.jp

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2010-09-22

通常の出版社をとおさずにオンデマンド出版の本をアマゾンで売ってきた著者が売り上げをのばす方法について書いている. 本の表紙のつくりかたやそれをどういうかたちでアマゾンにのせるか,「なか見! 検索」 をするべきかどうかなど,非常にこまかい (とみえる) 点が多々とりあげられている.

内容は売り上げをどうのばすかという点にかたよっているという印象をうける. 編集者の手をへずに出版するのだから,それにかわる方法論がもっとあってしかるべきだが,原稿をひとにみせてコメントをもらうという程度のことしか書いてない. そこがちょっと期待はずれだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 私にはもう出版社はいらない@ [bk1] 私にはもう出版社はいらない@Amazon.co.jp

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2010-10-23

加賀屋をはじめとする 8 つの事例を解説している. 「おもてなし」 とくふうをこらしたコストカットの両面をあつかっている. とくに,「おもてなし」 をささえる裏方のしかけがおもしろい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「最強のサービス」の教科書@ [bk1] 「最強のサービス」の教科書@Amazon.co.jp

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2010-11-02

「10 の鉄則」 すべてがピンときたわけではないが,ベンチャー企業において重要な点がふくまれいることはまちがいないだろう. 持続的な研究開発体制の確立,論文や特許の奨励など,自分の経験からしても納得できる内容だ. 経験はないが,「技術負債 [事故など] を返済するときは,負債を持っているチームにやらせないことが重要」 という指摘ももっともだ. 「新人社員が研究所を希望しているのならば,まずは研究所に配属させてやるのが良い」 というのももっともだが,なかなかできないことだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「夢の新製品」を生み出す10の鉄則@ [bk1] 「夢の新製品」を生み出す10の鉄則@Amazon.co.jp

つづく…

2010-11-09

著者は大学の研究者なのに 「現場からの告発」 というサブタイトルがついているのは,フィールドワークにもとづく著書だからだろう. しかし,それにしては,ナマの情報がすくない. 内容がこなれすぎていて,やはり 「現場からの告発」 にはなっていない.

もとは章ごとに独立の文章だったようだ. 章ごとに著者がちがっていて,対象事業・業務はモノづくりもあればソフトウェア開発もあるが,章タイトルは事業・業務とは独立につけられている. よりひろく適用できる議論をめざしているということだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本の技術経営に異議あり@ [bk1] 日本の技術経営に異議あり@Amazon.co.jp

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2010-12-16

タイトルをみると著者がビジネスに計画はいらないと主張しているようにもみえる. 実際,ビジネスにはゆるぎないゴールが存在したりせず,プロセスが重要だという主張をしている. しかし,目的や目標をたてることを否定しているわけではなく,それらは必要に応じて再設定するべきものだということだ.

著者がきらいなのは 「戦略」 という勝ち負けにかかわることばだ. 一方,著者はこの議論のなかにフェティシズムとか脱構築とかいうことばをもちこもうとしている. しかし,「戦略」 の否定をふくめて,十分に整理されているとはおもえない. 共感できる部分はあるが,読みおわってもモヤモヤしたものがのこる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ビジネスに「戦略」なんていらない@ [bk1]ビジネスに「戦略」なんていらない@Amazon.co.jp

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2010-12-21

工業製品が標準化された部品からくみたてられることは周知であり,その意味で 「製品アーキテクチャのモジュール化」 は目新しいことではない. しかし,この本ではそれだけでなく,「生産のモジュール化」,「企業間システムのモジュール化」がとりあげられ,また 「製品アーキテクチャのモジュール化」 においても日本の企業ではモジュール間のすりあわせをともなう,より柔軟なモジュール化がなされていることの指摘など,実際の生産の場の観察にもとづくさまざまな分析がなされている.

ただ,この本は章ごとにことなる著者が執筆しているため,それらの分析が十分に整理されたかたちでしめされていないところに弱点がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: モジュール化@ [bk1]モジュール化@Amazon.co.jp

つづく…

2011-01-15

「もっとも強力なマーケティング手法のひとつ」 つまり 「あるものをタダであげることで,別のものの需要をつくりだす」 のが 「フリー」 である. それは 19 世紀のおわりに誕生し,デジタル・メディアの登場でひろがった. Microsoft 対 Linux,Yahoo 対 Google など,この本ではさまざまな具体例をあげて,なぜタダにしてももうかるのかを説明している. この本のなかには 10 数個のかこみ記事があり,そこでさらにおおくの具体例をとりあげている. これらを読んでいくことで,読者も具体的な戦略をみつけることができるかもしれない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: FREE@ [bk1]FREE@Amazon.co.jp

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2011-01-25

2007 年に出版されたネットの本をいまさら読んだ. 当時はブログが話題の中心だった. 現在は事情がかわってしまった部分がおおいが,いまでもブログをかきつづけている私にとっては参考になる点が多々あった. 最近は 「炎上」 の話もあまりきかないが,炎上を解決するにはブログを閉鎖したりするのでなく真摯な姿勢が重要だという指摘は納得がいく. また,炎上しているときはふだんより注目されているからチャンスだという指摘ももっともだ. ブログの歴史もこれまで読んだ本にはあまり書いてなかったようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クチコミの技術@ [bk1]クチコミの技術@Amazon.co.jp

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2011-02-01

出張で St. Maarten (シント・マーテン,セント・マーティン) というまちにきて,まちなかをあるいていると,よく変化する広告看板をみかけた. 日本ではあまりみないものだ. 日本では最近,デジタル・サイネージがはやっているが,こういう “アナログ・サイネージ” の文化があるのとないのとで,デジタル・サイネージがうけいれられるかどうかがきまってくるのではないだろうか?

つづく…

2011-02-04

さまざまな企業からの依頼をうけて魅力的な製品をうみだしているデザイン会社 IDEO が話題の中心だ. GE, P & G, Apple などの会社にもふれている. そして,この本の中心は IDEO にみられる創造のプロセスの著者の体験にもとづく解説だ. そこでは,創造性は個人の才能ではなく方法でありマネジメントの問題だということ,プロトタイピングと,フィールドワーク,エスノグラフィーの重要性と手法などが記述されている. フランク・モスにひきいられる MIT メディアラボにおけるプロトタイピングの方法も記述されている.

こういうあたらしい方法はとくに日本の大企業にはうけいれられていないという. 会社がうけいれないなら,個人で経験する方法はないものかとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: デザイン思考の道具箱@ [bk1]デザイン思考の道具箱@Amazon.co.jp

つづく…

2011-02-19

ちかごろの President は,およそそのなまえとは相いれないことを特集していると感じてきた (以前はそうでなかったような気がするのだが…). 「年収 1500 万円の勉強法」 とか,「金持ち家族,貧乏家族」 とか,「いる社員,いらない社員」 とか,なんでこんなシミッたれたタイトルの特集を組むのか… そういう President がひさびさにそのタイトルに恥じない特集 「孫正義の白熱教室」 を組んだ. これならば,president (社長) から一般社員まで,いろいろまなぶことができる. 今後もこういう特集を期待したい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: PRESIDENT@Amazon.co.jp

つづく…

2011-03-14

3 月 13 日の産經新聞の社説では,今回の巨大地震がもとになって発生した福島の原発爆発事故がとりあげられている. タイトルは 「安全軽視が招く重大事態」 となっている. 内容を読んで唖然とした. とても,まともな新聞が書く社説だとはおもえない.

つづく…

2011-03-17

この本には,仕事を成功させるためのいろいろなちょっとしたアイデアや,かたい頭をほぐしてくれるようなことが書いてある. それがそのまま読者にやくだつことはむしろすくないだろうが,この本を読んで頭をやわらかくすれば,もっとうまくいくようになるのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 小さなチーム、大きな仕事@ [bk1]小さなチーム、大きな仕事@Amazon.co.jp

つづく…

2011-03-29

政府は法人税を 5% 減税する予定だった. しかし,震災対策への支出が大幅にふえるいま,減税するべきでない. 一段落するまで減税は延期するべきだろう.

つづく…

2011-04-05

東日本大震災の被災地では,おおくのくるまがうしなわれ,被災者の移動や仕事さがしを困難にしている. すでにいくつかのまちではおこなわれているようだが,定期的にバスを運行するのがよいようだ.

つづく…

2011-04-11

新聞も音楽 (CD) もデジタル化によって収益があがらなくなり,転職や賃下げを余儀なくされている. 著者は自分で電子出版に手を染めた結果,電子書籍も同様のことをひきおこすとかんがえている. また,日本にはアメリカよりはるかに複雑な著作権問題があり,電子書籍の普及をさまたげている. さらに,電子書籍には IT の力が不可欠だが,「IT 側の人間」 は IT やそのビジネスには興味があっても 「作品」 には興味がないという.

このようにこの本では暗い話題がつぎつぎにしめされるが,最後に 「オンラインによるヴァーチャル世界が広がれば広がるほどリアルが大切になる」 という話が登場する. これがほんとうであるなら,すこしばかり救いになるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 出版大崩壊@ [bk1]出版大崩壊@Amazon.co.jp

つづく…

2011-06-06

一時,福島第一原発事故からくる風評被害が深刻な問題とされていた. いまでは市場もおちつきをとりもどして,福島や茨城の農作物が買いたたかれることもすくなくなっているようにみえる. おもいおこしてみれば,このような風評被害は決して国内の商品だけでおこっていたわけではない. 中国製の商品への不信がたかまって,中国だけでなく台湾など,他の国の商品にまでひろがっていたことをおもいだす. 他国のことだというので,あまりおおきくとりあげられなかったが,いわれのない風評で被害をうけていたことはかわらない. 海外への影響にも注意をはらっていく必要があるだろう.

つづく…

2011-06-26

東日本大震災復興構想会議では,水産業の復興のために特区を創設して民間資金を活用するという宮城県知事が推進してきた案がとりいれられている. これに対して,漁業者などが署名をあつめて反対しているという. かれらは,東北だけでない日本の水産業復興のために自分たちがなにをすればよいのか,まったくわかっていないのではないだろうか?

つづく…

2011-06-29

災害による観光業の被害や銀行の取り付け騒ぎなど,さまざまな風評被害が分析されている. そのなかには放射能に関するものもあるが,おもに東日本大震災よりまえの事件がとりあげられている. 最後の 2 章はこの震災における風評被害にあてられているが,のびのびになっていたこの本の出版が震災を機会に加速されたということだ. 立場によっておなじ 「事件」 が風評被害とみなされることもあり,そうでないこともあるというあやうさも,とりあげられている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 風評被害@ [bk1] 風評被害@Amazon.co.jp

つづく…

2011-07-24

日本人がリスクをとろうとしないことは,これまでも指摘されてきたし,私自身そう感じてきた. しかし,著者らの意見が他とちがっているのは,リスクをとろうとしないのは日本社会ではさまざまなリスクが大きすぎるからだとかんがえていることだ. 大学卒業時に就職できないと一生フリーターになってしまうというリスクのおおきさは,アメリカなどにはないということだ. ほかにもいろいろ日本社会の問題点が指摘されている. どれももっともであり,問題の根深さを感じざるをえない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: リスクに背を向ける日本人@ [bk1] リスクに背を向ける日本人@Amazon.co.jp

つづく…

2011-07-25

東日本大震災ではおおくの人命や住宅とともに農業,漁業,工業,商業などの施設もうしなわれた. そのおおくはいまも再建されずにいる. 国や県,金融機関などはまだそのおおくをたすけられずにいる. 被災地の金融機関はそれじたいもおおきな被害をだしているから,融資できる金額にも制約がある. そういうなかで,最近注目されいるもののひとつが市民ファンド,あるいは市民ファイナンスだ. ミュージック・セキュリティーズという会社と,それが運営するセキュリテ被災地応援ファンドがあちこちから注目されている.

つづく…

2011-09-04

世界のなかでの日本の存在感がちいさくなっているなかで,著者は韓国,中国などとどう対峙していくか,また原子炉や新幹線などの日本製品をどう海外に売りこんでいくかなどの点を論じている. それぞれの論点に関しては示唆的な部分をふくんでいる. しかし,全体としてみると印象がうすい. さまざまな論点がうまくからみあっていないようにみえる. また,震災後に原子炉輸出の問題をとりあげているのに,事故に関する配慮がないのも疑問を感じる. 新興国が台頭し,日本の人口や経済が縮退するなかで,日本の復興は容易でない. だから,もうすこし全体的なビジョンがなければ,それを実現させることはできないのではないだろうか.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 不屈の日本@ [bk1] 不屈の日本@Amazon.co.jp

つづく…

2011-09-18

各章を 2 つにわけて,前半を野中,後半を遠藤が書いている. 後半は前半を補足するかたちになっているため印象がうすい. しかし,補足しなければならないということは前半もよわいということだろう. たとえば,「「ぶら下がり社員」を海外に送り込め」というような主張は,現在の日本企業に関する洞察がよわいのではないかという印象をうける.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 日本企業にいま大切なこと@ [bk1] 日本企業にいま大切なこと@Amazon.co.jp

つづく…

2011-09-29

かつては会社がまず社員のものだとしていた日本企業が,1990 年代以降,会社は株主のものという米英流に影響されている. しかし,著者はあたらしい時代にあった人本主義にむかうべきだという. 2000 年に初版が出版されたあと改訂されていないため,とりあげられた統計などはふるいが,主張はいまでも重要だ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: デジタル人本主義への道@ [bk1]経営の未来を見誤るな@ [bk1]デジタル人本主義への道@Amazon.co.jp[bk1]経営の未来を見誤るな@Amazon.co.jp

つづく…

2011-10-15

出版されてから 10 年以上たって,その後あきらかに著者がかんがえていたのとはちがう方向にすすんでいる面もある. 「コンピュータはコミュニケーションの道具にすぎない」 から 「そんなに大きな価値を生むはずがない」 というのは,それ以前のあきらかな誤解だ. しかし,「IT 革命」 が当初かんがえられていたのとはちがう方向にすすんでいることもたしかだろう. 「IT 革命というのは [中略] オールド・エコノミーが IT を導入して革新していくことをいうのだ」 ということばが引用されているが,そうではなくて 「IT 革命というのは IT 企業がオールド・エコノミーのしくみを導入して革新して」 いっていることだというのが真実にちかいのではないだろうか.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: IT革命?@ [bk1]IT革命?@Amazon.co.jp

つづく…

2012-01-04

インド バンガロール (Bangalore, Bengalulu) のホテルにとまっている. ここのトイレにはハンド・シャワーがついている. こんなものをつけるより,ウォシュレット (温水洗浄便座) をつけるほうがずっとよいだろう. それが普及していないのは,日本のメーカーが気づいていないからではないだろうか.

つづく…

2012-06-15

4 月に会社の社員証が変更された. それまではクレジットカードと社員証が一体化されていて,社内であればどこの食堂でもそれをつかうようになっていた. ところが,4 月以降は事業所ごとにあつかいがかわっている. 出張してあちこちの事業所にいくとトラブルばかりであたまにくる.

つづく…

2012-07-28

「社会起業家」 とかグラミン銀行のような投資家の話をきくようになってからひさしいが,この本はそういうビジネスの具体例を取材したものだ. 小規模の企業がおおくとりあげられているが,パナソニックの事業もふくまれている. 日本国内では安全が保証されないためにできないようなビジネスもあり,くびをかしげるような内容のものもある. こういうビジネスはかなりのリスクをとらなければできないのだろうし,それでいてハイリターンではない. しかし,ここにはこれからのビジネスのヒントがあるのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大転換@Amazon.co.jp

つづく…

2012-09-16

著者は 「ストーリー」 ということばを重視し,その説明にかなりのページをさいている. しかし,この本に書いてあるのは志,ブランド化,エピソードの 3 つであり,(それらに 「ストーリー」 をくっつけているが) ストーリーとは関係ない. さまざまなビジネスの成功例をあげて,この 3 つにあてはめているが,こじつけという印象がいなめない. 成功例はもっとすなおに理解したほうがよいとおもえる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 価格、品質、広告…@Amazon.co.jp

つづく…

日本はもはや,ものづくりだけではやっていけないといわれている. サービス産業を強化することはもちろん必要だろうが,同時にものづくりの付加価値をたかめることも必要だろう. たとえば,Apple という会社がヒントにはなるだろう. この会社はたしかに iTunes というサービスで差別化をはかっているということができるが,基本はものづくりでやっている会社だ.

つづく…

著者は従来の日本のものづくりのやりかたがガラパゴス化につながり,世界ではもはや通用しなくなったことを指摘している. そして,解決のいとぐちとしてシリコンバレーをあげている. たしかにシリコンバレーからまなぶべきことは多々あるだろう. しかし,それをそのまま日本にもちこめばよいわけではなく,日本でこれまでそだてられてきたシステムをこわさないことが必要だろう.

そういう日本の産業のよいシステムは,最終章でとりあげられている東日本大震災でこわされたサプライ・チェーンにもあらわれている. また,この本ではとりあげられていない中小企業間の連携は,シリコンバレーの企業間の関係に匹敵するのではないだろうか. そういうところには著者の目はいっていない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ゲームが変わった@Amazon.co.jp

つづく…

2012-09-28

個人事業者などのためのブランディングの方法論だ. 会社を売りこむより個人を売りこむほうが効果的だという. それは理解できることだが,やはり会社のブランドと個人のブランドとはちがうものなのではないかとおもえる. それらの関係はこの本を読んでもよくわからない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: パーソナルブランディング@Amazon.co.jp

つづく…

2012-10-06

年間家賃収入 2 億円を達成した著者が不動産投資をはじめるまで,そしてはじめたころをふりかえっている. いろいろな経験が現在につながっているのだろうが,それほど特別の経験があったようにもみえない. だから,どこに 「ヒミツ」 があるのかも,よくわからなかった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: お金の大事な話@Amazon.co.jp

つづく…

2012-10-13

ワークシェアリングの必要性,分類,実態,動向などをまとめている. 日本企業へのアンケートの結果などもふくまれているが,全体的にみて企業からの視点がうすい. ワークシェアリングが企業にうけいれられるためには,企業にとっての利点をもっとはっきりさせる必要があるだろう. そこが弱点なのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本型ワークシェアリング@Amazon.co.jp

つづく…

2 タイプのやりかたを比較しながら,無料ビジネスについてわかりやすく説明している. そしてそこに,顧客が時間を潤沢にもっているかどうかがからんでくる. 無料ないし非常に安価にすることでまず顧客の時間をおさえる. 顧客が時間をつかううちにやがてカネもつかわせるというのが最近よくある戦略だという. コンプガチャもそれがうまくいきすぎた例なのだろう. ほかにもいろいろな話が書いてあって,またそれがいろいろな方向に展開していく可能性や危険が秘められているのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 無料ビジネスの時代@Amazon.co.jp

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2012-10-22

言語で表現できない感情や感覚などがビジネスにおいても重要だという主張だ. それはそのとおりだとおもう. しかし,著者 (ほとんどひとりで書いたらしいのだが,表紙にはなぜか 「博報堂ブランドデザイン」 という肩書きが書いてある) が書いている具体的な話になると,この主題との関係がよくわからなくなる. 最初にでてくる周囲がぼけてうつるデジカメの話,第 1 章の 「たとえ」 の話など, 言語で表現できるかどうかということとは無関係であるようにおもえる.

結局のところ,「非言語」 というテーマをたてて,そこに関係のあるものないものすべて ほうりこんでいるという印象をうける. その結果,著者がほんとうにいいたいこと (ほんとうにあるの ?!) はわからなくなっている.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ビジネスは「非言語」で動く@Amazon.co.jp

つづく…

2012-10-29

最近は日本の町工場のすごさがテレビなどでもよく報道されるが,著者ははやい時期からそれを本に書いてひろめてきたのだろう. 伝統と新技術を両方とりあげていて,それらの関係についても書いている. 新技術のなかには使い捨てカメラの非球面レンズ,大学でもつくれなかった指が切れないプルトップ缶を町工場でつくったことなどがある. また,削るなどしてすててしまう部分へのくふうが不可能を可能にする話はおもしろい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 町工場(単行本)@Amazon.co.jp町工場(文庫)@Amazon.co.jp

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2012-11-06

オランダではワークシェアリングがうまくいき,経済が活性化されているという. この本はそのオランダにまなんで日本でもワークシェアリングを実現しようという内容だ. だが,この本にも書かれているようにオランダと日本とではさまざまなちがいがある. 日本人のはたらきかたや労働市場などについてはこの本でも検討しているが,経済構造などについてもっと分析が必要なのではないだろうか. このようなせまい分析では,オランダのやりかたがとりいれられるのか,また.どうとりいれていけばよいのか,わからない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ワークシェアリング@Amazon.co.jp

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2012-11-14

3D CAD や 3D CAM とそれらをいちはやく導入した企業を取材したものだ. 出版されてから 8 年たっているが,この世界を知らないひとにとっては,いまでも参考になるとかんがえられる. ただし,企業紹介について書かれていることはとにかくはやく導入したことであり,それほど特徴的なつかいかたをしているようにはみえない. いま読んで不満なのはこういう特徴的な部分がわからないことだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 3Dものづくり@Amazon.co.jp3Dものづくり@Amazon.co.jp

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2012-11-17

「モノづくり」 ではボトムアップの部分あるいは 「現場」 が重要だが,この本はほとんどすべてがトップダウンつまり 「あたまでっかち」 だ. あたまでかんがえたことと,かんがえることのすすめ. それは著者がコンサルタントの経験から書いているためだろう. しかも,あまり現場をよくみてこなかったのではないだろうか. トップダウンも必要だから,その部分を知るにはこの本を読むのもよいだろう. しかし,それはむしろ相対的にはちいさな部分だとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 儲かる「モノづくり」@Amazon.co.jp

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2012-12-04

「起業」 といってもいろいろな業種があるが,これはたったひとりで製造業を起業するための本だ. いままではできなかった 「ひとり製造業」 ができるようになったのは,ソーシャルメディアと 3D プリンタのおかげというわけで,まずそのつかいかたを解説している. そのあと,資金やレンタルのしかたなどについても書いている. また,エピソードのようなかたちで実例も紹介している.

「ひとり製造業」 を実際にはじめるにはこの本で十分ということはもちろんないが,それがどんなものかを知り,そこに第 1 歩をふみだすには,この本を読むとよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: デジタルで起業する!@Amazon.co.jp

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2012-12-05

インクジェットによるさまざまな印刷と 3D 印刷に関する本だ. インクジェット・プリンタというと家庭用かつ写真用でコストが高いものというイメージがあったが,最近エプソンが CM しているようにレーザよりコストがやすくて,非常に多様な用途があるということだ. しかし,インクジェットに関してはおどろくような話はない.

むしろ,タイトルにはない 3D プリンタの話のほうがおもしろい. これもこの本ではインクジェットの一種ということになっているが,それはちょっとくるしい. 2 種類のプリンタに関する話題をまとめた本とかんがえたほうがよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: インクジェット時代がきた!@Amazon.co.jpKindle 本@Amazon.co.jp

つづく…

2012-12-15

日経ベンチャーの連載をまとめたというが,ベンチャーというよりはモノづくりをしている中小企業についての本だ. 自分で起業したひとはすくなくて,親からうけついだ会社を発展させた 2 代めの話が多い.

「モノづくり学」 と称しているが,会社の紹介に重点があって,どういうモノをつくっているのかはあまり書いてない. 技術的なことはまったく書いてないところに不満がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ニッポンのモノづくり学@Amazon.co.jp

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2013-01-08

ものやサービスを売るとき,売りさきとしては富裕層,貧困層,企業など,いろいろあるはずだが,この本はその副題にあるように 「お金持ちマーケティング」 の本だ. 日本企業がめざすべきは貧困層ではなくて富裕層だと書いているが,だれもが富裕層をめざすのではなく貧困層をめざすのもひとつの選択だろう. 富裕層に対するマーケティングにもいろいろあるだろう. そういうなかで,この本が提案していることの範囲はせまい. この提案が有用な企業もあるだろうが,適用範囲はかぎられているだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 市場づくり@Amazon.co.jp

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2013-01-24

著者は選択と集中,中期経営計画,顧客至上主義など,経営の常識とかんがえられていることに異をとなえている. こういった概念にとらわれずに大胆に改革することが重要だという趣旨であり,それは共感できる. しかし,それらにかわる理論があるのかというと,それはない. メチャクチャやればたまにはヒットがでるというだけの話であって,とくに大企業の経営者にはすぐに乗れる話ではないだろう. もっと周到な議論が必要だ.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: もう終わっている会社@Amazon.co.jp

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2013-02-04

会社をめった斬りにする前半は最近の若者の実態を知らない私には断然おもしろかった. これだけ文章が書けるなら,きっと出版でそこそこ食っていけるだろう. ただし,Kindle 本ではいまはもうからないだろうが…

後半はネットでのもうけかたの話であり,知りたい人はいるだろうが,この手のことを書いた本はたくさんあるのでもういいという感じ. しかし,著者にとってはここまででワンセットなのだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 働いたら負け@Amazon.co.jp

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2013-02-06

現代の 「会社」 をとりまく状況,「ポスト産業資本主義」 を分析して,グローバル化,IT 革命,金融革命が主要な要因だといっている. この状況のなかではおかねのちからはよわまり,情報で差別化をはかること,つまりコア・コンピタンスを確立すること,いいかえると知識資産を蓄積することが重要になる. というのがこの本の主旨であり,とくに前半の分析は著者ならではのものなのだろう.

しかし,話がコア・コンピタンスや知識資産のことになるとすでに多数のすぐれた本があるのに対して,著者の主張は経営的な知識に限定され,かつ弱い. 最後に 「日本の社会が,リスクをとって自ら会社をおこす気概をもつ個人を,これからどれだけ輩出していくことができるか」 が重要だとのべているが,それをささえることができる議論はここにはない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 文庫@Amazon.co.jp単行本@Amazon.co.jp

つづく…

著者は 1960 年代に会社からアメリカに派遣されたが,独立し,経験をいかし日本の会社と組んで成功する. 日本人ばなれした,アメリカ人に支持されるような方法で,しかも当時のぼり坂だった日本企業と組んだから成功したのだろう. いまおなじことはできないだろうが,もちろん,まなぶべきことはたくさんある. 読者はそれを自分でみつけるとよい. この本には著者が書いた文章だけでなく,そこから教訓をよみとろうという編集者の (?) 文章がまざっている. しかし,これはじゃまだから,とばして読むとよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: NYの億万長者@Amazon.co.jp

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2013-03-09

日本人が世界をみていないことを指摘し,(出版の時点での) ネット上での世界の状況をつたえている. 世界の状況はすでにかわっているが,「世界を相手にしよう」 という提案の有効性はいまもまったくかわっていないし,世界の状況もそれほどおおきくかわっているわけではないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本人にはもう売るな!@Amazon.co.jp

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2013-03-17

アメリカなどはすでにエイジフリーにちかいが,日本もいずれエイジフリー社会になるという. 年功序列はもちろん,定年もなくなるかわりに,定年にならなくてもクビが容易にきれるようになる. しかし,「エイジフリー」 というのはかならずしも全年代が平等になるということではなくて,アメリカでは 40 歳以上に適用されるのだという. 日本で一番ひどいめにあっている 30 代以下のひとがカヤのそとにおかれるのだとしたら,あまり真剣に議論する気にもならないが…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: いつでもクビ切り社会@Amazon.co.jp

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2013-03-22

タオバオのおいたちやそこで成功したショップの例については類書にはない記述がある. タオバオの歴史や分析を読めば,ショップをつくるひともどういう方針でのぞめばよいかがわかる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: タオバオの正体@Amazon.co.jp

つづく…

著者は中国人であり,中国と日本をどちらもよく知っているようだ. こういう本を書くには最適なひとなのだろう. 内容は中国のネットビジネスの現状,検索エンジンの状況,タオバオをはじめとする EC サイトについてなどだ. 日本人にはなかなか書けない内容もあるようだが,ややふるくなってしまったことは否定できない. これからタオバオなどで中国に輸出しようというひとには,ヒントはいろいろあるが,もっとあたらしい情報が必要だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 中国ネットビジネス成功術@Amazon.co.jp

つづく…

他の本は中国人を階層にわけて分析することまではしていない. この本ではセレブ (超富裕層) とそれに影響される 3 億人の富裕層に売るための方法を考察している. このくらいのことまでかんがえて売らないと成功しないのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 中国3億人富裕層と商売する方法@Amazon.co.jp

つづく…

2013-06-20

フリーターやニートになりそうなひとに読ませれば,そこからすくいだせるような本かとおもって読んだ. ところが,その予想は完全にはずれた. 著者は自分のためにやりたいことはないが,こまっている他人のためならなんでもする. 「コトバノアトリエ」 という組織をたちあげて,つぎつぎと事業を考案し実現させていく. 「やりたいことがない」 ということばからはとても想像がつかない,やり手だ. 「ひとのため」 にエネルギーがだせる (マザー・テレサのような ?!) ひとにすすめたい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: やりたいことがないヤツは社会起業家になれ@Amazon.co.jp

つづく…

タイトルに 「自宅ではじめる」 ということばがついているが,内容にはとくに 「自宅」 にむすびつくものはない. 3D CAD と 3D 印刷の入門書だ. 高価な 3D CAD ではなく無償の Autodesk 123D をつかって,さまざまなオブジェクトをデザインしている. そして,比較的安価に 3D 印刷ができる方法を紹介している.

しかし,すでに自宅で 3D 印刷をしている自分からみると,紹介されている 3D プリンタは個人で買う気になるものより高価だ. デザインの方法が単純なかたちをつみかさねていく方法にかぎられている点もやや不満だ. しかし,まだ 3D 印刷関連の本がすくないなかでは稀少な本といえるだろう.

なお,この本にはない個人使用のための 3D 印刷については Kindle 本の 「汗と涙の激安 3D プリンタ Printrbot くみたて・調整」 がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 自宅ではじめるモノづくり超入門@Amazon.co.jp

つづく…

2013-06-25

クラシック・コンサートを中心とする舞台芸術の 「売り方」 について書いている. 定期会員をどうやって確保するか,それ以外にどういう売り方があるか,というような地味な話,クラシック関係者以外にはあまり必要のないような話が多い. 他の分野のマーケティングにもやくだつような話がないわけではないが,芸術を売るためのもうすこし画期的な話があってもよさそうなものだ.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 芸術の売り方@Amazon.co.jp

つづく…

2013-11-11

この本の中心は 4 章に書かれた具体的な 50 の働き方に関するアイデアだ. コクヨ RDI センターと東北大学との協力によって書かれたものだという. そのなかには,たしかに未来につながるアイデアもあるだろう. しかし,おおくは,ありそうもない過去への回帰や陳腐なかんがえであるようにみえる. 現実的だとおもわれない理由のひとつは,現代の企業がかかえる問題がほとんど考慮されていないことだ. たとえば,セキュリティもそのひとつだ. 自然にきえてしまう問題ならよいが,そうでなければ,それを解決しないかぎりこれらのアイデアを 採用することはできないだろう. 単なるおもいつきでなく,知識に裏打ちされたアイデアでなければ,未来への提案にはつながらないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 未来の働き方をデザインしよう@Amazon.co.jp

つづく…

2013-12-14

保険サービスはいざというときに保険金だけはらってくれるサービスだとおもっていたが,この本の事例に登場するひとにとっては保険金よりもその支払いの際の保険会社のひととのふれあいのほうが重要かもしれない. 保険の営業でそれをウリにすることはできないだろうが,それも保険という商品の重要な部分なのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 感動!実際にあった保険金支払い事例@Amazon.co.jp

つづく…

2014-01-27

企業製品のユーザが単なる消費者でなく製品を改良するイノベーターとなることがある. 企業はそういうユーザをさがしだすことで製品を改良したり,新製品につなげたりすることができる. ユーザは CAD や 3D プリンタをつかって製品を開発することさえできる. そういう先進的なユーザをこの本では 「リードユーザ」 と呼んでいる. これにちかいことばとして 「プロシューマー」 というのもある (アルビン・トフラーのことばらしい) が,この本では登場してこない. やや近視眼的な印象がぬぐえない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ユーザーイノベーション@Amazon.co.jp

つづく…

2014-02-04

ユーザーによるイノベーションに関するさまざまな研究をまとめた本だ. 先進的なユーザー (リード・ユーザー) はメーカーがかんがえないような製品の改良をし,それを無償で公開する. この本にはさまざまな種類の製品がとりあげられているが,もっともくわしく書かれているのはソフトウェアだ. Linux をはじめとするオープンソース・ソフトウェアは 「先進的ユーザー」 によって開発されたものだ.

そこまではよいが,そういう 「ユーザー」 は同時にメーカーでもある. この本ではユーザーとメーカーとの境界がはっきりしないままくべつされているようにみえるし,さまざまな種類の 「先進的ユーザ」 が分類されないまま論じられているようにみえる. そのため,本の厚さのわりには内容がうすいようにおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民主化するイノベーションの時代@Amazon.co.jp

つづく…

2014-07-08

企業においても公的な組織においても情報セキュリティやコンプライアンスに関するリスクがたかまっている. それに 「ただしく」 対処する必要があるのはもちろんだが,むしろ過剰反応への対処がよりおおきな課題になっているようにおもう.

つづく…

2014-11-22

11 月 20 日,ほかの用事とあわせて会社をやすんで,東京ビッグサイトでひらかれていた産業交流展と新価値創造展という中小企業の製品展示会をみてきた. どちらも中小企業の製品や技術を紹介する無料の展示会だ. これらの企業の技術や製品にももちろん興味があるが,国の機関や東京都をはじめとする自治体の支援体制などを知ることができた.

つづく…

2014-12-30

NHK の朝ドラ 「マッサン」 の主人公はニッカウイスキーの創業者である竹鶴政孝がモデルだが,いまのところは主人公より鴨居商店の大将つまりサントリーの鳥井信治郎のすごさに感心するばかりだ.

つづく…

2015-02-22

タイトルにまで「マッシュアップ」がはいっているから,なにかそれらしいことを書いているのかとおもって買ってみた. しかし,なんの説明もない. 経産省がこのことばをつかっているから,なにもかんがえずにつかっているだけのようだ. SCM についてはもちろん書いてあるが,もっとよい本がある. つまらない本を買ってしまった.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 民法サプライチェーン・ロジスティクス

つづく…

2015-03-13

日本の中小企業のつよみをとりあげた本はすくなくないが,この本もそのうちのひとつだ. しかし,この本でとりあげている企業のなかにはコモディティ化した商品を匠にたよって売っているところが多いようだ. 匠のちからもまだ海外に負けないのだろうが,しだいに追いつかれて苦しくなるだろう. 実際,いまの日本の中小企業にはそういうところが多いようだ. だから,この本の楽観的なトーンとはちがって,くるしさを感じてしまう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本の小さな大企業

つづく…

2015-07-23

最近,テレビで「エスカレータ上をあるくのは危険なので,ねばりづよくやめるようによびかけている」という話をきいた. しかし,もう何 10 年もまえから,ひとびとはエスカレータ上をあるく習慣になっているともいう. それなのに「あるいてはいけない」なんていうのはナンセンスだ. 安全にあるけるエスカレータを開発するべきだ.

つづく…

2016-01-16

ebay.com で送料無料で 200 〜 400 円くらいのものが買えるようになったので,いろいろためしてみている. それでわかったのは,中国のものを日本の会社をとおさずに買うと,あいかわらず問題が多いということだ. すこし注意すればそれほどコストをふやさずに改善できるはずの点が多い.

つづく…

2019-05-24

日産元会長のゴーンが逮捕されてからもう半年以上になる. その間,日本だけでなくフランスをはじめとする世界をさわがせつづけている. しかし,これはどちらかといえば日産という企業のなかの問題,いわば「お家騒動」だ. なぜここまで警察・検察がちからをそそぐのか,私にはよくわからない.

つづく…

2019-05-29

Amazon に対抗してなのか,ヨドバシカメラも無料配送で商品をとどけてくれるのはよいが,いろいろむだなことをしてくれる. 最近,「宅配ボックス」にいれるはずの商品をいったんはもちかえって,再配達の際にはそこにいれていった. おなじ商品を何個か注文すると,必要もないのに 2 回にわけて配達してくれることが多い. こんなことをして,ひきあうのだろうか?

つづく…

2019-05-30

ルノーが FCA とが連合するというニュースがはいってきている. 日産,三菱も当然その影響をうける. おもいかえせば 1988 年に「共同研究」のためカーネギー・メロン大学にいったとき,買った中古車が Plymouth Sapporo というくるまだった. 三菱自動車が生産しクライスラーが販売していたくるまだが,いままたその三菱とクライスラーが統合された FCA とがむすびつこうとしていることに,ちょっとした感慨がある.

つづく…

2019-07-04

ダイソーの 100 円,150 円の LED 電球をためしてみたいとかんがえて,いくつかの店に行ってみた. 店ごとにしなぞろえがちがうが,中野坂上の店が比較的ひろくて品ぞろえがよい (私向きだ) とわかった. それでも,一番ほしかった 60 W 電球色 150 円の電球はなかった. いろいろおもしろいものはあるが,行ってみなければ何があるのかわからないのがこまる.

つづく…

2021-10-24

最近は朝日新聞の紙面にでる記事がとてもふるいことが多い. たとえば「速く長持ち 新マックブック・プロ」という M1 Pro, M1 Max を搭載した MacBook に関する 10 月 24 日夕刊の記事は,そこに書いてあるように日本時間 19 日未明のものだ. もうさんざん議論されて過去の情報になっている情報が,あたらしいかのように記述されている. ネットでみればもっとはやくみられるとおもうし,私は電子版を subscribe しているが,紙面だけみるひとにはもはや「朝日旧聞」でしかないのだろうか?

つづく…

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螺旋 3D 印刷技術を使用してつくったこのような「3D デザインランプ」を 3d-dl.com で売っています.

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