インスタント・メッセージング (IM) においては相手の “プレゼンス” を知ることができます. このばあいの “プレゼンス” とは,相手がオンラインかどうかという 1 ビットのデジタルな情報です. オンラインであればメッセージをおくって,すぐに相手のコンピュータにメッセージを表示することができます. しかし,もともとプレゼンスということばは,人間やものの存在感とか臨場感とかいうアナログな情報をあらわすものです. 仮想現実 (virtual reality) においては,もっと本来の意味にちかい意味でこのことばがつかわれています. この分野の専門雑誌として MIT Press の 「Presence」 があって,興味ぶかい論文がいろいろ掲載されています. IM における “プレゼンス” は,それらとはあまりにおおきくちがうものです.
最近,私の母がカメラやリモコンに電池をいれてもうごかないといってきたことが何回かありました. みると,一部の電池の極性が逆になっています. これは,最近の電池のプラス極とマイナス極のくべつがつきにくくなっていることに原因があるとかんがえられます.
電車から駅におりたときなど,出口につながる階段とエスカレーターとがならんでいると,階段はあいているのにエスカレーターにはながい列ができていることがしばしばです. なぜこうまでしてエスカレーターにのりたがるのでしょうか? わたしには理解できません. しかも,エスカレーターをあるくことは危険で禁止されているということなのです (2007-10-31 追記).
山一証券以来,不正をおこなった企業が政府機関の処分をうけて倒産・破産する事件がつづいています. もうだいぶまえのことりなりますが,ライブドアと村上ファンドはだれの記憶にものこっているでしょう. 最近ではコムスンや NOVA (ノヴァ,ノバ) があります. これらの企業のなかには行政処分の内容によっては事業撤退をまぬがれたケースもあるのではないでしょうか. 処分によってその企業だけでなく顧客までおおきな影響をうけていますが,顧客である国民までまきこむ,きびしすぎる処分がおこなわれているようにおもわれてなりません.
ここ数年のあいだに,生活保護をうちきられて,ついには餓死にいたるという事件がときどき発生しています. 生活保護の予算が削減されていることが背景にありますが,はたしてそれだけの問題なのでしょうか? 「福祉」 というものの本質がみうしなわれた結果なのではないでしょうか?
これからは,としをとってもパソコンをつかうことが必要になるでしょう. 足腰がよわくなれば,ひとにあいにいくのはおっくうになります. そういうとき,メイリングリストなどによるやりとりがそれにかわっていくとおもえます. したがって,これからは高齢者でもつかいやすいパソコンを開発することが重要になるはずです. ここではマウスを中心にかんがえてみます. ただし,かならずしもマウスやその操作を改良することが目的なのではなくて,マウスというものじたい,あるいはデスクトップ・メタファーというものをみなおしたほうがよいかもしれません.
短距離の電車には確実にすわる方法がありません. そのために歳をとったひとのなかには電車にのりたくないというひとがでてきます. だからといって,かわりにタクシーにのれば料金はたかいし,CO2 をよけいにだします. これからの時代,短距離の電車にも “グリーン車” のようなものがあれば,こういう問題を解決することができるのではないでしょうか?
「税金のたかいガソリンを大量消費しても,なぜ高速ドライブはやすいのか!?」 という項目でスパリゾート・ハワイアンズへの旅行について書きました. それにしたがってくるまでスパリゾート・ハワイアンズにいってきました. ここには 「フラ・ミュージアム」 があり,スパリゾート・ハワイアンズの歴史もつづられています. それによるとスパリゾート・ハワイアンズのもとのなまえである 「常磐ハワイアン・センター」 がつくられたのは 1966 年であり,他ではみることのできないショーをみせる,つまりオンリーワン (only one) をめざしたということです. 最近ではオンリーワンでなければダメだということはよくいわれますが,1960 年代にそれをめざしたというのは画期的なことであり,それが,おおくのリゾート施設が倒産するなかでもスパリゾート・ハワイアンズがいきのびてくることができた理由なのではないかとおもいました.
私の母はいまは元気ですが,非常のばあいにベッドから連絡できるように電話を設置しました. 単純なナースコールとはちがって,どういう機能が必要になるかはかならずしもよくわからないのですが,受話器をはずさずに 3 カ所 (正確には 1 カ所 + 2 人) のうちのいずれかに連絡がとれるように,三洋の TEL-DH5 という電話機をえらびました. 選択の基準はワンタッチ・ボタンが比較的おおきくて,他のボタンがじゃまにならないというところにおきました.
この連休に 2 泊 3 日で,家族 4 人でいわき近辺を旅行してきました. 「1960 年代にオンリーワンをめざした常磐ハワイアンセンター」 という項目に書いたように,宿はスパリゾート・ハワイアンズのそばの 「とらや」 という旅館で,おもな目的はスパリゾート・ハワイアンズのプールと温泉でしたが,初日は小名浜海岸にいって,「アクアマリンふくしま」 という水族館に時間をついやしました. 母もつれていったのですが,小名浜もスパリゾート・ハワイアンズも,高齢者向きの場所ではなかったようです.
もともと日本の福祉はヨーロッパを規範としていました. しかし,1990 年代の不況から脱却するため,小泉政権下でいわばやむなく,よりアメリカにちかい政策がとられてきました. その甲斐あって景気はほぼ回復したわけですが,いまその 「大手術」 の後遺症になやまされているわけです. これから本格的な制度改革をめざさなければならないわけですが,そこでアメリカ型をめざすのか,ヨーロッパ型をめざすのかが問題だといわれてきました. しかし,最近の状況をみると,めざすべきはヨーロッパ型に独自のいろづけをした政策だということはあきらかなようにおもわれます.
「ヨーロッパ型にちかづけるべき日本の福祉政策」 という項目では,生活保護の予算が削減されるとともに自立可能なひとには自立をうながすという方針がたてられたことが原因で問題がおこっていることについて書きました. 生活保護をうけるひとはいわば競争社会の敗者ですが,公正な社会の実現のためには,すくなくとも敗者やその家族がいつまでも敗者の立場にあまんじなければならないことを避けなければなりません. そのためには 「機会の平等」 を確保する必要があります. ところが,現在,現場でおこっていることは 「機会の平等」 が確保されるまえに無理に自立をうながしているために,機会が不平等なまま,いつまでも底辺からぬけだせないでいるひとがおおいということだとおもえます.
私がこどものころは,ちかくの商店街にある店に電話して,商品をとどけてもらうことがよくありました. 米屋,酒屋などは商品がおもいので,そうしていました. しかし,最近はおもいものは生協など,もっととおくの店からの宅配を利用することがおおくなっています. そうなったひとつの理由は商店のうりあげがおちて配達のための店員をやとえなくなったことにあるとかんがえられます. 店ごとに配達のシステムがつくれないなら商店街全体で受注と配送のシステムをつくるなど,くふうの余地はあるのではないかとおもえます.
介護保険制度をまもるために,介護サービスのコストがおさえられ,採算をとるのがさらにむずかしくなっています. 介護サービスだけで採算をとるのでなく,ほかのサービスとくみあわせることで,収益を改善することはできないのでしょうか?
毎日新聞によると,携帯電話をつかって点字で 「会話」 する方法を盲学校元教員と筑波技術大の佐々木信之教授らの研究チームらが開発したということです (おなじニュースを WBS (ワールド・ビジネス・サテライト) でもやっていて,私はこちらでみました). この方法では携帯電話のテンキーのうちの 6 個を点字にみたてて使用するということですが,通常の点字とちがって 6 個を並列に入力することができないため,通信速度がひくいところに課題があるとおもいます. 複数のキーを一度におせるようにすれば,ずっと高速にコミュニケーションできるようになるはずです.
この本でもとりあげられている話題だが,「生活保護がうけられずに餓死した」 というような話が断片的に報道されると,餓死に追いこんだ自治体や担当者はひどいという反応をひきおこす. しかし,生活保護を悪用するひともおおく,判断がむずかしいようだ. ほかにもさまざまな問題がある. この本を読めば,生活保護という制度がかかえる問題の全体を把握することができる.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 生活保護が危ない@ ,生活保護が危ない@Amazon.co.jp.
日本の政策は高齢者や団塊世代に有利であり高齢者対策は手厚かったが,若者対策は貧弱だった. この本はこうした世代間の配分の不公平をするどく指摘している. 「世代間戦争」 がはじまっていると著者はいう. 若者批判の本がおおいなかで,こういう視点から書かれた本は貴重だといえるだろう.
しかし,こういう現実を打破するためのさまざまな政策のアイデアがしめされているが,その実現性や効果は疑問である. また,若者問題以外の問題はとるにたらないという書きぶりだ (「平和か戦争か,右か左か,靖国参拝か謝罪かといった問題は,合理的に検討を加えれば容易に方向が定まる問題なのだ」 と書いている). このように視野狭窄していては,若者問題の解決の方向もみいだせないだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 若者を喰い物にし続ける社会@ ,若者を喰い物にし続ける社会@Amazon.co.jp.
小泉首相の時代には非正規労働者を増加させるような政策がとられた. それは,グローバリゼーションのなかで日本企業が活路をみいだせるようにし,日本経済を復活させるために必要だったといえるだろう. しかし,そのとき,非正規労働者に対応できないセーフティネットはそのまま放置されていた. その結果,いま,急速な景気悪化とともに,非正規労働者にとってあまりに過酷な状態が発生している. 非正規雇用の増大とあわせて,セーテフィネットが非正規労働者にあわせて改革されていれば,これほどひどいことにはならなかっただろう.
イギリスの事情にくわしい著者が,おもにサッチャーからブレアまでの時代のイギリスの福祉政策や医療制度などについて書いている. 「ゆりかごから墓場まで」 といわれた福祉国家イギリスだが,サッチャーの時代に 「聖域なき構造改革」 がおこなわれて,経済は活性化したが医療制度はズタズタにされた. それを修復するはずのブレアも失策をおかしているという. しかし,そういうサッチャーでも無料の医療制度 NHS まではこわせなかったという.
こういうイギリスの現状をもとにして,著者は日本の現状も検討している. いくつかの提案はあるが,決め手はなく,歯切れはよくない.やはり日本は日本独自の道をさがすしかないということだろう.
評価: ★★★☆☆
親をつれて旅行するときの参考にできないかとおもって読んだが,うらぎられた. シニア向けを意図しているようだが,内容のほとんどは一般的な海外旅行に関する注意点である. おおめの予算をもっているひとであれば,年配者にかぎらず,おなじようなこころえが必要だろう. シニアに特有のニーズに関しては,バリアフリー旅行に関する情報のインデクス (Web のアドレスなど) くらいだろう. しかし,旅なれないひとにはやくだつだろう情報がつまっている.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: シニアに優しい旅のコツ@ ,シニアに優しい旅のコツ@Amazon.co.jp.
足がよわってきた私の母から中学生になったばかりのこどもまで,自分もいれてあわせて 4 人が満足できる旅行をめざしている. さらには妻の父母までいれて 6 人でできることはないかとかんがえているが,きょうは 4 人での旅行の話である.
私自身はなるべくあるきたいという希望をもっているが,そういう希望があるのは私ひとりである. 母までつれていくときは,なるべくあるかなくてもすむように配慮せざるをえない. とくに,階段が不可避なところはなるべくさけたい. しかも,予算にはきびしい制約がある. すべての条件を満足させるのは非常に困難だ.
後期高齢者医療制度は小泉政権下でつくられたはずなのに,いまになっておおさわぎしている. どうしてそういうことになったのか,本書はそのいきさつをあきらかにしている. 重大な制度改革なのだからちゃんと国民的な議論をするべきなのに,しなかった. そのツケをいま自民党ははらわなければならないということなのだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 後期高齢者医療制度@ ,後期高齢者医療制度@Amazon.co.jp.
「家族全員を満足させられる旅行はむずかしい」 という話題はすでに書いたし,「十分な事前調査なしの旅行のむずかしさ」 についても書いたが,最近の三浦半島での経験もいれて,もう一度,書いてみる. 残念ながらこれは失敗談だ.
8 月末に 3 連休があったので,高齢の母をふくむ家族 4 人で上田・菅平方面に旅行してきた. 足がすっかりおもくなった母をつれて家族全員で旅行すると,全員をそれなりに満足させるのはなかなかむずかしい. 私自身はほんとうはトコトンあるきたいのだが,それはちょっとかなわない. これまでも何回かこころみてきたが,今回は比較的うまくいったようにおもう.
年金の充実は福祉の必須項目だとかんがえられてきた. しかし,それをみなおすときがきているのではないだろうか? 福祉が必要なくなるわけではもちろんないが,年金を維持するために消費税を増税するなどということは,やめるべきなのではないだろうか?
現在の日本の健康保険では,健康なひとも病気にかかっているひとも,おなじ保険料をはらうようになっている. 民間の保険ではかんがえられない制度だ. 保険料には差をつけるべきだろう. また,健康を維持・増進しようとしているひとも,健康を害する行為をしているひとも,おなじ保険料をはらうのは不適切ではないだろうか. 健康保険を破綻させないためには,これも改善が必要だろう.
親世代にはデジタルツールを買ってあげるだけではつかいこなせないが,iPad などのつかいかたをおしえてあげればつかえるようになり,親孝行になるというわけだ. しかし,普通はなかなかこの本に書いてあるようにはいかないのではないかとおもえる. iPad ではジェスチャーが誤認識されることがすくなくない. そういうとき,どうしてよいかわからなくなる. 歩数計のような特定用途のツールでも,おもうようにはうごかず,つかいこなすのはかならずしも容易でない. だから,この本を読んでもやっぱり,どうしたらよいかわからない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 最高の親孝行@ , 最高の親孝行@Amazon.co.jp.
うすい本のなかで,国民健康保険の制度,現状,課題などをまとめている. しかし,制度はともかくとして,現状や課題の把握はよわい. たとえば,保険料不払いの問題に関しては 市町村国保担当者に取材して,そのいいぶんである 「2 割は悪質な保険料滞納者」 ということをそのまま書いているが,不公平感など,そこにある問題にふれないまま 「悪質」 と書くのはいかがなものか. 課題の解決は容易であるかのように書いているが,年金と同様に積み立てられた保険料の目減り問題もあるだろうし (時事通信社の健康保険組合での問題が顕在化しているが,他にもたぶんあるだろう),さまざまな問題がこの本ではあつかわれないままになっている.
評価: ★★☆☆☆
関連リンク: 国民健康保険@ , 国民健康保険@Amazon.co.jp.
「医療保険」 がタイトルにふくまれる本のおおくは民間保険だけをあつかっている. そのなかで,この本は公的な保険と民間保険をあわせてあつかっている. しかし,これで 「なんでも」 わかるのかというと,全然そうではない. 保険にはいるかどうか,あるいは健康保険についてかんがえるときでも,それにほんとうに利点があるのかどうかをかんがえる必要があるだろう. 健康保険がかかえる問題点や,民間保険にはいる場合とはいらない場合との比較などが書かれていなければ 「なんでも」 わかるとはいえないだろう.
評価: ★★★☆☆
年金に関しては,AIJ 投資顧問をはじめとして,運用ででた損失のあつかいが話題になっている. AIJ は極端な例だが,そうでなくてもリーマンショックなどですくなからぬ損失がでている. それでは,健康保険はどうなのだろうか?
保険診療におけるくすりの値段は先発医薬品とジェネリック医薬品とでちがっているが,患者の負担率は一定だ. 3 割負担のひとはどちらについても 3 割,負担する. しかし,健康保険の維持がむずかしくなっている現状では,必要以上に健康保険の負担をふやすくすりに対しては自己負担率をあげるべきではないだろうか?
としをとってからともだちをつくるのは容易でないという. この本では,かぎられた枚数のなかで可能なさまざまな方法を紹介している. ともだちのつくりかたはひとりひとりちがうだろうが,この本からヒントをえることはできるかもしれない.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 友活@Amazon.co.jp.
老後の生活のためのひとつのかたちである 「グループリビング」 について,国内のさまざまな施設を中心として,ヨーロッパの例もすこしおりまぜて,書いている. さまざまな例をまとめた本としては標準的なできだろう.
施設を短期間取材してスタッフなどの話をきいて書けるのはこの程度だろう. しかし,施設をやめたひとの話などがあると,なぜやめたのかが気になる. たとえ調査できても個人情報だからそこまで書けないのだろうが,読者が自分は 「グループリビング」 にむいているのかいないのか,判断できる材料がほしいようにおもう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 老後は仲間と暮らしたい@Amazon.co.jp.
グループハウスや高齢者住宅での生活や性,介護,墓,虐待,自分史,趣味,ペット,ロングステイ,遍路,最期など,老後のさまざまな問題をあつかっている. 「光と影」 ということばがあたっているかもしれない. タイトルには 「生きがい」 がはいっているが,本文では 「生きがい」 ということばはたまにしか登場しないので,「生きがい」 にひきつけられると裏切られるかもしれない.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 生きがい探し12の物語@Amazon.co.jp.
老後を定年から死ぬまでとかんがえると相当にながいはずだが,この本であつかわれているのは定年後 1 年程度でしかない. 仕事・再就職や年金・保険,税金などがおもな話題だ. お金がテーマだから,もちろんその 1 年よりあとのことも視野にははいっているが,その後の生活設計もかんがえた話にはなっていない. だから,非常に視野のせまい話だとおもえる. 定年直後におこることとそれへの対策という意味では必要なことだろうが,もうすこしさきまでかんがえたい.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 現代老後の基礎知識@Amazon.co.jp.
老人は家にこもりがちになり,やることもかぎられてしまう. そういうひとたちを会話ができる場,社会参加の場などにひきだせば,生きがいを感じてもらうことができるだろう,というのがこの本の趣旨だろう. しかし,「生きがい」 ということばをそんなにかんたんにつかってよいのだろうか?
やれることがあり,やっていればそれなりに楽しそうにしている,だから生きがいにつながっているとかんがえているのだろう. しかし,それと 「生きがい」 とのあいだには,もしかしたらかなりギャップがあるのではないだろうか? この本のなかには 「生きがい尺度」 なるものをしらべる方法もでてくるが,まだそれだけではたりないようにおもえる.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 老人と生きがい@Amazon.co.jp.
宣伝にのせられて,よくかんがえずに老後の選択をしてしまうと失敗するという例がいろいろある. 「老後は外国で…」, 「定年後の田舎暮らし」,豪華だが医療サービスのない老人ホームなどがあげられている. しかし,ボケに 50 ページ以上もさいているあたりはステレオタイプなようにもおもえる. ほんとうの盲点はもっとべつなところにあるようにもおもえる.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 老後の大盲点@Amazon.co.jp.
生きがいをみいだせるような具体的なことについて書いているわけではないが,どうすれば生きがいを感じられるようになるか,どうやって生きがいをみいだせばよいか,などの問いにこたえてくれる本だとおもう. 60 歳をすぎてからあらたな研究をはじめて,72 歳で 「老いの泉」 という大著を書いたベティ・フリーダンの話がおおきくあつかわれている. また,チクセントミハイの 「フロー」 が老いの生きがいとむすびつけられている. ほかにもいろいろ,生きがいをみいだすためのこころがまえにかかわる話がとりあげられている. 老人だけでなく,もっとわかいひとにもうったえかけるちからのある本だとおもう.
評価: ★★★★☆
関連リンク: 老いの生きがい学@Amazon.co.jp.
医療保険に関しては 「後期高齢者」 の制度は評判がわるいが,高齢者問題をあつかった本をさがそうというとき,定年後すぐの問題と 「後期高齢者」 の問題とはまったくべつなのに,後者をさがすのがむずかしい. 「「シニア」 ということばの問題点 ― 老年と中年がくべつされない」 に書いたことにちかいが,もうすこし年代をずらして再度かんがえてみたい.
この本のテーマはアミーユ,アミーユレジデンス,C アミーユという特定の高齢者住宅だ. そこではデンマークの高齢者福祉がモデルになっている. この本ではそういうデンマークのノーマライゼーションという理念や制度も解説されている. デンマークにならって,高齢になったら施設にはいるのでなく,自宅や高齢者用の住宅でくらせるようにすることが目標とされている. そのためにはなにをすればよいのか,この本はそのヒントをあたえてくれるだろう.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 老後の住まい革命@Amazon.co.jp.
デンマークをはじめとする北欧では,「寝たきり」 ということばがつうじなかったという. 日本では 「寝たきり」 になってしまうひとが北欧では自活することができる. 著者はなぜそれが可能なのかをさぐっていく. そこで登場するキーワードが 「ノーマリセーリング (英語のノーマリゼーション)」 だ. そこでは,老人福祉だけでなく,教育,医療,ホスピスなどもあつかわれている. 1990 年に出版された本だが,いまでも日本は追いついていない,だからまだここからえられるものがある.
評価: ★★★☆☆
関連リンク: 「寝たきり老人」のいる国いない国@Amazon.co.jp.
これからの社会では物質的なゆたかさをもとめるかわりに,あたらしいゆたかさをもとめることを提唱している. それじたいは著者独自のかんがえかたというわけではないし,2001 年に出版された本だから,あたらしくもない. また,よみやすい本でもない.
しかし,著者が提起している問題は長期的なものであり,10 年以上経たいまでもあまりかわっていない. また,それに対するかんがえかたもいまなお有効だとおもえる. 市場経済の 3 つの 「離陸」 というかんがえかた,「外的な限界」,「内的な限界」,そして 「分配」 という 3 つの問題,3 種類の社会保障のありかた,つまり 「自助」,「共助」,「公助」 など,いまこそ,これらの問題をもう一度かんがえてみる必要があるのではないだろうか?
評価: ★★★★☆
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読んでいて,著者はデンマークびいきがすぎるのではないかとおもった. だが,「おわりに」 をみて,理由がわかった. 「デンマークのよいところだけをつたえたい」 と書いてあるからだ. 著者もけっしてデンマークのすべてが日本よりよいとかんがえているわけではないのだろう.
しかし,それでもデンマークでは中学をでると職業を選択しなければならない,そのさきは専門教育を うけることになるが,それがよいとかんがえているようだ. 日本では高校で一般教養的な内容を学習するが,それがよいことだとはかんがえていないようだ.
もしかするとそのとおりなのかもしれない。 日本でもかつての教養主義は死んでしまった. しかし,私もふくめて,それだからといって高校の教育まですっかり専門化してしまうのがよいとは信じていないひとがおおいのではないだろうか? 著者は料理人になるひとが一般教養をまなぶのはむだだと書いているが,そうでないというのが日本のこたえであったはずだ.
もちろんデンマークからまなぶべきことはたくさんある。 しかし,日本は日本のみちをいけばよい部分もまた、たくさんあるのだとおもう.
評価: ★★★☆☆
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著者は,障碍者のように支援を必要としているひとびと (当時者) から自己決定権がうばわれていた, それを回復するたたかいがすでにある程度の成功をおさめてきたということをのべている. つまり,従来は施設や家族など,まわりのひとが決定権をにぎり,当事者はそれにしたがわなければ ならなかった. いまは,駅員なども周囲のひとではなくて当事者の意向をきくように教育されているのだという.
なぜ著者が 「当事者」 ということばをつかわなければならなかったか,その理由はある程度わかる. しかし,「当事者主権」 というのはいかにもわかりにくいことばだ. 「当事者」 ということばにしても,家族や施設のひと,官僚などは当事者ではないのかという 疑問がわく. 実際,この本のなかでも周囲のひとに 「当事者」 ということばをつかっているところがある. 重要な主張であるだけに,ことばをえらんで定着させることが必要であるようにおもう.
評価: ★★★☆☆
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オランダではワークシェアリングがうまくいき,経済が活性化されているという. そういうオランダからまなぼうという本は何冊かあるが,この本もそのうちの 1 冊だ. 他の本のおおくがワークシェアリングなど比較的せまい範囲をとりあげているのに対して,この本はそれだけでなくオランダの社会がコンセンサスのしくみにもとづいていること,福祉のしくみ,社会悪を 「制御」 するというかんがえかたをとっていることなど,ひろい範囲をあつかっている. このようにひろい視野をもってみなければ,オランダからなにがまなべるかもわからないだろう.
2000 年に出版されているから,もう,本の内容があたらしいとはいえないが,もっとも重要なのは 1980〜90 年代だとかんがえられるから,そこはこの本でもカバーされている. いまでも読む価値のある本だ.
評価: ★★★★☆
関連リンク: オランダモデル@Amazon.co.jp.
12 月にはいって新型コロナ患者が急増し医療崩壊の危機が訴えられているが,人々の行動変容はすすまない. 日本の新型コロナ患者は欧米などとくらべるとまだすくないが,それにもかかわらず医療関係者が疲弊し崩壊の危機に瀕している. その原因は,日本の医療が健康保険に過度に依存していることだろう. それを解決するには高額な自由診療の魅力をたかめて,高額所得者がそれを選択するようにすることではないだろうか?
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